注射剤製造における異物低減方法及び改善事例 ~海外も含めた製造所の注射剤異物検査の基準設定や検査員教育~
どのように異物低減を進めるか?海外製造所における対応は?
多くの事例からヒントを得て、異物低減を行いましょう!
セミナー趣旨
注射剤の製品回収が多くなる原因の一つは異物混入であり、特に海外において製造された製品は回収のリスクが高くなります。日本においてもいまだにガラス異物等による製品回収が時々報告されていますが、これらの製品回収は防げます。
モデルナ製品の異物問題は海外製造所、日本の製造販売会社、厚労省の対応が、海外からの注射剤についての問題の大きさと苦悩を表していました。異物があっても安全課が「安全性に問題ない」と言わざるを得ませんでした。
本セミナーでは、海外製造所の指導事例を含め、異物低減の対策事例を紹介します。また、異物低減のためには、異物検査の評価方法を確実に行うことが必須であり、QCの検査方法と製造での全数目視選別の方法を紹介します。さらに、目視検査では観察機を使った方法についても紹介し、官能検査(人による検査)ではその訓練と認定の重要性とその方法について説明します。また、異物の非破壊での形状測定、取り出して同定する方法についても紹介します。
一方、日本で問題とされる異物が海外製造所においては問題視されません。また、海外では「異物を削減してください」と伝えるだけでは改善されないばかりか、そもそも問題だとの認識もなく、かつ異物低減のノウハウも持っていません。そういう状況でどのように実際に異物低減を行って改善したかの多数の事例とノウハウを紹介します。
習得できる知識
・注射剤の不溶性異物/不溶性微粒子試験方法
・全数目視選別の方法
・異物混入の主な原因
・異物低減の改善事例
・海外製造所の改善事例紹介
セミナープログラム
1.注射剤の異物対策の難しさ
1)欧米の異物検査と日本薬局方の異物検査の違い
・目に見える粒子:規制とコンペンディアルの要件
・可視異物とは?(PDA)
・ナップテストと手動検査
2)たやすく/明らかに検出できる異物の大きさとは(第17日本薬局方の改訂)
3)官能検査の観点からの検査員のバラツキと評価
4)なぜ、海外の製造所では注射剤の異物が問題にならないか
5)異物による製品回収(海外製造所/国内販売品)
6)異物検出の確率と母不良率との関係
7)自動異物検査機検出力と目視検出力との関係
8)不溶性異物/微粒子への健康への影響
9)海外製造所の注射剤の保存サンプル(不溶性異物)を取る場合の注意点
10)コロナワクチンの不溶性異物問題
11)不溶性異物での回収に伴う訴訟
2.注射剤の異物検査
1)不溶性異物
① 非破壊による異物のサイズ/形状測定
② 限度見本の設定
・標準見本/限度内見本/限度外見本の違い
・標準粒子と実際の異物を用いる場合の違い
・官能検査の手法による標準見本の設定
③ QC試験方法
・目視による方法(観察方法と観察時間)
・目視で見える異物の大きさ(時間と明るさ)
・観察機を用いる方法
・判定基準(n数と欠点数Cの設定)
・凍結乾燥製品(ゴム栓)の溶解
・凍結乾燥製品(アンプル)の溶解(ホールバーニング)
④ 検査者の評価/訓練/認定
・αとβの誤りの両面から
⑤ 製造の目視による全数選別
・凍結乾燥製剤
・溶液
⑥ バック製剤の不溶性異物検査(製造とQC)
⑦ 最新の全数検査機の特徴
⑧ SOPに違反した不溶性異物試験の実施
2)不溶性微粒子
・ろ過試験方法
・光遮蔽(HIAC)測定方法
・観察機を用いる方法
3)異物の同定方法
・異物を取り出す時の注意事項
・顕微鏡FTIRの特徴と測定結果の解釈
・電子顕微鏡X線マイクロアナライザーの特徴と測定方法/解釈
・ラマン分光
4)目視可能な粒子に対する注射剤の検査 産業界向けガイダンス(FDA)
3.改善/指導事例
1)繊維低減(輸液剤など)
2)アンプル成形時の異物対策
3)グラスファイバー混入改善
4)フレークス発生原因とその改善
5)処方成分によるフレークスの発生(リン酸塩)
6)不溶性微粒子の改善Ⅰ(シリコン塗布ゴム栓、シリンジ)
7)不溶性微粒子の改善Ⅱ(輸液の経年での増加)
8)導入品の異物低減(プラスチックアンプル)
9)不溶性異物の経年での増加(原薬の出発物質の変更)
10)資材からの影響(ポリ袋)
11)高額な製品の異物対策(ガラス溶着している異物の除去)
12)開発段階の取組みⅠ(海外製造品 イタリア編)
13)開発段階の取組みⅡ(海外製造品 米国編)
14)開発段階の取組みⅢ(海外製造品 ベルギー編)
15)間違った改善事例の取組み(委託先との協同)
16)粉末充填品(海外製造)の不溶性異物試験不適合時の対策方法
17)ガラス異物対策
18)生物学的製剤のたんぱく由来異物の対応
4.海外製造所の異物低減の指導方法
1)開発段階品の評価(製造品と安定性試験品)
2)海外製造所への訪問
3)現状の理解
4)協力の取付け
5.注射剤の異物の変更管理時の注意事項
1)原薬の製造方法変更
2)直接容器の変更
3)製造方法の変更
6.注射剤の異物苦情を受けた時の対応
1)どの段階で異物を認めたか
2)コアリング
3)異物の同定
4)広がりの調査
5)製品回収の有無の判断
7.まとめ
1)異物のモニターとして異物検査
2)注射剤の異物に対する正しい知識の重要性
3)正しく評価すれば、必ず異物は低減可能(QCによる客観的なデータ提供)
4)注射剤を海外から導入する場合の注意事項(不溶性異物)
8.人が創る品質
<質疑応答>
※活発な質疑は同席した受講者の理解を助けます。
随時受け付けますので基本的な点でも遠慮なくご質問ください。
■セミナーキーワード
注射剤、異物検査、異物混入、全数目視、官能検査、海外製造所、限度見本
セミナー講師
株式会社ミノファーゲン製薬
顧問 脇坂 盛雄 氏
セミナー受講料
●受講料:1名46,200円(税込)
1社2名以上同時申込の場合,1名につき35,200円(税込)
※会場の場合は昼食を含みます
●テキスト:開催3営業日前までにPDFデータ提供(印刷物の配布はございません)
※会場受講の方は、必要に応じ印刷の上、ご持参ください。
●申込締切:2022年9月20日(火)
受講について
■ご受講の注意事項(予めご了承の上、お申込み下さい。)
・講義中の録音・録画(静止画・動画)行為は固くお断りします。
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