乾燥技術入門
乾燥原理、製品品質に及ぼす乾燥操作の影響、
トラブルシューティングまで分かりやすく解説します!
セミナー趣旨
乾燥操作は熱を与えて水分を蒸発させる点から相変化を伴う熱と物質の同時移動操作である。
先ず予備知識として湿り空気の諸性質,熱と物質の同時移動の典型例である湿球温度の概念,湿度図表を解説する。次に含水率,材料中での水分の保持状態を解説し,乾燥のメカニズムおよび乾燥速度の定量的な捕らえ方を講義する。さらに乾燥時間を短くするコツを紹介する。
多種多様な材料を乾燥するために数多くの乾燥装置が開発されている。ここでは,乾燥装置の選定と設計および省エネルギーのポイントを解説する。
最新技術動向としては,組成偏析,材料の変形やクラックの発生,材料の表面平滑性,残留溶媒の低減策を乾燥メカニズムの観点から講述する。さらに,塗布膜乾燥,乾燥過程でのフレーバー散失,酵素の熱安定性向上,超臨界乾燥あるいは凍結乾燥による乾燥収縮防止を取り上げ,製品品質に及ぼす乾燥操作の影響に関して基本的な考え方を解説する。
講演の最後には乾燥操作のトラブルシューティングに関する質問を受け付ける。
セミナープログラム
1.乾燥とは?
1-1.乾燥の予備知識
1-1-1.乾燥操作の量的関係を知ろう(物質収支と熱収支の考え方)
1-1-2.空気の性質を知ろう(湿度,湿り空気の物性値)
1-1-3.材料温度を知るヒント(湿球温度と断熱飽和温度)
1-1-4.乾燥中の空気の状態変化を知る武器(湿度図表)
1-1-5.一般の気液系の取り扱い(湿度,物性値,湿球温度と断熱飽和温度)
1-1-6.材料は水分をどれだけ含むか?(含水率の定義)
1-1-7.材料をどこまで乾燥できるか?(平衡含水率と自由含水率)
1-2.乾燥時間短縮のために
1-2-1.材料は水分をどのような状態で含むか?(水分の保有状態と移動機構)
1-2-2.乾燥の挙動を知る(乾燥特性曲線,乾燥の3期間)
1-2-3.なぜ乾燥速度が一定なのか?(定率乾燥速度)
1-2-4.熱風の状態が変わればどうなるか?(通気乾燥速度)
1-2-5.乾燥速度はどのように減少するか?(減率乾燥速度)
1-2-6.乾燥時間を短くするコツ(減率乾燥速度曲線の形)
2.乾燥装置の選定は?
2-1.乾燥装置のいろいろ
2-1-1.乾燥装置の特徴を知る(乾燥装置の分類と特徴)
2-1-2.乾燥装置をどう選ぶ?(乾燥操作の特異性と考慮事項)
2-2.装置容積を見積るには?
2-2-1.装置容積の概算法
3.乾燥装置の設計と省エネルギーは?
3-1.乾燥装置を設計するには?(乾燥装置の設計の基礎)
3-2.省エネルギーは?(熱効率と指標「蒸発能力」)
4.乾燥操作と製品品質の関係は?
4-1.乾燥のメカニズムと品質保持
4-1-1.組成のムラはなぜ生じるか?(組成偏析とバインダーの移動)
4-1-2.剥離,クラック,変形はなぜ生じるか?(乾燥応力と乾燥速度)
4-1-3.表面平滑性を保つには?(平滑性に及ぼす乾燥条件の影響)
4-1-4.残留溶媒を効率よく低減したい(水蒸気などの共存効果)
4-2.粒子分散系塗布膜乾燥
4-2-1.粒子分散系塗布膜乾燥の特徴を知ろう(乾燥挙動と乾燥モデル)
4-2-2.表面平滑性を保つコツ(平滑性に及ぼす乾燥条件の影響)
4-2-3.どのような乾燥方法が良いか?(塗布膜乾燥の指針)
4-3.乾燥過程におけるフレーバーの保持
4-3-1.なぜ乾燥過程でフレーバーが保持?(選択拡散理論)
4-3-2.噴霧乾燥過程でフレーバー散失を防ぎたい(選択拡散理論の応用)
4-3-3.凍結乾燥過程でフレーバー散失を防ぎたい(微小領域説)
4-4.糖類のアモルファス構造を利用した酵素の熱安定性の向上
4-4-1.酵素の熱安定性を向上させたい(糖添加の効果)
4-4-2.糖の種類をどう選ぶか(熱安定性の指標の提案)
4-5.超臨界乾燥と凍結乾燥を利用した多孔性カーボンの作製
4-5-1.どのようにゲルの収縮を防ぐか?(超臨界乾燥と凍結乾燥)
4-5-2.カーボンの多孔構造を制御するコツ(合成条件と乾燥法)
5.乾燥操作のトラブルシューティング(質疑応答を中心に)
乾燥、装置、操作、メカニズム、省エネルギー、設計
セミナー講師
京都大学 名誉教授 工学博士 田門 肇 氏
セミナー受講料
55,000円(税込、資料付)
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