☆ご好評につき今年も開催!
本講演では、SAW・BAWの基礎から開発・実用化の進め方、製造における問題点とその解決方法まで、SAW研究の黎明期から現在に至るまで取り組んできた講師が解説します!

【アーカイブ配信受講:10/21(月)~10/28(月)】での受講もお選びいただけます。希望される方は申込フォームにてご選択ください。

セミナー趣旨

 圧電薄膜バルク波デバイス(BAW、FBAR)や弾性表面波(SAW)は小形、軽量、周波数無調整、高信頼性、高周波化対応可能等の特徴を持つ。SAWの民生用への応用はテレビの映像中間周波数(VIF)用フィルタが最初で、その後SAWデバイスは自動車電話、コードレス電話、ペジャ用などへの応用を経て、今や携帯電話、スマートフォンに欠かせない重要な部品となっている。一方、BAWは携帯電話の普及により採用され、当時、SAWの比べて急峻な特性を持つため、急峻な特性が要求されるbandを中心に採用されるようになった。近年のスマートフォンの普及により、両デバイスは、それぞれ特徴を生かしたBandに使用されている。また近年の周波数の混雑対策として、SAWでも急峻な特性が得られるようになってきている。今後、急峻な特性と良好な温度特性をもつフィルタ特性に加え、キャリアアグリゲーションシステムの普及により、広い周波数範囲でスプリアスのないフィルタに加え、第5世代あるいはBeyond 5G用フィルタが要求されてきている。さらに、近年、7~24 GHz帯でFR3(Frequency Band3)が割り当てられ、この周波数帯でのBAWやSAWの研究も盛んになってきている。このように、ますますBAWやSAWフィルタの弾性波デバイスへの期待が高くなっている。
 講演者は、村田製作所入社後、圧電セラミックを用いたエネルギー閉じ込め型バルク波共振子・フィラタ(BAW)の開発やSAWフィルタの開発を担当。テレビ・映像中間周波数用SAWフィルタの開発後には、その実用化のため11年間、製造現場に従事して、世界で唯一その実用化に成功した。その後、異動した開発部門では、横波型SAWの端面反射を利用した超小型ETC用フィルタ(今でもシェア100%)及びTV用補助トラップ共振子、高密度電極と水晶を用いた温度特性良好で超小型な携帯電話用IFフィルタ、平坦化SiO2膜/高密度電極/圧電基板構造の温度特性(いわゆるTCSAW)の良好な小型なスマートフォン用SAWデュプレクサ(このデュプレクサはその後同業にもクロスライセンスされ、世界の同業でも数多く生産されている)等、世界初の数多くの各種弾性表面波デバイスの開発と実用化に成功。また近年、注目され始めた板波の1種のラム波(XBARと名を変えて呼んでいつグループもある)については、15年前にいち早く注目し、世界で初めてラム波で5 GHz以上のデバイスを実現した。その論文は2010年度のIEEE UFFC transactionの最優秀論文に選ばれており、また、近年のラム波の論文のほとんどに引用されている。東北大に異動後は、圧電薄板と水晶基板を用いた高Q、ゼロTCF,スプリアスフリーのデバイスに開発や電極の微細化によらないで8 GHzの高周波SAWの励振に成功している。
 本講演者は、このように、SAWの研究の黎明期から現在に至るまで、SAWの開発・実用化・製造に取り組んできている。これらの経験を活かし、弾性体や圧電体の基本的な考え方・理論、BAWやSAWの原理、BAWやSAWの種類や励振方法、それらに適した材料、それらを応用したBAWやSAW共振子、ラダーフィルタへの原理・構成方法、開発・実用化成功の秘訣、今後のBAWやSAWの技術の動向などについて講演する。

受講対象・レベル

・SAW・BAW・板波など弾性体の基礎
・一般的なBAW(FBAR)・SAW・板波の知識
・BAW(FBAR)・SAWデバイス関係セールスエンジニア
・BAW(FBAR)・SAW・板波開発担当者
・BAW(FBAR)・SAW・板波実用化担当者
・BAW(FBAR)・SAW・板波製造担当者
・新しい弾性波デバイス研究担当者
・開発企画担当者

必要な予備知識

・高校で習う数学程度

習得できる知識

・弾性体・圧電体の基礎
・一般的なBAW(FBAR)・SAW・板波の知識
・BAW・板波の基礎・原理
・BAW・SAW用材料
・BAW・板波の各種振動モードの種類
・BAW・SAWフィルタの原理、応用例
・BAW・SAWを開発・設計する基礎知識
・開発テーマの考え方
・開発・実用化の進め方
・開発・製造における問題点とその解決方法

セミナープログラム

1. 弾性体の基礎
 1-1 弾性体の結晶構造
 1-2 歪と応力の関係
 1-3 弾性定数
   (スチッフネス、コンプライアンス、(ポアソン比、ヤング率))
 1-4 運動方程式
 1-5 弾性体の縦波音速、横波音速は何に依存している、どのように求める

2. 圧電体とは
 2-1 圧電現象
 2-2 圧電方程式(圧電定数)
 2-3 結晶構造のおける圧電定数の違い
 2-4 電気機械結合係数

3. BAWとFBAR
 3-1 バルク波(BAW)とは
 3-2 厚みすべり振動とは
 3-3 厚み縦振動とは
 3-4 BAW(FBAR)用材料
 3-5 成膜方法
 3-6 BAWやFBARの厚み振動共振子の周波数は何で決まる
 3-7 厚み振動共振子の帯域は何で決まる
 3-8 エネルギー閉じ込め振動とは
 3-9 キャビティ構造とSMRの違いは

4. 共振子とラダーフィルタ
 4-1 共振子
 4-2 ネットワークアナライザによる共振子特性の測定
 4-3 スミスチャート、動アドミタンス特性
 4-4 共振周波数、反共振周波数とは
 4-5 電気機械結合係数
 4-6 Qとは
 4-7 等価回路
 4-8 2重モードフィルタとは
 4-9 ラダーフィルタとは
 4-10 フィルタの帯域は
 4-11 帯域は何に依存する
 4-12 高周波化するには

5. SAW
 5-1 SAWとは
 5-2 SAWとBAWの違い
 5-3 SAWの励振
 5-4 SAWの種類
 5-5 レイリー波
 5-6 漏洩弾性波
 5-7 縦波型漏洩弾性波
 5-8 セザワ波
 5-9 BGS波
 5-10 ラブ波
 5-11 層状構造弾性波
 5-12 境界波

6. 板波
 6-1 板波とBAWやSAWとの違いは
 6-2 ラム波と横波型(SH型)板波 
 6-3 LiNbO3やLiTaO3薄膜を用いたデバイスの例

7. SAW用材料
 7-1 セラミック(PZT等)
 7-2 薄膜(ZnO等)
 7-3 単結晶(LiTaO3,LiNbO3,水晶、LBO,ランガサイト等)

8. SAW共振子
 8-1 SAW共振子の原理

9. SAWフィルタの種類
 9-1 トランスバーサル型フィルタ
 9-2 縦波型共振子フイルタ
 9-3 横波型共振子フィルタ
 9-4 ラダーフィルタ

10. 近年話題のSAW・BAWデバイスと今後の動向
 10-1 近年話題の異種材料接合基板を用いたデバイス
 10-2 高周波化
 10-3 広帯域化 

セミナー講師

東北大学大学院 工学研究科 ロボティクス専攻 シニアリサーチフェロー 門田 道雄 氏

IEEE USシンポジウムTPC委員
超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)顧問。

【ご略歴】
 東北大学工学研究科終了後、1974年村田製作所入社。1994 年東北大学より工学博士(論文)。2005年同社フェロー(役員待遇)。2013年1月同社退職。同年2月東北大学客員教授、2014年8月同特任教授。2018年4月同シニアリサーチフェロー。村田製作所在職時、世界で唯一実用化に成功した酸化亜鉛(ZnO)薄膜を用いたテレビ用弾性表面波(SAW)フィルタをはじめ(この成功がなければ今の村田製作所のSAWの事業はないという重要な実用化成功)、横波型SAWの端面反射を利用した超小型ETC用フィルタ(今でもシェア100%)及びTV用補助トラップ共振子、高密度電極と水晶を用いた温度特性良好で超小型な携帯電話用IFフィルタ、平坦化SiO2膜/高密度電極/圧電基板構造の温度特性(いわゆるTCSAW)の良好な小型なスマートフォン用SAWデュプレクサ(このデュプレクサはその後同業にもクロスライセンスされ、世界の同業でも数多く生産されている)等、世界初の数多くの各種弾性表面波デバイスの開発と実用化に成功。また近年、注目され始めた板波の1種のラム波(XBARと名を変えて呼んでいつグループもある)については、15年前にいち早く注目し、世界で初めてラム波で5 GHz以上のデバイスを実現した。その論文は2010年度のIEEE UFFC transactionの最優秀論文に選ばれており、近年のラム波の論文のほとんどに引用されている。また、近年、マイナスの温度特性を持つ圧電薄板とプラスの温度特性を持つ方位の水晶とを組み合わせて、高Q、ゼロ温度特性、スプリアスのない弾性デバイスの開発や、電極を微細化することなく8GHzの高周波SAWの励振に成功などが注目されている。

【受賞歴】
1) 第41回大河内記念技術賞受賞:
  "TV・VTR用酸化亜鉛圧電薄膜弾性表面波デバイス(フィルタ)の量産化”,1995年3月
2) 科学技術庁長官賞研究功績者賞,1997年4月
3) 第50回大河内記念技術賞受賞:
  ”横波(SH)型弾性表面波を用いた超小型中間周波数用フィルタの開発と実用化”,2004年3月
4) 紫綬褒章叙勲:2005年5月
5) 秋の園遊会列席:2005年10月
6) IEEEフェロー:
  ”Contributions to surface acoustic wave devices”, 2009年1月
7) 第43回市村産業賞本賞:
  ”平坦化SiO2膜/Cu(高密度)電極/基板構造小型弾性表面波デュプレクサ”,2011年4月
8) 電子情報通信学会 フェロー:
  ”弾性表面波デバイスの先駆的研究開発”,2011年9月
9) Outstanding Paper Award of IEEE trans. Ultrason. Ferroelec. Freq. Cont. in 2010 :“High Frequency Lamb Wave Device composed of MEMS Structure using LiNbO3 Thin Film and Air Gap”, Oct., 2011.
10) 第58回大河内記念技術賞:
  ”温度特性に優れた超小型弾性表面波デュプレクサの開発と実用化”,2012年3月
11)平成25年度全国発明表彰 朝日新聞社賞
  “温度特性の良い携帯電話用弾性表面波フィルタの発明”、2013年6月

【学会活動】
1984~1992 Japanese Technical Committee 49 of the International Electrotechnical Commission(WG2 圧電セラミック小委員会、WG2 外形寸法小委員会、WG6 測定方法小委員会、WG9 クリスタル小委員会各委員)
1992~2013 日本学術振興会弾性波素子第150委員会運営委員
1994~1995及び2003~2004 日本音響学会関西支部評議員
1995~1996 電子情報通信学会超音波専門委員会委員
1997~2013 電気学会高機能EM回路デバイスの構成技術調査専門委員
1997~2012 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)実行委員
2001~2005 Japanese Journal Applied Physics 特別編集委員
2007~2008 IEEE Ultrason. Ferroelec. Freq. Cont.ソサェティ日本支部長
2007~2013 神戸大学工学研究科 非常勤講師
2007 日本音響学会関西支部副支部長
2008 日本音響学会関西支部長
2010~2011 電気学会特集号 論文委員
2011 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)運営委員長
2013~2019 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)監査役
2009~現在 IEEE Internatinal Ultrasonics Symposium Technical Program Committee

セミナー受講料

55,000円(税込、資料付)
■ セミナー主催者からの会員登録をしていただいた場合、1名で申込の場合49,500円、
  2名同時申込の場合計55,000円(2人目無料:1名あたり27,500円)で受講できます。
(セミナーのお申し込みと同時に会員登録をさせていただきますので、
   今回の受講料から会員価格を適用いたします。)
※ 会員登録とは
  ご登録いただきますと、セミナーや書籍などの商品をご案内させていただきます。
  すべて無料で年会費・更新料・登録費は一切かかりません。
  メールまたは郵送でのご案内となります。
  郵送での案内をご希望の方は、備考欄に【郵送案内希望】とご記入ください。

受講について

Zoomを使ったWEB配信セミナー受講の手順

  1. Zoomを使用されたことがない方は、こちらからミーティング用Zoomクライアントをダウンロードしてください。ダウンロードできない方はブラウザ版でも受講可能です。
  2. セミナー前日までに必ず動作確認をお願いします。
  3. 開催日直前にWEBセミナーへの招待メールをお送りいたします。当日のセミナー開始10分前までに招待メールに記載されている視聴用URLよりWEB配信セミナーにご参加ください。
  • セミナー資料(紙媒体での配布)は開催前日までにお送りいたします。ご自宅への送付を希望の方はコメント欄に送付先住所をご記入ください。
    無断転載、二次利用や講義の録音、録画などの行為を固く禁じます。

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

55,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込

開催場所

全国

主催者

キーワード

電子デバイス・部品   通信工学   機械材料

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

55,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込

開催場所

全国

主催者

キーワード

電子デバイス・部品   通信工学   機械材料

関連記事

もっと見る