結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

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結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

【目次】

    1. 生活にはなくてはならない材料、シリカ

    シリカを構造で分類した場合、結晶性と非晶質に大きく分けられ、同じシリカでも似て非なるものです。結晶性シリカと非晶質シリカはどちらもさまざまな分野で使用されていて、みなさんの生活にはなくてはならない材料です。自然界において結晶性シリカは、火山噴火により地表に噴出したマグマ(溶岩)が冷却されることにより作られます。地殻中に含まれている元素を多い順に並べたものをクラーク数といい、シリコン(Si)は酸素(O)に次いで2番目に多く、噴火により地表噴出したマグマは溶岩となり、この溶岩が冷却されるときの温度や速度、圧力によりさまざまな結晶構造を持ったシリカ(SiO2)が形成されます。地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由の一つです。今回は、結晶性シリカの構造と種類、地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由、結晶性シリカの用途ならびに評価方法について解説していきます。

     

    2. 結晶とは

    (1) 結晶

    固体には、物質を構成する粒子(原子や分子、イオンなど)が規則的に配列しているものと、そうでないものがあります。粒子が規則的に配列している固体が結晶です。結晶の代表的な存在としては、雪・塩・水晶・ミョウバンなどが挙げられます。雪は水分子が、塩はナトリウムイオンと塩化物イオンが規則的に配列して、結晶となったものです。

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    Photo1. 塩の結晶 1)

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    Photo2. 雪の結晶 2)

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    Photo3. みょうばんの結晶 3)

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    Photo4. 水晶の結晶

    (2) 単結晶

    単結晶とは、1個の結晶内のどの部分を覗いても、原子配列の向きが全て同一であるものをいいます。単結晶内の一定方向では、原子は必ず等間隔に並んでいき、同じ方向の断面では、すべてに同じ原子の配列模様が現れる特徴があり、単結晶の集合体が、多結晶と呼ばれています。単結晶のシリコンインゴットを薄くスライスしたウェハ―は、太陽電池材料として用いられています。

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    Photo5. 単結晶シリコンウェハ― 4)

     

    3. 非晶質とは

    粒子が規則的に配列していない固体は「非晶質」と呼ばれています。代表的なものでは、ガラスやゴムが挙げられます。ガラスの分子構造は、ケイ素原子(赤丸)と酸素原子(水色丸)からなり、構造がばらばらで規則性がないのが特徴です。

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    Fig1. ガラス 5) とその分子構造 6)

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    Fig2. ゴム 7) と分子構造

     

    ゴムは、ゴム材料は網目構造になっており、網目が交差している点を架橋点といい、網目自体は自由に動くことができますが、架橋点によって拘束されています。この網目と架橋点によって、伸びたり縮んだりするゴムとしての特性が生まれます。

     

    4. 結晶性シリカとは

    結晶性シリカとは、文字通り結晶したシリカとなります。結晶性シリカには、石英、クリストバライト、トリディマイト等があります。Fig3に示すように、石英は、ケイ素原子(赤丸)と酸素原子(水色丸)からなる6角形の構造の繰り返しにより結晶を形成しています。

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    Fig3. 石英の結晶構造 6)

    (1) SiO4と結合角

    シリカはSiO4構造を基本骨格として、この基本骨格を基本によりさまざまなシリカが形成されます。天然での主要造岩鉱物も、SiO4四面体が集合体で、ケイ酸塩鉱物と呼ばれています。ちなみに、SiO4四面体はO原子が隣り合う2個のSi原子に共有されて結合しているため、組成を示すときはSiO2として表現されます。

    • Si:1個
    • O:4×1/2=2個

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    Fig4. SiO4構造と共有酸素原子

    基本的に、SiO4 四面体構造どうしのSi結合角は常に 109.5°で一定です。しかし、温度や圧力が変化するとSiO4 四面体の連結方法が変わるため、O の結合角は 140~ 180°の範囲内で変化します。それに伴って、結晶構造も変化することになります 。

    結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

    Fig5. SiO4構造どうしの結合角

     

    (2) 温度と圧力の関係

    一般に、高温でSiO4 四面体は O2-同士の反発力が増し、Si-O-Si 結合角は大きくなり、低密度の結晶構造へ変化しやすくなり、低温ではこの逆の傾向を示します。一方、高圧では、結晶内での SiO4 四面体間の空隙が減るため、Si-O-Si 結合角は小さくなり、高密度の結晶構造へ変化しやすくなり、低圧ではこの逆の傾向を示します。つまり、圧力が高くかつ温度が低いものほど結晶密度が高密度化し、反対に圧力が低くかつ温度が高いものほど結晶密度が低密度するといえます(Fig6)

    Fig6. 温度と圧力による結晶構造変化の関係

    (3) 冷却速度と転移

    結晶性シリカは、ダイヤモンドと同じく純粋な共有結合の結晶としてよく扱われます。また、熱や圧力で構造変化をするため多くの形を持ったものが存在します。また、構造が異なると性質も異なるため、結晶性シリカは、性質もそれぞれ異なります。SiO2融解液の冷却速度と転移の関係についてFig7に示します。

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    Fig7. SiO2融解液の冷却速度と転移の関係

    SiO2融解液が、1713℃に冷却されることによって高温型クリストバライト、1470℃では高温型トリディマイト、867℃では高温型石英となります。また、高温型を更に急冷することで、それぞれ低温型のものが作られ、すべて結晶構造が異なります。更に、SiO2融解液を急冷することで非晶質の石英ガラスとなり、一般にガラスはこの方法で製造されます。

     

    (4) 結晶性シリカの構造

    Fig8に結晶性シリカの種類とその構造を示します。前述しましたように結晶性シリカは、温度や圧力によりSiO4どうしの結合角により構造が決まり、合計8つの形態が存在します。それぞれの物性に影響します。石英では、低温型(α)、高温型(β)で結合角がそれぞれ146.5°、155°となり、結晶系も三方晶と六方晶系と異なります。また、外観も異なります。クリストバライトでは、低温型(α)、高温型(β)で結合角がそれぞれ180°よりやや小さい、180°となり、結晶系も正方晶系と立方晶系と異なります。トリディマイトもクリストバライトと同様の傾向を示しますが、結晶系は、低温型(α)が斜方晶系や単斜晶系、高温型(β)では六方晶系を示します。超高圧で安定なコーサイトやスティ ショバイトは、低温型、高温型の区別はなく、結晶構造はそれぞれ、単斜晶系、正方晶系となります。

     

    8つの形態のうち地球上で圧倒的に多量に産出するのは低温型(α)石英であり工業材料として多くの分野で利用されています。一方、コーサイト、スティショバイトは、非常に硬度が高く、密度が大きく、弗化水素に対する耐性を有しているため、魅力的な工業材料である。しかし、非常に高い高圧が必要なため、自然界では非常に希少価値の高いシリカです。

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    Fig8. 結晶性シリカの種類とその構造

     

    5. 結晶学から見た場合

    (1) 結晶系

    結晶系とは、鉱物を形づくる分子の並びを、並び方の違いによって分類したもので、結晶系が同じなら、成分が異なる違う鉱物でも基本的に同じ形になります。結晶系では、分子同士の相対的な位置関係を示す仮想的な軸(結晶軸)でその本数と長さ、それぞれの交わる角度で分類され、それぞれ対称性が異なる結晶構造を取ります。結晶系はFig9で示すように立方晶系、正方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系、六方晶系、三方晶系の7種類に分類されます。

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    Fig9. 結晶系の種類  

    鉱物が成長する際に、すべての方向に綺麗に成長した場合、結晶系に準じた形態を持ちます。しかし、実際には様々な環境の影響を受け、細長くなったり角がとれたりと、色々な形の結晶が形成されます。

    (2) 単位格子

    結晶質物質をつくっている空間格子の最小単位で、この三次元的くり返しによって結晶がつくられています。実際には、一つの平行六面体の中に原子が規則的に配列され、別名単位胞ともいわれています。単位格子には、六面体の8つの角に原子が配列されたものを単純格子、単純格子に加えて、中心に原子が配列された対心格子、6面に原子が配列された面心格子、対象な2面に配列された底心格子に分類されます。

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    Fig10. 単位格子の種類

    (3) プラベー格子

    プラベー格子とは、結晶系と単位格子を組み合わせることで結晶構造を分類する方法で、立方晶系は、単純立方格子、対心立方格子、面心立方格子。正方晶系は、単純正方格子、対心立方格子。斜方晶系は、単純斜方格子、対心斜方格子、面心斜方格子、底心斜方格子。単斜晶系は、単純単斜格子、底心単斜格子。その他、六方格子、三斜格子、三方格子と合計で、14種類のプラベー格子に分類されます。

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    Fig11. プラベー格子の分類

    (4) クリストバライトを例に

    クリストバライトは結晶性シリカの一種で、結晶系は正方晶系、プラベー格子は面心立方格子のためのような構造を取ります。

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    Fig12. クリストバライトの結晶系とプラベー格子 8)

    共有部は、青丸で囲った部分は、1/8×8で1個、赤丸で囲った部分は1/2×6で3個、非共有部は4個です。よって、クリストバライトは1つの格子中に8個のSiを有していることになります。

     

    (5) 天然シリカとの関係

    天然で結晶性シリカは、火山噴火により地表に噴出したマグマ(溶岩)が冷却されることにより作られます。地殻中に含まれている元素を多い順に並べたものをクラーク数といいますX)。Siは酸素に次いで2番目に多く、噴火により地表噴出したマグマは溶岩となり、この溶岩が冷却されるときの温度や速度、圧力によりさまざまな結晶構造を持ったシリカが形成され、地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由の一つです。

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    Photo6. 火山から噴出したマグマ(溶岩)9)

    6. 結晶性シリカの用途

    (1) 宝石

    宝石用途としての結晶性シリカは、紫水晶(アメジスト)、黄水晶(シトリン)などがあります。発色は、双方とも微量に含まれている鉄イオンと酸素原子の電荷移動により起こります。このとき、紫水晶が450~500℃で加熱されると黄水晶になるため、紫水晶に比べて希少性が高いものとなります。一般に結晶質のものは、非晶質に比べて透明度が高いため、シリカをはじめ結晶質の宝石にはたくさんの種類があります。

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    Photo7. 紫水晶の原石と宝石 10)

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    Photo8. 黄水晶の原石と宝石 11)

    (2) 産業用途

    産業用途としての結晶性シリカの代表として珪石や珪砂が挙げられます。また、人工水晶は、圧電素子に用いられ、ラスカと呼ばれる天然水晶を種水晶に再結晶させる水熱合成法で育成することで製造されます。

    ① 珪石(硅石)

    珪石類は、鉱山の性質と用途の面から白珪石・炉材珪石・軟珪石の3種類に大別されます。

     白珪石

    SiO2の含有量が99.5%以上のものは、光学ガラス・石英ガラス等に利用されています。更に、純度が高い97~99%のものは、合金製造用フェロシリコンや人造珪砂等に利用されています。

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    Photo9. 白珪石 12)

     炉材珪石

    炉材用の珪石で耐熱性が高く、珪石レンガをはじめ、近年は軽量気泡コンクリート骨材や保温材等の珪酸カルシウム製品に利用されています。

     軟珪石

    白珪石よりも純度SiO2純度が85~95%と低く、セメント用原料や一部建材用骨材に利用されています。

    ② 珪砂(硅砂)

    珪砂は『けいしゃ』といい、珪酸分(SiO2)を主成分とする石英の砂で、天然珪砂・人造珪砂の2種類に大別されます。天然珪砂は、石英砂の状態で陸地に地層として分布したものや、河口や海岸で砂浜として形成されたものがあり、人造珪砂は、珪石原鉱を粉砕、篩い分けて砂状にしたものです。

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    Photo10. 珪砂の拡大写真 13)

    珪砂は、ガラスや、合成シリカの原料、シェルモールド法をはじめとした鋳型、建築ボードや屋根瓦等の建築材料、研磨剤、バンカー砂、耐火物、窯業等幅広い分野に使用されています。シェルモールド法とは、金型を使って鋳造品を製造するための精密な砂型を造る技術で、砂型強度が非常に強力で金属の膨張にも耐えられるため、寸法精度が非常に良く、焼付きも少なく表面が滑らかなのが特徴です。このため複雑な形状の鋳物に用いられています。

     

    世界最大級の硅砂鉱山から産出されるオーストラリアのフラタリーで産出されるフラタリーサンドは、SiO2の純度が高く不純物が少なく、安定した粒度分布に加え、粒形が良いこと、耐破砕性に優れていることなどから上述した多くの用途に使用されています。

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    Photo11. フラタリーの珪砂鉱山 14)

    ③ 圧電素子

    圧電現象とは、結晶材料に圧力が加わることによって電荷が発生する現象のことで、圧電素子は、一定の周波数を生み出す素子のことです。圧電素子には、人工水晶がよく用いられ、周波数を制御する電子部品の一つとして周波数標準や時刻の基準などに使用されています。例えば、通信機器や産業機器、車載機器などの分野における製品の周波数信号源、時計のタイミングクロック、さらにデジタル回路のクロック源としてなど、幅広い分野でいくつもの水晶発振器が使用されています。人工水晶の圧電素子は、水晶原石から水晶片を切断する方位によって振動モードが決まります。一般的にはATカットやBTカット、Xカットなどがあり、特にATカットは常温付近の温度変化が少ないため、最も多く使用されています(Fig13)。また、水晶発振器は、水晶振動子と発振回路(IC)を1つのパッケージに入れ込んだ電子部品です(Fig14)。

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    Fig13. 人工水晶における切断方位(Z板)15)

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    Fig14. 水晶発振器の構造 15)

    7. 結晶の評価方法

    結晶性シリカのようなセラミックス結晶や金属結晶を評価する方法として、X線回折法(X-ray Diffraction: (XRD))が用いられています。XRDとは、X線が結晶格子中で回折を示す現象で、X線を結晶に照射するとBraggの法則を満たした方向のみにX線が回折され、結晶構造を反映したパターンが生じます。物質はそれぞれ特有な規則性を持つ結晶を作ることができることで、XRDによりその有無が判別でき、ここから化合物の種類を調べることもできます。X線回折法(XRD) は汎用性の高い非破壊分析手法であり、粉末サンプル、固体サンプル、液体サンプルの相組成、結晶構造、配向などの物性を分析するために使用されています。

     

    (1) 装置の概要

    近年では、XRDも小型化、高性能化が進み、卓上型のものも上市されています。また、電離放射線障害防止規則第15条適用外のため、X線作業主任者の選任が不要です。Fig6にXRDの一例を示します。

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    Photo12. XRDの一例 16)

    (2) XRDの原理

    ① 回折

    回折とは、波が障害物の横や隙間を通って、その裏側に回り込もうとする現象です。例えば、部屋のドアが閉まっていても声が中まで聞こえてくるのは、音が壁を通り抜けたのではなく、ドアのわずかな隙間から音が侵入し、回折したからです。回折は、通り抜ける隙間の幅に比べて波長が同程度か、それより長いときは回折が顕著になります。XRDの場合は、波の発生源はX線、隙間は結晶格子になります。

    Fig15. 回折の原理 17)

    ② Braggの法則

    ブラッグ(Bragg)の法則とは,波のたどる道のりの差(行路差)が波長の整数倍のときに強めあう現象で、次の式を用いて説明できます。

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    入射光が経路 A’O’B’ をたどるとき、経路 AOB を進むよりも余分な距離を進まなければいけません。このとき、どれだけ余分な距離(行路差)は、Fig16のようになります。

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    Fig16. Braggの法則 18)

    一つの線分の長さは,「長さ d の斜辺を持つ直角三角形」の,「角度 θ を持つ角」と向き合う辺の長さだから,d sin θ になります。行路差はこの線分の二つ分だから2d sin θ になるということになります。XRD測定では、結晶質のものは回折をしてBraggの法則に従いピークが現れます。このため、結晶性シリカである石英にはピークが現れますが、シリカゲルは非晶質のため、ピークが現れずブロードとなり、ハローパターンを示します。

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    Fig17. 石英とシリカゲルのXRDパターン

    (3) XRDの特徴

    XRDには次のような特徴があります。

    1. 主に定性分析に用いられています
    2. 単結晶、粉末、表面分析ができます
    3. 結晶の秩序性、分布状態を測定できます

    (4) 課題

    XRDは、簡単に結晶の有無が確認できるため、材料分析をはじめさまざまな分野で用いられています。ししかし、回折X線のピーク強度は結晶含有量、結晶性、配向性に影響されるため、測定時には注意が必要です。また、濃度等を求める定量分析にも使用できますが、標準物質を用いる必要があり、その作成や入手が難し...

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    【目次】

      1. 生活にはなくてはならない材料、シリカ

      シリカを構造で分類した場合、結晶性と非晶質に大きく分けられ、同じシリカでも似て非なるものです。結晶性シリカと非晶質シリカはどちらもさまざまな分野で使用されていて、みなさんの生活にはなくてはならない材料です。自然界において結晶性シリカは、火山噴火により地表に噴出したマグマ(溶岩)が冷却されることにより作られます。地殻中に含まれている元素を多い順に並べたものをクラーク数といい、シリコン(Si)は酸素(O)に次いで2番目に多く、噴火により地表噴出したマグマは溶岩となり、この溶岩が冷却されるときの温度や速度、圧力によりさまざまな結晶構造を持ったシリカ(SiO2)が形成されます。地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由の一つです。今回は、結晶性シリカの構造と種類、地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由、結晶性シリカの用途ならびに評価方法について解説していきます。

       

      2. 結晶とは

      (1) 結晶

      固体には、物質を構成する粒子(原子や分子、イオンなど)が規則的に配列しているものと、そうでないものがあります。粒子が規則的に配列している固体が結晶です。結晶の代表的な存在としては、雪・塩・水晶・ミョウバンなどが挙げられます。雪は水分子が、塩はナトリウムイオンと塩化物イオンが規則的に配列して、結晶となったものです。

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      Photo1. 塩の結晶 1)

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      Photo2. 雪の結晶 2)

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo3. みょうばんの結晶 3)

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo4. 水晶の結晶

      (2) 単結晶

      単結晶とは、1個の結晶内のどの部分を覗いても、原子配列の向きが全て同一であるものをいいます。単結晶内の一定方向では、原子は必ず等間隔に並んでいき、同じ方向の断面では、すべてに同じ原子の配列模様が現れる特徴があり、単結晶の集合体が、多結晶と呼ばれています。単結晶のシリコンインゴットを薄くスライスしたウェハ―は、太陽電池材料として用いられています。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo5. 単結晶シリコンウェハ― 4)

       

      3. 非晶質とは

      粒子が規則的に配列していない固体は「非晶質」と呼ばれています。代表的なものでは、ガラスやゴムが挙げられます。ガラスの分子構造は、ケイ素原子(赤丸)と酸素原子(水色丸)からなり、構造がばらばらで規則性がないのが特徴です。

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      Fig1. ガラス 5) とその分子構造 6)

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig2. ゴム 7) と分子構造

       

      ゴムは、ゴム材料は網目構造になっており、網目が交差している点を架橋点といい、網目自体は自由に動くことができますが、架橋点によって拘束されています。この網目と架橋点によって、伸びたり縮んだりするゴムとしての特性が生まれます。

       

      4. 結晶性シリカとは

      結晶性シリカとは、文字通り結晶したシリカとなります。結晶性シリカには、石英、クリストバライト、トリディマイト等があります。Fig3に示すように、石英は、ケイ素原子(赤丸)と酸素原子(水色丸)からなる6角形の構造の繰り返しにより結晶を形成しています。

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      Fig3. 石英の結晶構造 6)

      (1) SiO4と結合角

      シリカはSiO4構造を基本骨格として、この基本骨格を基本によりさまざまなシリカが形成されます。天然での主要造岩鉱物も、SiO4四面体が集合体で、ケイ酸塩鉱物と呼ばれています。ちなみに、SiO4四面体はO原子が隣り合う2個のSi原子に共有されて結合しているため、組成を示すときはSiO2として表現されます。

      • Si:1個
      • O:4×1/2=2個

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      Fig4. SiO4構造と共有酸素原子

      基本的に、SiO4 四面体構造どうしのSi結合角は常に 109.5°で一定です。しかし、温度や圧力が変化するとSiO4 四面体の連結方法が変わるため、O の結合角は 140~ 180°の範囲内で変化します。それに伴って、結晶構造も変化することになります 。

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      Fig5. SiO4構造どうしの結合角

       

      (2) 温度と圧力の関係

      一般に、高温でSiO4 四面体は O2-同士の反発力が増し、Si-O-Si 結合角は大きくなり、低密度の結晶構造へ変化しやすくなり、低温ではこの逆の傾向を示します。一方、高圧では、結晶内での SiO4 四面体間の空隙が減るため、Si-O-Si 結合角は小さくなり、高密度の結晶構造へ変化しやすくなり、低圧ではこの逆の傾向を示します。つまり、圧力が高くかつ温度が低いものほど結晶密度が高密度化し、反対に圧力が低くかつ温度が高いものほど結晶密度が低密度するといえます(Fig6)

      Fig6. 温度と圧力による結晶構造変化の関係

      (3) 冷却速度と転移

      結晶性シリカは、ダイヤモンドと同じく純粋な共有結合の結晶としてよく扱われます。また、熱や圧力で構造変化をするため多くの形を持ったものが存在します。また、構造が異なると性質も異なるため、結晶性シリカは、性質もそれぞれ異なります。SiO2融解液の冷却速度と転移の関係についてFig7に示します。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig7. SiO2融解液の冷却速度と転移の関係

      SiO2融解液が、1713℃に冷却されることによって高温型クリストバライト、1470℃では高温型トリディマイト、867℃では高温型石英となります。また、高温型を更に急冷することで、それぞれ低温型のものが作られ、すべて結晶構造が異なります。更に、SiO2融解液を急冷することで非晶質の石英ガラスとなり、一般にガラスはこの方法で製造されます。

       

      (4) 結晶性シリカの構造

      Fig8に結晶性シリカの種類とその構造を示します。前述しましたように結晶性シリカは、温度や圧力によりSiO4どうしの結合角により構造が決まり、合計8つの形態が存在します。それぞれの物性に影響します。石英では、低温型(α)、高温型(β)で結合角がそれぞれ146.5°、155°となり、結晶系も三方晶と六方晶系と異なります。また、外観も異なります。クリストバライトでは、低温型(α)、高温型(β)で結合角がそれぞれ180°よりやや小さい、180°となり、結晶系も正方晶系と立方晶系と異なります。トリディマイトもクリストバライトと同様の傾向を示しますが、結晶系は、低温型(α)が斜方晶系や単斜晶系、高温型(β)では六方晶系を示します。超高圧で安定なコーサイトやスティ ショバイトは、低温型、高温型の区別はなく、結晶構造はそれぞれ、単斜晶系、正方晶系となります。

       

      8つの形態のうち地球上で圧倒的に多量に産出するのは低温型(α)石英であり工業材料として多くの分野で利用されています。一方、コーサイト、スティショバイトは、非常に硬度が高く、密度が大きく、弗化水素に対する耐性を有しているため、魅力的な工業材料である。しかし、非常に高い高圧が必要なため、自然界では非常に希少価値の高いシリカです。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig8. 結晶性シリカの種類とその構造

       

      5. 結晶学から見た場合

      (1) 結晶系

      結晶系とは、鉱物を形づくる分子の並びを、並び方の違いによって分類したもので、結晶系が同じなら、成分が異なる違う鉱物でも基本的に同じ形になります。結晶系では、分子同士の相対的な位置関係を示す仮想的な軸(結晶軸)でその本数と長さ、それぞれの交わる角度で分類され、それぞれ対称性が異なる結晶構造を取ります。結晶系はFig9で示すように立方晶系、正方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系、六方晶系、三方晶系の7種類に分類されます。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig9. 結晶系の種類  

      鉱物が成長する際に、すべての方向に綺麗に成長した場合、結晶系に準じた形態を持ちます。しかし、実際には様々な環境の影響を受け、細長くなったり角がとれたりと、色々な形の結晶が形成されます。

      (2) 単位格子

      結晶質物質をつくっている空間格子の最小単位で、この三次元的くり返しによって結晶がつくられています。実際には、一つの平行六面体の中に原子が規則的に配列され、別名単位胞ともいわれています。単位格子には、六面体の8つの角に原子が配列されたものを単純格子、単純格子に加えて、中心に原子が配列された対心格子、6面に原子が配列された面心格子、対象な2面に配列された底心格子に分類されます。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig10. 単位格子の種類

      (3) プラベー格子

      プラベー格子とは、結晶系と単位格子を組み合わせることで結晶構造を分類する方法で、立方晶系は、単純立方格子、対心立方格子、面心立方格子。正方晶系は、単純正方格子、対心立方格子。斜方晶系は、単純斜方格子、対心斜方格子、面心斜方格子、底心斜方格子。単斜晶系は、単純単斜格子、底心単斜格子。その他、六方格子、三斜格子、三方格子と合計で、14種類のプラベー格子に分類されます。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig11. プラベー格子の分類

      (4) クリストバライトを例に

      クリストバライトは結晶性シリカの一種で、結晶系は正方晶系、プラベー格子は面心立方格子のためのような構造を取ります。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig12. クリストバライトの結晶系とプラベー格子 8)

      共有部は、青丸で囲った部分は、1/8×8で1個、赤丸で囲った部分は1/2×6で3個、非共有部は4個です。よって、クリストバライトは1つの格子中に8個のSiを有していることになります。

       

      (5) 天然シリカとの関係

      天然で結晶性シリカは、火山噴火により地表に噴出したマグマ(溶岩)が冷却されることにより作られます。地殻中に含まれている元素を多い順に並べたものをクラーク数といいますX)。Siは酸素に次いで2番目に多く、噴火により地表噴出したマグマは溶岩となり、この溶岩が冷却されるときの温度や速度、圧力によりさまざまな結晶構造を持ったシリカが形成され、地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由の一つです。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo6. 火山から噴出したマグマ(溶岩)9)

      6. 結晶性シリカの用途

      (1) 宝石

      宝石用途としての結晶性シリカは、紫水晶(アメジスト)、黄水晶(シトリン)などがあります。発色は、双方とも微量に含まれている鉄イオンと酸素原子の電荷移動により起こります。このとき、紫水晶が450~500℃で加熱されると黄水晶になるため、紫水晶に比べて希少性が高いものとなります。一般に結晶質のものは、非晶質に比べて透明度が高いため、シリカをはじめ結晶質の宝石にはたくさんの種類があります。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo7. 紫水晶の原石と宝石 10)

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo8. 黄水晶の原石と宝石 11)

      (2) 産業用途

      産業用途としての結晶性シリカの代表として珪石や珪砂が挙げられます。また、人工水晶は、圧電素子に用いられ、ラスカと呼ばれる天然水晶を種水晶に再結晶させる水熱合成法で育成することで製造されます。

      ① 珪石(硅石)

      珪石類は、鉱山の性質と用途の面から白珪石・炉材珪石・軟珪石の3種類に大別されます。

       白珪石

      SiO2の含有量が99.5%以上のものは、光学ガラス・石英ガラス等に利用されています。更に、純度が高い97~99%のものは、合金製造用フェロシリコンや人造珪砂等に利用されています。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo9. 白珪石 12)

       炉材珪石

      炉材用の珪石で耐熱性が高く、珪石レンガをはじめ、近年は軽量気泡コンクリート骨材や保温材等の珪酸カルシウム製品に利用されています。

       軟珪石

      白珪石よりも純度SiO2純度が85~95%と低く、セメント用原料や一部建材用骨材に利用されています。

      ② 珪砂(硅砂)

      珪砂は『けいしゃ』といい、珪酸分(SiO2)を主成分とする石英の砂で、天然珪砂・人造珪砂の2種類に大別されます。天然珪砂は、石英砂の状態で陸地に地層として分布したものや、河口や海岸で砂浜として形成されたものがあり、人造珪砂は、珪石原鉱を粉砕、篩い分けて砂状にしたものです。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo10. 珪砂の拡大写真 13)

      珪砂は、ガラスや、合成シリカの原料、シェルモールド法をはじめとした鋳型、建築ボードや屋根瓦等の建築材料、研磨剤、バンカー砂、耐火物、窯業等幅広い分野に使用されています。シェルモールド法とは、金型を使って鋳造品を製造するための精密な砂型を造る技術で、砂型強度が非常に強力で金属の膨張にも耐えられるため、寸法精度が非常に良く、焼付きも少なく表面が滑らかなのが特徴です。このため複雑な形状の鋳物に用いられています。

       

      世界最大級の硅砂鉱山から産出されるオーストラリアのフラタリーで産出されるフラタリーサンドは、SiO2の純度が高く不純物が少なく、安定した粒度分布に加え、粒形が良いこと、耐破砕性に優れていることなどから上述した多くの用途に使用されています。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo11. フラタリーの珪砂鉱山 14)

      ③ 圧電素子

      圧電現象とは、結晶材料に圧力が加わることによって電荷が発生する現象のことで、圧電素子は、一定の周波数を生み出す素子のことです。圧電素子には、人工水晶がよく用いられ、周波数を制御する電子部品の一つとして周波数標準や時刻の基準などに使用されています。例えば、通信機器や産業機器、車載機器などの分野における製品の周波数信号源、時計のタイミングクロック、さらにデジタル回路のクロック源としてなど、幅広い分野でいくつもの水晶発振器が使用されています。人工水晶の圧電素子は、水晶原石から水晶片を切断する方位によって振動モードが決まります。一般的にはATカットやBTカット、Xカットなどがあり、特にATカットは常温付近の温度変化が少ないため、最も多く使用されています(Fig13)。また、水晶発振器は、水晶振動子と発振回路(IC)を1つのパッケージに入れ込んだ電子部品です(Fig14)。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig13. 人工水晶における切断方位(Z板)15)

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig14. 水晶発振器の構造 15)

      7. 結晶の評価方法

      結晶性シリカのようなセラミックス結晶や金属結晶を評価する方法として、X線回折法(X-ray Diffraction: (XRD))が用いられています。XRDとは、X線が結晶格子中で回折を示す現象で、X線を結晶に照射するとBraggの法則を満たした方向のみにX線が回折され、結晶構造を反映したパターンが生じます。物質はそれぞれ特有な規則性を持つ結晶を作ることができることで、XRDによりその有無が判別でき、ここから化合物の種類を調べることもできます。X線回折法(XRD) は汎用性の高い非破壊分析手法であり、粉末サンプル、固体サンプル、液体サンプルの相組成、結晶構造、配向などの物性を分析するために使用されています。

       

      (1) 装置の概要

      近年では、XRDも小型化、高性能化が進み、卓上型のものも上市されています。また、電離放射線障害防止規則第15条適用外のため、X線作業主任者の選任が不要です。Fig6にXRDの一例を示します。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Photo12. XRDの一例 16)

      (2) XRDの原理

      ① 回折

      回折とは、波が障害物の横や隙間を通って、その裏側に回り込もうとする現象です。例えば、部屋のドアが閉まっていても声が中まで聞こえてくるのは、音が壁を通り抜けたのではなく、ドアのわずかな隙間から音が侵入し、回折したからです。回折は、通り抜ける隙間の幅に比べて波長が同程度か、それより長いときは回折が顕著になります。XRDの場合は、波の発生源はX線、隙間は結晶格子になります。

      Fig15. 回折の原理 17)

      ② Braggの法則

      ブラッグ(Bragg)の法則とは,波のたどる道のりの差(行路差)が波長の整数倍のときに強めあう現象で、次の式を用いて説明できます。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      入射光が経路 A’O’B’ をたどるとき、経路 AOB を進むよりも余分な距離を進まなければいけません。このとき、どれだけ余分な距離(行路差)は、Fig16のようになります。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig16. Braggの法則 18)

      一つの線分の長さは,「長さ d の斜辺を持つ直角三角形」の,「角度 θ を持つ角」と向き合う辺の長さだから,d sin θ になります。行路差はこの線分の二つ分だから2d sin θ になるということになります。XRD測定では、結晶質のものは回折をしてBraggの法則に従いピークが現れます。このため、結晶性シリカである石英にはピークが現れますが、シリカゲルは非晶質のため、ピークが現れずブロードとなり、ハローパターンを示します。

      結晶性シリカ、構造と種類、用途など、わかりやすく解説

      Fig17. 石英とシリカゲルのXRDパターン

      (3) XRDの特徴

      XRDには次のような特徴があります。

      1. 主に定性分析に用いられています
      2. 単結晶、粉末、表面分析ができます
      3. 結晶の秩序性、分布状態を測定できます

      (4) 課題

      XRDは、簡単に結晶の有無が確認できるため、材料分析をはじめさまざまな分野で用いられています。ししかし、回折X線のピーク強度は結晶含有量、結晶性、配向性に影響されるため、測定時には注意が必要です。また、濃度等を求める定量分析にも使用できますが、標準物質を用いる必要があり、その作成や入手が難しく、更には他の分析法に比べて正確性と精度が低くなる場合があります。

       

      8. まとめ

      今回は、結晶性シリカの構造と種類、地球上に多くの種類の結晶性シリカが存在する理由、結晶性シリカの用途から評価方法について横断的に解説してきました。上述してきましたように、結晶性シリカは、それ独自でいろいろな用途で使用されている他、合成シリカの原料としても使用されていて、われわれの生活に不可欠な素材です。しかし、結晶性シリカの微粒子を吸引すると珪肺や肺がんなど呼吸器系の病気を引き起こすことがありますので労働安全衛生法では、取り扱いや管理濃度が定められていて、その評価にもXRDが用いられています。

      【参考文献】

      1) グラニットhttps://watanabekats.com/5034/

      2) NPO法人 雪氷ネットワークhttps://www.snow-net.org/knowledge/snow-cristal/

      3) 自由研究でミョウバンの結晶の作り方は? https://richlife100.com/6515.html

      4) 株式会社エレクトロニクスエンドマテリアルズコーポレーションhttps://www.eandmint.co.jp/solar/product_detail/product_siliconsingle.html

      5) 大久保硝子店 https://www.okubo-glass.co.jp/knowledge/

      6) Wikiwand https://qr.paps.jp/LCu38

      7) Lab Brands https://lab-brains.as-1.co.jp/article/scienceknowledge/2021/07/474/

      8) 結晶構造ギャラリーhttps://staff.aist.go.jp/nomura-k/japanese/itscgallary.htm#5

      9) マグマと溶岩の違い https://lowch.com/archives/4824

      10) Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Amethyst

      11) Wikipedia https://fr.wikipedia.org/wiki/Citrine

      12) Wikiwand 伊豆珪石鉱山https://qr.paps.jp/5L7Pu

      13) 世界の砂と日本の砂https://www.gsj.jp/Muse/sand/D-2184.html

      14) Cape Flattery Silica Mines https://www.cfsm.com.au/mining-operations

      15) EPSON https://www5.epsondevice.com/ja/information/technical_info/osc.html

      16) Rigaku https://japan.rigaku.com/ja/products/xrd/miniflex

      17)高校物理をあきらめる前にhttps://www.yukimura-physics.com/entry/wave02

      18) 名古屋工業大学 「結晶構造解析特論」http://takashiida.floppy.jp/public/education/CrystalStructureAnalysis/1/1.pdf

       

      次回に続きます。

      【出典】笛田・山田技術士事務所HPより、筆者のご承諾により編集して掲載。

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      この記事の著者

      山田 佳之

      『シリカ』のことでお困りの際には合成シリカの専門家『シリカ博士』笛田・山田技術士事務所にご相談ください。専門技術をベースに、環境保全、労働安全衛生を結び付けクライアント様の問題を解決へと導きます。

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