生産数稼働率と時間稼働率を混同した説明だけで、可動率を説明しているものがありません。
この違いは「計画した能力」と「実際の能力」に対する結果の違いであり、稼働率は100%を超える場合がありますが、可動率は100%を超えることは無いと認識しております。説明するのに「注文数」とか「時間」を持ってくると訳がわからなくなると思うのですが、サービス業にも「可動率」の計算方法があるのでしょうか。
補足1 投稿日時:2019/04/03 13:34
私も再度調べ直してみましたら、トヨタでは可動率(設備を動かしたい時にいつでも動かせる割合)となっていましたので、ラインで生産を始めたが途中故障して生産中断してしまった場合が「稼働率」に対して、AB両ラインで生産したいが、Aラインは稼働できるがBラインはそもそも故障していて稼働できない場合という考え方が「可動率」ということだったようです。ところが弊社へは顧客から「可動率」と称して稼働率=実際の生産数/計画した生産能力ではなく、可動率=実際の生産数/実際の生産能力での要求を受けております。顧客要求仕様が100ヶ/H=CT36Sで可動率90%とされた場合、稼働率を考慮して製作した設備が能力120ヶ/H=CT30Sあったとしても、100ヶ/時しか生産できなければ生産数/要求数=稼働率100%でOKとはならず、可動率100/120=83%でNGとなります。現在は「稼働率」は生産開始~終了までの効率、「可動率」は全就労時間に対する生産割合という説明が、製造業ではわかりやすいかと思います。根源的には同じ考え方に基づくものですし、サービス業にも取り入れられる考え方かと思いますが、いかがでしょうか。
稼働率は投入した時間に対して有効なアウトプットの割合を示しますが、正確に計算ができているところは少ないです。
一方可動率(べきどうりつ)は、稼働率と一線を画すために使われます。
一般には「動かしたいときに動かせる割合」ですが、統計をとってもあまり意味はありません。TPMの大切さと作りすぎの防止を戒める意味です。
稼働率は分母が 投入マンパワーや使える時間
分子 生産に寄与しない段取り時間や故障、待ち時間などを除いた時間
これらの比率です。
この場合、のちに不良となる製品を作っても稼働率は上がります。
可動率は①真に有効な納入品だけが分子になる。
②不良をたくさん作っても比率は上がらない
③在庫だけが増えるものを作っても比率は上がらない。
可動率は、わかりやすく言えば
「投入資源に対する有効な仕事の割合」となります。
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Robotopさん、ご質問ありがとうございました。回答にするにあたり、私ももう一度、定義を整理するために調べてみました。確かにrobotopさんのご指摘の通り、色々な定義があるようです。確かにこれでは混乱しますね。
私が思うところ、定義の仕方の違いは3つの違う視点から来ているのではないかと思います。
1. 基本的な定義
2. 設備総合効率から見た定義
3. 信頼性から見た定義
1. 基本的な定義
稼働率は文字通り「計画通りに働いた時に稼げる価値に対する、実際に稼いだ価値の割合」です。価値を生産量で測っても、時間で測っても、割合にしまえば変わりはありません。またrobotopさんがご指摘の通り、稼働率は100%を超えることがあります。
ただ、価値を生産量で測った場合は不良品がたくさんあっても稼働率は良くなります。また時間で測った場合は働いたふりをしていても(遊んでいても)稼働率は良くなります。そこでそれを補正するために設備総合効率(2を参照)という考えが必要になります。
可動率も文字通り「動かしたい(使いたい)ときに、実際に動かせた(使えた)割合」です。設備やサービスに不具合がなく、設備やサービスの切替時間やメンテナンス時間がなければ、可動率は理想の100%に近づけることができるでしょう。
2. 設備総合効率から見た定義
設備総合効率(OOE)は「稼働率 X 性能 X 品質」と定義されます。この場合の稼働率は、価値を時間で測った稼働率(基本的な定義)と基本的に同じです。
性能は「実行率 / 標準効率」と定義されます。例えば効率をラインの速度で測れば、性能は「現状速度 / 性能上の速度」となります。速度の変わりに効率を「生産量 / 時間」と定義するば、ここでも性能の計算に時間が使えます。
(品質は「良品数 / 全製品数」と定差されます)
ややこしいことに、この稼働率と効率を別の要因に分解して「時間稼働率」や「性能稼働率」として計算することがあるようです。その場合は個々の要因の定義に注意して下さい。
(設備総合効率では可動率は使いません)
3. 信頼性から見た定義
コンピュータをはじめとするシステムの信頼性を表す指標として稼働率を使っています。これは可動率(基本的な定義)と同じです。もしrobotopさんが「稼働率」という言葉を見たとき、それがシステムの信頼性を表しているものなら「可動率」と思っても間違いはありません。
サービス業の可動率
稼働率と可動率は、生産管理(設備)の世界では厳密に区別していますが、他の業界ではそれほど厳密に区別はされていないように思います。サービス業をはじめとする他の業界では「稼働率 = 可動率」と思っても良いのではないでしょうか。
(参考: サービスの利用者側から見れば「サービスを使いたい時に実際に使えた割合」つまり可動率(100%以下)になりますが、一方サービスの提供者側から見れば「計画した儲けに対する実際に儲けた割合」つまり稼働率(100%を超えることもある?)となります。実際にサービス業は稼働率しか使っていないようです)
例: ホテルやビルの稼働率(可動率)=利用されている室数 / 全室数
例: ネットワークサーバーの稼働率(可動率) = 正常に稼働している時間 / 全時間
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補足的な説明をさせて頂きます。自分も、技術士試験勉強中に、わかりにくいと感じていました。
稼働率と可働率(補足)
稼働率
人又は機械における就業時間若しくは利用可能時間に対する有効稼働時間との比率。
備考1. 有効稼働時間とは生産に直接役立っている時間。
備考2. 解釈には広義と狭義があり,利用目的及び測定方法に依存する。(z8141-1237)
また、アベイラビリティ(availability)とよく混同されます。
アベイラビリティは信頼性工学/信頼性評価の分野では「対象の壊れにくさ」と「対象が壊れたときの回復のしやすさ」を総合した“ディペンダビリティ”の尺度ですが、IT分野においてはフォールトトレランス思想に基づく「(部分的に)壊れても止まらないシステム」という意味合いが強くなります。この点で若干のニュアンスの違いがあります。
さらに、機械や装置に対して、理論的生産量(生産能力)で、実際生産量(生産実績)を割ったものを稼働率という場合があります。最近ある中小企業で、旋盤機械の切削時間を手作業の作業日報から、IoTを使って自動でデータを取得して比較したところ、チョコ停等は手書き日報には反映しておらず、稼働率が20%弱下がった事例を経験しました。
可用率(可動率)
必要とされるときに設備が使用中又は運転可能である確率。備考 可動率ともいう。(z8141-6506)
故障の発生とその修復に要する時間の短縮を行う。可用率は100%が望ましい。
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