中国地方
社員数約300名、一部上場、ISO取得
1日約200物件の出荷
少量多種の製品をセクション分けによる多人数で制作しています。
基本的な製造の流れは
レーザー・タレパン→バリ取り→組立(溶接・ハンダ)→取り付け金具装着→仕上(ミガキ・HL・塗装等)→梱包→発送
で、製品によりV溝切削、プレスブレーキでの曲げ等もあり
それらがセットされる製品もあります。
少量多種(意匠が同じでもサイズ等違うことが多く、複数人が関わる製作工程で、同じ意匠でもほぼ製品ごとにオーダー品となり、多種製品、多人数製作、専門工程という、仕損に対処しにくい状況です。
専門部署もありますが下手に個別対処するとガチガチにもなり、対処の山が築かれていくことになり・・・
(既になっていますが)
このような問題を専門的に扱っておられる方が居られましたらアドバイスを頂けたらと思います。
製造工程が違うので、参考になるかどうかわかりませんが、現役時代経験した少量多品種生産工程での経験をご紹介します。
【工程の概要】
ドラムブレーキのバックプレートの半製品を、30台位の溶接機を使って一日数個から1,000を超えるものもある、20品種位を生産する工程です。多品種対応は、3人のセット漫画段取り替えをして対応します。
【問題の発生】
急激な増注を受けて夜中の10時12時まで生産しないことには対応できない状況なのに、不良品が多発して、混乱を極め、担当係長が根を上げて、後工程の係長である私に相談を持ち掛けてきたのです。
【問題の核心】
自工程の仕事が終わってから、説明を受けて観察して分かったことは、生産管理係が、必要生産数を、最も効率よく生産できるように作成した生産計画は、段取り替えが、3人のセットマンではやりおおせない時間帯があり、無理を押しての段取り替えが、品質確認が不十分になり、不良発生を招いていました。
【対策】
生産計画を、セットマンが、最も効率よく段取り替えを行えることを最優先にしました。尤も、そのような生産計画を組むのに、パソコンのない時代でしたから、私と担当係長は二週間位その日の内には帰れませんでしたが、その内に、一日の生産計画を幾つかのパターンに集約することができ、担当係長が昼ごろ出される翌日の生産要求量を基にほぼ時間内に生産計画を立案することができるようになりました。
その係長が、この生産計画に名前を付けてほしい、と言うので、セットマンが機台を渡り歩くことから、とっさに付けた名前は「キャラバン方式生産計画」でした。
【効果】
一週間後には2時間位の残業で済むようになったのですが、生産性が上がっただけでなく品質も劇的に良くなったのです。
その理由は、セットマン主体で一日の計画を作りますと、一人のセットマンで殆どけりが付き、残りを引き受ける二人目のセットマンは、断片的な時間になってしまいますが、半日分くらいの作業で終わりますので、三人目(最も優秀なセットマンにしました)と、二人目の空いた時間を使って、キャラバン方式生産計画の立案を阻む要因の改善に集中することができたのが大きかったのです。
【まとめ】
ご質問の内容からすると、この事例とはちょっと違うかもしれませんが、多品種少量生産の決め手は、段取り替えではないかと思いますので、この事例を参考にして頂き、御社に合った対応を計画、実行されればと思います。
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少量多品種の生産管理は、多くの担当者が悩まされています。この企業の場合は、1日約200物件、社員数約300名とすると、0.667物件・日/社員数1名となります。
毎日200物件あり、300名の多くの社員がかかわる為、生産管理が難しくなっているとおもいます。自動車の種類を数える時、車種やサイズなどで分けると「12500」種になると言われています。
車種とかの識別の例とした場合であり、実際に12500種あるわけではありません。多いと表示したいだけです。自動車の場合は車種・色などで区別すれば多種少量だが、乗用車と商業者と分ければ2種になるということが出来るという。(らしい。)
意匠、サイズ、オーダーなど、「グループ分け」を行うことで、200物件で300名の複雑な管理を求められますが、例えば30名が20物件を担う10社(グループ)で専門性と見えることが出来ます。
会社や製品などの特性を設定することが求められていると判断します。
竹田将文
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ご質問ありがとうございます。
すでに浅田専門家が「段取り」の重要性についてご説明下さり、また竹田専門家が「グループ分け」の必要性についてご説明下さっておられるので、補足として少し説明を加えさせていただきます。
説明の背景
産業も製品も異なりますが、ほぼオーダーメイドの製造ラインを手伝っています。数種類ある共通のコンポーネントを組み合わせて、大きさも容量も異なる製品を顧客ごとにオーダーメイドで仕上げる製造ラインです。
製造ラインはトヨタ生産システム(リーン)でいうところの「一個流し」と「セル生産」を採用しています。
各オーダー(筐体)にはバーコードが付けられており、セルに入るとオペレータはまずバーコードをスキャンします。スキャンするとオペレータの傍にあるモニターにグラフィカルな作業指示が表示されます。その作業指示書に従ってオペレータはコンポーネントを組み込んだり、各種作業を行います。
ネジ締めトルク、加工サイズの測定結果などはすべて自動でシステムに記録されます。またオペレータはモニター(タッチパネル)に表示されるチェックリストを一つずつタッチしながら作業を進めます。
そのセルの作業が完了すると、オペレータは再びバーコードをスキャンします。このときシステムに記録された測定値が基準から逸脱していたり、チェックリストに漏れがあると、その製品は次のセルに移すことができません。作業のやり直し、または製造ロスになります。
次のセルでもオペレータは同様のことを行います。しかし上流のセルで発生した不具合を発見した場合は、その製品を横にはじいています。
はじかれた製品は、それを修理する専門のオペレータによって修理され、極力製造ロスを防ぐようにしています。
また作業時間、加工サイズのバラツキ、不具合箇所、不具合率、スループット等の情報はすべてシステムに記録され、ダッシュボードの形でグラフ表示されるようになっています。
[これまでの準備]
まずパイロット生産に入る前に、オーダーメイドとはいえ、できるだけ製品の標準化を行いました(竹田専門家のいうグループ化)。そしてそれぞれのグループの工程分析、グループをすべて合わせた多品種工程分析を行い。セルの設計や配置、セルへの作業の割り当て等を検討しました(浅田専門家のいう段取り)。
また工程FMEAを行い、事前に工程リスクの低減を図りました。
パイロット生産では、発生した不具合の原因を徹底的に洗い出しました。作成した多品種工程分析図を基にC&Eマトリックスを作り不具合工程を特定したり、統計処理も加えプロセス改善(開発)を繰り返し行いました(DFSSプロジェクト)。
「一個流し」は次のセルに不具合製品を流さないことが絶対条件ですので、各セルでの製品点検方法、データの収集や分析方法も検討しました。またセルでの作業を効率的に進めるために、ジグの設計なども行いました(ポカヨケ)。
パイロット生産で洗い出した問題を解決したあと、モニターに表示する作業指示書などをつくり、バーコード等と一緒にシステム化しました。
[現状]
システムが軌道に乗るまで、リーン改善プロジェクトやシックスシグマ・プロジェクトとして、問題を一つずつ解決していきました。
今ではは、二日ほどのトレーニングを受けたパートタイムのオペレータでもオーダーメイドの製品を製造できるようになっています。
[今後]
製品が大きいので、セルといってもオペレータが製品の回りを動き回ります。そのためオペレータは作業指示書を読むために、モニターの前にいちいち戻らなくてはなりません。
モニターに表示される作業指示書を改善するために、仮想現実(バーチャル・リアリティ)のゴーグルをオペレータにつけてもらい、作業を行いながら作業指示書が読めるようなシステムを検討しています。
以上、産業も製品も異なると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
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