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QUESTION 質問No.401

全数検査について

市場品質品質マネジメント |投稿日時:
私は自動車部品の量産工場で管理職として現場を任されています。
月産、約200,000本のステアリング部品の生産をしており某メーカーに出荷しています。
半年ほど前に、客先のメーカーの方から私の部署で生産した製品のネジがきつくて相手部品が組み付かないとクレームがありました。暫定的に流出を防ぐため客先から全数検査の指示がありました。
対象製品を急いで隔離、選別をして対応しました。後日工程内での発生原因の追求をして発生原因の解決が出来ました。
発生原因、流出原因、水平展開をして客先に報告したのですが客先からは全数検査の解除が出ずに未だに完成した製品を全数検査しています。
質問は全数検査の解除の要求をするのにどういった内容の報告をすれば客先は納得してくれますか?

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回答No1 | 投稿日時:

ここは、客先の立場で考えることが重要です。客先は今回のトラブルによって多大な損害を被っています。
生産側が、発生原因、流出原因、水平展開することは当然なすべきことですが、客先が、これなら十分に対応ができていると、腑に落ちるところまでの丁寧な説得力のある説明が出来ているでしょうか?
「ちゃんとやってといるのに文句があるか」的な対応になっていないでしょうか?
私も開発の立場でたくさんトラブルを生み出し、対策をして次工程に提案しても、不十分と突き返されることが度々でした。こちらとしてはやったつもりでも、受け取る側は不十分の判断。
今回のトラブルは、これまで以上に信頼を高めるチャンスです。何故この様なことが起きたのか?客先の立場に立って、更に掘り下げて考えることで突破口が見いだせると思います。




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回答No2 | 投稿日時:

自動車部品については、出荷品の不良「0」が求められていますね。
現状で、全数検査しても、受入側での不良が「0」にならないのでしょうか?
社内の出荷時全数検査で発見できず、受入側で発見した場合は、現地で全数再検査をさせられてたという実例もあります。
工程内検査で不良を発見する対策を打って、出荷検査での不良「0」の状態が続くという実績を示すか、全数検査を続けるかの選択で、サンプリング検査に戻すことは、不可でしょう。

石川 昌平




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回答No3 | 投稿日時:

発生原因、流出原因、水平展開をして客先に報告されたとのことですが、直接対策だけで再発防止対策がなされていないことが気になります。発生原因には、人に関するもの、組織・仕組み・風土等に関するものがありますので、それぞれに対して原因を追及して再発防止を図ることが重要です。そうしないと、今回の不具合は防止できますが、類似の不良が出てくるのではないかとの不安が残ります。特に人に関することは、心まで遡ることが必要です。




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回答No4 | 投稿日時:

専門家B 森本と申します。
付加価値のない全数検査は製造業にとっては大変辛い状況だと存じます。
ところで、全数検査に移行した結果、御社で不良が発生しているのでしょうか。
全検で不良発生なしであれば、対策が機能していると判断できます。従って、この品質を継続的に安定維持することが重要課題になります。ところで、加工工程の工程能力指数はいくらに設定されているのでしょうか。例えばCp=1.67の場合、加工バラツキの特別要因(ロット毎の平均値と標準偏差が一定)が無ければ、無検査での不良流出は0.57ppm(200万個で約1個の不良流出)になります。限りなく工程能力指数を大きくしても無検査あるいは抜き取り検査では不良流出ゼロは達成できません。つまり、顧客が絶対的に不良ゼロを要求する限りは、解としては全数検査しかありません。ではどうするか。
前提条件は加工工程の工程能力指数をどこまで大きくできて、その時の不良流出リスクを顧客とネゴすることができるかどうかです。すなわち、全数検査の実績ならびに工程能力指数の実績をもとに抜き取り検査への移行を提案すべきと考えます。しかし、不良流出は顧客にとって迷惑だけでメリットは何もありません。不良品が流出したときの顧客の機会損失を補償することを併せて提案する必要があります。つまり、御社は顧客の機会損失の補償と全数検査によるコスト増のバランス分析が必要です。それでも、抜き取り検査にメリットがあれば、御社のバイアスのかかってない客観的な統計データをもって顧客を説得すべきと考えます。最終的に顧客を動かすのは理詰めの報告内容と誠実な情報開示と事故対応力と信頼関係が決め手になると考えます。




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回答No5 | 投稿日時:

現場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。

品質対策の中身を詳細に検討して見ます。

まず「ネジがきつくて相手部品が組み付かない」というクレームに対して、最初に明らかにすべきことは、①因果関係の究明です。
ネジがきつくなったという結果は何が原因となっているのか?そのメカニズムの解明です。例えば、ねじ穴をあけるドリルが摩耗していたために、穴径が小さくなったとします。

因果関係が分かれば、次は②直接の管理の原因を探ります。
 ・ねじ穴を規格通りに加工する作業手順書通りに作業を行ったか?
 ・ドリルの交換周期のルールを守っていたか?
 ・ねじ穴が規格通りの寸法で加工されているかある間隔で確認したか?
5M(人、機械、方法、材料、測定検査)の管理要因に不備がないかどうか調べます。

①の対策はドリルの交換、②の対策は手順書の見直し、作業者の教育訓練です。これで、この問題は一応再発防止が打たれたことになります。

しかし、ここまでは、すでに発生した不具合の原因究明と対策であり、モグラ叩きにすぎません。ほかに、管理上の不備・欠陥、作業ミスなどにより、様々な不具合が発生する可能性があるのではないかと疑いの目で見られます。

不具合が発生したら対策する「後追いの改善」の結果をいくら報告しても、今の厳しい市場環境下、お客様は納得できません。
お客様は、ほかに不具合の可能性がないかどうかをすべて検証し、今後不具合が絶対に起きないように対策してほしいと思っているはずです。

では、お客様の納得する報告をするには、具体的にどうすればいいでしょうか?

それには品質管理の考え方を、問題が起きないようにあらかじめ予防処置を講ずる「未然予防」の品質管理の考え方に変えていかなければなりません。そのような体制がとられない限り、永久に全数検査を義務付けられることになるでしょう。

未然予防の品質管理とは、不具合発生を予測し「予防処置」を組み入れた「工程設計」、製造工程における異常をいち早く発見し不良発生を未然に防止する「4M変化点管理」、そして不良を一切流出させない出荷停止機能を持たせた「検査体制」の構築です。

この3つの未然予防対策を至急社内整備を行い実績を報告することによってのみ、全数検査が解除されるものと考えます。
今までの後追い品質管理から決別することが会社の存続のみならず更なる発展につながるものと確信しております。




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回答No6 | 投稿日時:

相手が正しい技術を認めてくれない。
大変でしたね。

既に半年が経過しているので解決したものと思いますが、短期間で解決できる方法をご参考までに記載します。(なお、技術に問題がないことが前提です。)
「技術的に妥当なのに先方が了承してくれない」はエンジニアが陥りやすいトラブルの一つです。この時、技術的妥当性を論理的に説明・・・しても了承は得られず、かえって説明に質問がついて「終わりなき繁忙」に陥いる・・・そうなりませんでしたか?
理由は、エンジニアから見れば「そんなはずはない!」と思われるかも知れませんが、直接の問題は「もはや技術ではない」からです。
エンジニアは「正しい=認めてもらえる」と教え込まれているため、自分では気づかずに相手の考えを変えるように攻撃し、相手は防御の反撃に出る、という会話のパターンが多いのです。

正確な状況はお聞きしないと分かりませんが、資料を受け取った相手が上司に渡せる「相手都合の理由や資料」を提供せず、「技術が妥当であれば認めて欲しい(認めるべき)」という自身の主張や正しさの証拠の提出をしているようでしたら、多くの場合、確実にこじれます。
これは企業間の契約だけでなく、「上司が正しい提案を認めてくれない!」と言った職場のトラブルも原因と解決方法は同じです。

ではどうするのか、と言うと、「解決を目的」にした「ラポールを創り出す会話」を行うことで短期間で解消可能です。
ここに記載できる内容は限られておりますが、具体的な例や手順等は「最強のエンジニアになるための話し方の教科書」に掲載しています。ご興味があればご覧ください。
なお、本を買って頂くことが目的ではないので、ご覧になって「役に立たない」とお感じになった場合は、こちらで買い取り致します。
その場合は、ご遠慮なしにご連絡頂ければと思います。




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回答No7 | 投稿日時:

こうへい様、先の亀山専門家が書かれたように、半年前に出された質問ですので、すでに解決されていることと思います。ただ、こうへい様の今後の参考になればと思い、私の経験を少しだけ書かせて頂きました。

以前、私どものところでも部品供給業者(サプライヤー)に全品検査を依頼していたことがあります。私どもは自動車業界ではありませんが、アメリカ自動車工業会 (AIAG)が定めるPPAP(Production Part Approval Process: 生産部品承認プロセス)に基づいてサプライヤーと契約し、部品の納入を承認していました。全品検査についてもPPAPに定めたもので、サプライヤーもそれを順守していました。

しかし全品検査による納期の遅れが問題になり、また全品検査によるコスト増のため、サプライヤーが値段の再交渉(全品検査を要求するのであれば値段を上げる)をしてきたために、全品検査の必要性を見直すことになりました。そこで私が駆り出されて、サプライヤーから受け取ったこれまでの検査データを統計解析することになりました。

簡単な工程能力分析(Process Capability Analysis)やZ値の計算、サンプル数計算で、1ロット50部品のうち、ロット毎5サンプルを検査すれば統計的に、かつ十分に不良品の確率を要求以下に保証できることが分かりました。

結果的にサプライヤーはこれまでの価格を維持したままで納期に間に合うようになりました。またサンプル数の変更に合わせて、PPAPの内容も変更して承認しました。お互いにWin – Win の関係が維持できたと思っています。

こうへい様も十分な量の検査データがあることと思います。それをもとに統計的に品質が保証できるサンプル数を計算してみては如何でしょうか。また自動車業界が使っているAPQP (Advanced Product Quality Planning: 先行製品品質計画)やPPAPなどが定める資料と一緒に、統計的に求めたサンプル数を提出することもご検討してみては如何でしょうか。

以上、参考になりましたら幸いです。