3D Printing 2016(2016年1月27~29日:東京ビッグサイト)から、方式別に技術動向を整理して解説します。第2回は、『 FDM方式 』です。
◆FDM方式(フィラメント溶融積層方式)の装置展示
FDM方式は熱可塑性樹脂のフィラメント(太さ1.75~3mm位のヒモ)をノズルの先で溶融させながら積層する方式であり、粘土のヒモを積み上げて造る縄文土器をイメージするとわかりやすいようです。FDM方式の基本特許が2009年に切れたことから参入する企業が増えており、ハイエンドから10万円を格安タイプまで様々です。また、機構が単純であるため大型品の造形に対応できるタイプも多いようです。造形に使用するフィラメントは装置メーカーの専用品であることが多いが、最近は自由に使うことを認めている装置メーカーも増えています。
ムトーエンジニアリングは個人向けの低価格3Dプリンター(MF500, MF1100, MF2200D)を展示していました。いずれもフィラメントの供給トラブルが起こりにくいオープンリール方式で、MF2200Dは2種類のフィラメントが使えるデュアルキャリッジ方式であり、サポート材も造形でき、PVAの水溶性フィラメントも使用できます。
武藤工業は300℃での吐出が可能なタフヘッドを搭載したエンプラ対応の3Dプリンターを展示していました(写真1)。2ヘッド構成になっており、メイン樹脂とサブ樹脂個別に吐出して複合造形するBi-Matrix構造造形のサンプルも展示していました。
写真1.武藤工業のエンプラ対応3Dプリンターと2材料造形品のサンプル
XYZプリンティングジャパンは低価格の3Dプリンターダヴィンチを展開しています。写真2はWiFi接続してPCから操作が可能な低価格タイプのダヴィンチJr. 1.0Wである。また、展示は無かったが、スキャナー内蔵タイプも紹介していました。
写真2.XYZプリンティングの3Dプリンター(この機種はWiFi接続が可能)
ロンバス(Rhombus)はヘッドに特長があり、他社に比べて4倍の造形速度を持つ3Dプリンターを展示実演していました。ヘッドは350℃まで対応可能とのことです。また、写真3に示すパラレルリンク方式でヘッドを動かす簡易タイプも展示実演していました。
写真3.ロンバスの簡易型3Dプリンター
写真4のニンジャボットは大型を得意としており、対応可能な材料の種類も多いようです。
写真4.ニンジャボットの大型3Dプリンター(左)と各種材料を用いた造形サンプル(右)
エフ・ティファインテックプロダクトは使える材料の種類が多い(ナイロン、カーボン、エラストマー、ABS、PLA)ことを特長としており、水溶性のサポート材も使える。1年間樹脂使い放題のキャンペーンも実施していました。カーボンは熱可塑性樹脂のバインダーで固めたものです。写真5は装置と展示サンプルです。
写真5.エフ・ティファインテックプロダクトの3Dプリンター(右)と造形サンプル(左)
アイケイワークスはドイツのRepRapの3Dプリンターを展示していました。工業用に中型~大型を来院アップしています。純正フィラメントの材料種類が多い点が特長です。
スマイルリンクは大田区産学連携施設に入居するベンチャー企業であり、製品であ...