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QUESTION 質問No.84

社員が自律的に挑戦する一体感が欲しい

全体/その他人的資源マネジメント |投稿日時:
創業35年社員数43名の製造企業の創業社長です。

部品加工から始めて20年前から搬送設備を手掛け、10年前から工業技術センターと共同開発した画像解析付きの検査設備がヒットして年商10億まで到達しました。

昨年、社長職は営業畑生え抜きの専務に譲り、私は会長職として外部団体で活動しながら、週に2回ほど会社に顔を出す程度です。

新社長はそつなく経営をこなしていますが、私が全権を持っていた時に比べると、会社全体が一丸となって新しい目標に向かっているという迫力に欠けているように感じます。

もちろん創業者と同じメンタリティを持つことを期待するのは酷ですが、精神力と技術力、管理能力を社員一人ひとりが自律的に習得していかねば、いつか必ずやってくる社会環境の変化に耐えられません。

私が完全に離れた後も、新社長のもとで全社員が気持ちを奮い立たせて、新しい目標に向かってくれるような方法がありましたらご教授下さい。よろしくお願い致します。


【これは事務局が考えた架空の、しかしどこかにありそうな質問です】

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

43人規模の企業ですと、社長の言動、行動が直に社員に伝わります。
従って、新しい社長が「精神力と技術力、管理能力を社員一人ひとりが自律的に習得していかねば・・・」と考え、行動しなければ、社員はその気にはなりません。
ここでは新社長の課題と、その解決方法を考えてみます。

1.現状分析と課題
「社長職は営業畑生え抜きの専務に譲り」「新社長はそつなく経営をこなしていますが」の内容から新社長は、マネジメント能力が、やや不足しているのではないかと推測致します。
長年創業社長の右腕となって営業面での実績を上げた功績は大きいのですが、経営マネジメントの経験はほとんど無かったと考えられます。
また創業社長が描いた理念やこうありたいというビジョンも、新社長の頭の中から薄れているものと思われます。

2.解決方法
新社長のもとで全社員が気持ちを奮い立たせて、新しい目標に突き進んでいくには、新社長の自覚と行動が必要になってきます。

①会長から新社長への引継ぎ
創業から、現在まで一貫して守り続けた会社の理念と、将来のビジョンを会長から新社長へ改めて伝え、それを基本にしたこれからの新しいビジョンを新社長として考え、明文化し、全社員に伝えます。
ここで、初めて新社長として、会社の将来像と、何を重点にやっていきたいのか?が社員に伝わり、新社長に対する不安もなくなり、全員一丸となって新しい目標に向かって進むことができる環境が整うのです。

②戦略の具体化
経営トップとして、日常業務を処理するだけでなく、社員の育成・強化をどう図って行くか?組織をどう強化するのか?新しい市場にどう打って出るのか?など会社の長期戦略立案を行う必要があります。
そして、それを全社員にブレークダウンして、全員でその目標に向かって進めて行けるよう、社内のPDCAの仕組みを構築していくことが求められます。

③経営者の自己啓発
経営トップは日常業務(戦術)をできるだけ部下に権限委譲し、その代り環境変化を読みながら適応していく戦略に目を向ける必要があるのです。
中小企業では、「組織論」「経営戦略論」「マーケティング」などを学んだ事がない経営者も多く存在します。経営者の学習グループなどに参加して相互啓発を図り、また講師を招いて経営マネジメントを学ぶ事など、経営者としての自己啓発も重要な事項です。

④外部の助言活用
外部から信頼できる専門家を招く、外部機関の診断を受けるなど、第三者によって会社の課題を浮き彫りにして、改善を図って行く方法も有効な手段と考えられます。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

 人財開発戦略、教育プログラム構築、キャリアカウンセリング、人財開発コンサルティングなどに携わってきた経験から、できるだけ簡潔に、留意点をアドバイスします。結論として、御社に合った適切な方法を3つにまとめると、次のようになります。
(1)会社の経営理念や価値観を、経営者レベル、部門レベル、部員レベルまでブレークダウンさせた方針展開表を作成する。
 経営理念、会社の目標、部員の目標の整合性を図ることが、全社一丸経営を目指すための重要な方策となります。具体的には、経営理念と関連付けられた重点施策、各々の管理特性、定量化した目標値、納期等をマトリクス表で可視化します。この表を整理するだけでも、何が問題なのかが顕在化できます。
(2)会社及び社員の両者が、環境変化に柔軟に対応する仕組みを構築する。
 環境変化が激しい現代、想定外の出来事で計画を変更せざるを得ないことが発生しているのではないでしょうか。それに対して、想定外の出来事を否定的に捉えず望ましいものであるとし、社員のキャリア形成のチャンスと捉えることです。そのためには、社員の①好奇心、②挑戦心、③学習心等を支援することを仕組みとして考えることです。例えば、厳しいときこそ、組織形態、研修制度等により、新事業や新技術の学習や挑戦の機会をつくる仕掛けを考えることです。
(3)社風を自由闊達に変革し、従業員の知恵をどんどん出させる。
 比較的簡単に実施でき、自律思考のクセをつける方法を一つ紹介します。重要テーマの場合は、本質的な目的を問い直す目的展開を組み込んだ「ワイガヤ」を根付かせることです。ブレーンストーミングの中で、「○○は何のためにあるのか」、「我が社は、社会にどんな貢献ができるか」というような目的展開を意識的に行うクセを付けていきます。なお、日常業務の場合は、提案制度等を推奨していけばよいと思います。

 社員の自律性を高めるためには、モチベーションを上げる必要があります。ここで、それらを裏付ける理論について補足しておきます。一般的に、モチベーションは、職場環境の良さ、休みの多さ、処遇の高さなどだけでは、時的にしか改善できません。いままでの人財戦略、研修実施結果、人財及び技術コンサルティング経験等から、モチベーションを上げるには、次の4つが効果的と考えれれます。この中から、一つでも二つでも御社に合ったものがあれば採用していただければ幸いです。
(1)テーマの面白さやチャレンジ
この裏付けとして、ブルームの期待値理論があります。ブルームはモチベーションを引き起こす誘因として、テーマの魅力度、テーマ達成の可能性を挙げています。
(2)テーマを実行する目的・意義および組織的貢献感
この裏付けとして、ブルームの期待値理論、アトキンソンの期待×価値モデル、フランクルの意味への意思があります。アトキンソンの期待・価値モデルは、難しい課題ならば、達成されたときには、大きな喜びとなる。目標が容易に達成されるものは、成功への主観的確率は高いが、目標の魅力度は低くなる。つまり、「出来るかもしれないし、出来ないかもしれない」ときに、課題への動機付けが最も高まるとしています。フランクルの意味への意思は、人間とは意味を求める存在である。意味を見出す方法は3つあり、何かを創造したり、何かを体験したり、自らの運命に対して取る心構えと態度であるとしています。
(3)チーム等のコミュニケーション
この裏付けとして、エドワード・デシの関係性への欲求、マズローの所属欲求があります。エドワード・デシの心理的欲求の意味は、人が生得的に持っている心理的欲求として、自律性への欲求、有能感への欲求、関係性への欲求の3つを上げています。有能感とは、コンピテンシー(思考・行動特性)のことであり、関係性とは、コミュニケーションのことです。
(4)メンバー・お客様などから認められること
この裏付けとして、マズローの承認欲求があります。


 回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂