TQCの一環として3年前から始めた小集団活動ですが、最近は、停滞気味で成果が出ません。
自主的なグループ活動ですが、グループ員それぞれの“ヤル気”も出てきません。
全員がモチベーションを維持しながら活動を継続していく為のアドバイスをお願いします。
回答が遅くなり申し訳ありません。
TQC活動とは所謂QCサークルの事だとご推察致します。
活動初期はモチベーションがあったのが、時間が経過するにつれてマンネリ化して士気が下がるのはどこの会社でも一度は通る道であり、多くの経営者が感じる悩みです。ご心痛お察し致します。
一言で言うならモチベーションが下がるのは活動の目的や意義が不明瞭だからです。
何のために行うのか? やったら何が変わるのか? つまりWhyの部分が活動メンバーの中で明確化されていないために「自主的に」行うことが困難になるのです。
目的を明確化し、経営者意識を少しでも伝えることが重要ですが、これを行ってもなお難しいのが現状です。それは個々の従業員に能力ややる気の差が生じているからです。
サシミの法則(3:4:3の法則)と言うのがあります。
例えば蟻には、良く働く蟻、普通に働く蟻、働きが悪い蟻が3:4:3の割合で存在するそうです。
この数値の語呂合わせでサシミと言うのですが、自然界の法則であり一般的に従業員にもこれが当てはまります。
やる気があって自主的に活動してくれる層、言えばやるが自発的には動かない層、何を言っても響かずやる気が見られない層。これらを上から「人財」、「人在」、「人罪」と呼称します。
残念ながら全員が一律にモチベーションを維持し活動を継続する方法はありません。
では具体的にどうすれば良いか、サシミの法則を考慮して私の考えをお伝えします。
まずやる気がある3割でチームを構成し、模範チームとなってもらい実績を積む。ここでは失敗も成功も過程を含めオープンにし、他の従業員にも実感してもらいます。
やる気があるメンバーで行っているので自発的にPDCAが回りますから外部からの働きかけも少なくてすみます。
次に中間の4割の層にトップチームの成功事例を参考にやってもらいます。トップチームの人で指導に長けた人がいたらメンターとして権限を与え、指導に回らせると良いと思います。
人在チームの場合PDCAは自発的に回りませんから経営者やメンターが声をかけながらマネージしていく必要があります。とにかくやり続けてもらうのです。やり続けていたら習慣となり、自発的にやることが当たり前になります。
ここまで7割の従業員が出来るようになれば、残りの3割はマイナー層になり、やらないままでいることに危機感を感じ始めます。そうなると重い腰を動かして自分たちも加わろうとしていきます。
ポイントとして
1. 上位チームはやる気のある社員だけで構成する
2. 中間チームは人財を混ぜても良いが割合は3割以下にする
3. 人罪で権限や影響力がある人(管理職や年配者)を上位、中間チームに加えない
4. 成果を数値で分かるようにする(できれば営業利益など)
5. チーム間で相互発表の場を儲け、発信の場を増やす(活動をオープンにする)
何故やる気の無い人(人罪)を混ぜないかと言うと周りに負のオーラーを与えモチベーションを下げてしまうからです。有名な腐ったみかんの法則です。
以前行った企業セミナーのグループ実習での実例ですが、30代のやる気のある若手だけのグループでは意見が活発に出てすばらしい発表が聞けましたが、チーム替えで一人人罪の管理職が加わったら途端に意見が出なくなり発表もお粗末なものとなりました。
教育や人材育成もそうですが、一律に行っても効果は一律には現れません。
サシミの法則でわかるように打てば響く人もいれば暖簾に腕押しの人もいます。
人材教育の投資は効果の出る人から行うべきです。
かまどに火を灯す役割が出来るのは経営者の方のみです。
ご検討をお祈りします。
|
滞しているTQCを、再度、活性化させたい。
製品、活動の改善や効率化が進んでいないことは経営に対して大変なことであり、TQCが停滞していることに重大な危機感をお持ちの事と思います。
一方、改善提案活動が行われるなど、TQCとは異なる改善活動が行われていることとも推測します。そうすると、TQC活動が低調という事態は一連のTQC活動のどこかに問題があることになります。問題の生じている活動を特定するために、PDCAマネジメントサイクルで検討してみます。
改善目標の設定において、小集団活動の自主的な設定に依存していると、その集団の階層や部門の範囲で設定されることになります。その時に、「経営理念」や「経営方針」といった経営の大きな目標、意図の明確化や共有化の程度が問題になります。
大きな視点で改善点を捉えていないと、枝葉に関連する事項を捉えて、改善の成果が少なく低調になっていることが考えられます。
良い事例としては“クレオ”があげられます。
TQC活動を実施するためには、時間という資源が必要になります。的確な時間が提供されていないと、活動ができません。TQC活動がもたらす経営改善の成果を考え併せて適切な時間の提供が必要です。
例えば、実施している清掃と同じように、計画的に実施する体制を整えることが期待されます。
また、時間だけでなくTQCに関わる“知識”も必要な資源となってきます。
TQC活動を評価するためには、成果を測る尺度の設定が必要になります。成果発表が目的になっていると、発表することに向かって活動が実施され結果が測定されます。活動結果が経営改善に効果があったかどうかは、測定の対象になっていない可能がでてきます。
TQC活動発表のためにコストダウン目標が設定され活動行なわれ評価されていると、全体の経営改善のコスト計画と合っていないことが生じます。
適切な評価項目を定めていることが望まれます。
次の目標を設定するためには、従業員のモラール維持が欠かせません。労働安全衛生には「ハインリッヒの法則 300:29:1」があります。ヒヤリ・ハッとした事項が300件あって、29件の中程度の災害が発生していて、1件の重大災害が起きているとした分析があります。
同様に、TQC活動の中にも低調で成果の上がらない活動が300件あり、そこそこの結果が出ている活動が29件、大賞を取るような活動が1件といえるでしょう。
TQC活動が停滞しているときは、焦らずに300件を聞き続ける必要があるでしょう。実施者がモラールを低下しないように応援し続けることが望まれます。
製品や活動を改善するTQC活動の改善・向上の為に、品質ISOなどの他の技法を参考にしていくことが望まれます。例えば、経営方針や経営理念の策定及び周知の方法を検討するなどに用いることが考えられます。
ISO規格を経営改善に翻訳する中小企業診断士
竹田将文
mh55takeda@agate.plala.or.jp
|
TQCや、その後導入が進んだISO9000の品質マネジメントシステムも、停滞している原因は、ものづくり環境の変化と、それに伴う現場の実態に追いつけず、かけ離れてしまった事が大きな要因として考えられます。
1.今求められる品質とは
TQCは「全社的品質管理」の意味ですが、実際はQCサークル活動を主体とした、現場からのボトムアップの活動でした。日本のものづくり発展期には、品質への意識の高まり、統計的手法の普及など一定の成果を上げました。しかし、1960年代から始まったQCサークル活動も、バブル崩壊と共に下火になり、その間にものづくりの環境も激変しました。
グローバル競争激化、市場の成熟化、多品種少量生産などの要求に対して、品質管理の役割も変化しています。
今、ものづくりに求められているのは、第一に価格、第二にスピード、第三にサービスです。品質は市場では絶対にトラブルを起こしてはいけない、クレームゼロが求められています。
2.クレームゼロの実現方法
黙っていてもモノが売れた時代のボトムアップのQCサークル活動をそのまま、今導入しても、市場の満足を得られるモノは作れないのです。毎日作るモノが変化する製造ラインで、間違いのない製品を速く、安く作るには工場全体のモノの流れや、受注から出荷までの情報の流れ、協力工場も含めた生産管理体制構築が必要になってきます。
もちろん、現場の問題を一つ一つ解決していくことは重要です。ただそれは、一部署だけの最適な方法を考えるのではなく、全体最適化を考える必要があるのです。従来の職場ごとのバラバラのテーマで活動するQCサークル活動のやり方では、もう得られる効果はわずかです。
また、不良流出ゼロを実現するには、上流工程の未然防止対策が不可欠です。
現場の悪さを「カイゼン」するQCサークル活動では、小ロット品はすぐに生産が終わってしまうので、対策が間に合いません。未然防止の予防対策は、モノを作る前に実施する必要があるのです。
そして、不良の流出を防ぐには、何がなんでも流出を抑えるための監視、処理手順、組織体制づくりを行い、スピード解決させる必要があります。QCサークル活動期間終了を待って解決するのでは遅いのです。
3.新しい改善活動の在り方
1990年代に入るとISO9000の取得ブームが到来しました。今度は、欧米流のトップダウンの方針のもとに品質管理を行おうというものです。今までの日本のボトムアップ方式の品質管理とは正反対のシステムを構築しなければならなくなったのです。
そこで、新しい改善活動方式として脚光を浴びたのがトヨタ生産方式の導入を図る「JIT改革」や設備関係の運用改善を図る「TPM」、また「5S」活動などの、全社プロジェクト活動です。トップ方針が出され、強力に推進する活動はプロジェクトリーダーの指揮のもとに、課題解決までの一定期間活動を行います。
では、従来からのQCサークル活動はどのように継続させて行ったら良いでしょうか?
現場レベルで課題を解決していく活動は現在も有効です。但し、バラバラのテーマを勝手に決めるのではなく、トップ方針・目標に従って、各部署がその一部分の役割を担い活動し、会社のQCD目標に貢献することです。
(トップダウンとボトムアップの融合)
そして、活動が終わったら何も残らないのではなく、品質システムの改善案を提示し、ルールの見直しや、ノウハウシステムの充実・継承などを行っていくことが求められます。それには、品質保証部や経営層の関与、支援が必要となって、これが「全社的品質管理(TQC)」にもつながって行くのです。
サークル活動に当たって、従来はメンバーがQCストーリーやQC七つ道具を習得しました。しかし、これからはこれらに加え、「方針管理」や「プロジェクト活動」そして何よりも、「未然防止対策」のノウハウを習得していくことが重要と考えます。
(注)未然防止対策のノウハウとは
・信頼性設計手法
・タグチメソッド
・QFD
・FMEA/FTA
・ヒューマンエラー防止対策
|
伊藤コンサルティングの伊藤と申します。
小集団活動等の改善活動において、「モチベーションの維持」は永遠の課題です。
モチベーションを維持させるためのポイントの一つとして、「小集団各グループの目標設定が適切かどうか」ということがあります。
目標を達成した達成感や、仮に目標を達成できていなくとも目標により近づいていることがわかるということは、モチベーションを向上させる大きな要因となります。
自主的な活動であれば尚更です。
メンバーに如何に達成感を与えるか、ということはモチベーションを維持、向上させる重要なポイントの一つです。
そういったことから、グループ毎に適切な「目標設定」を行うということが必要となります。
もちろん、その目標は「品質目標」等の上位の目標に沿ったものである必要があるため、経営者の目標設定が重要です。
マネジメントレビューのように経営者が目標と実績をしっかりレビューし、課題を次の目標へフィードバックすることが必要となります。
そして適切な「目標設定」のためには、その目標に対してどの程度達成しているかどうかを明確にできる(見える化できる)「指標」の設定が重要となります。
人間、ゴールが近づいていることがわかると俄然ヤル気が出てきますが、ゴールが見えず、今自分がどの地点かにいるかもわからない状態ではそうなりません。
小集団活動についてもこれと同じことが言えます。
また、小集団活動を統括している管理監督者や、経営者のバックアップも必要となります。
小集団活動からの提案等について、経営者や管理監督者から何等かのアクションやフォローも無い状態だと、メンバー自身が「やってもムダ」と考えるようになり、モチベーションが低下する一因となります。
結果のみにフォーカスするだけでなく、途中のプロセスにおいても、特に管理監督者が定期的にフォローすることも必要です。
このように小集団活動は、メンバーに任せきりにするのではなく、経営者や管理監督者といった各層も適切に関与するといったこともモチベーションを維持させるポイントの一つです。
ご参考になれば幸いです。
|