弾性限界とは?定義や求め方を応力ひずみ曲線を用いて解説!

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弾性限界とは?定義や求め方を応力ひずみ曲線を用いて解説!

【目次】

    弾性限界(弾性限度とも呼ばれる)は、材料が外部からの力に対してどのように反応するかを理解する上で重要な概念です。特に応力ひずみ曲線を用いることで、材料の弾性特性や破壊のメカニズムを視覚的に把握することができます。弾性限界は材料が元の形状に戻ることができる最大の応力を示し、この限界を超えると永久変形が生じる可能性があります。今回は弾性限界の定義や求め方について詳しく解説し、応力ひずみ曲線を通じてその理解を深めていきます。

     

    1. 弾性限界とは

    弾性限界とは、材料が外力を受けた時に元の形状に戻ることができる最大の応力(単位面積あたりの力)を指し、英語では「Elastic Limit」と表記されます。この限界を超えると材料は永久変形を起こし、元の形に戻らなくなります。以下の図を想像してください。このグラフでは縦軸が応力、横軸がひずみを示しています。弾性限界を理解することで、材料の特性や使用方法をより深く理解できるようになります。

     

    図. 応力ひずみ曲線

     

    2. 弾性限界を超えるまで・超えた後の引張について

    弾性限界に関する引張について解説します。

    (1)弾性限界を超えるまでの引張

    弾性限界までの引張において、応力に対する材料の応答はフックの法則に従います。この範囲では材料が受けた変形は完全に弾性であり、応力を除去すると元の形状に戻ります。引張強度が増すにつれて材料内部の...


    弾性限界とは?定義や求め方を応力ひずみ曲線を用いて解説!

    【目次】

      弾性限界(弾性限度とも呼ばれる)は、材料が外部からの力に対してどのように反応するかを理解する上で重要な概念です。特に応力ひずみ曲線を用いることで、材料の弾性特性や破壊のメカニズムを視覚的に把握することができます。弾性限界は材料が元の形状に戻ることができる最大の応力を示し、この限界を超えると永久変形が生じる可能性があります。今回は弾性限界の定義や求め方について詳しく解説し、応力ひずみ曲線を通じてその理解を深めていきます。

       

      1. 弾性限界とは

      弾性限界とは、材料が外力を受けた時に元の形状に戻ることができる最大の応力(単位面積あたりの力)を指し、英語では「Elastic Limit」と表記されます。この限界を超えると材料は永久変形を起こし、元の形に戻らなくなります。以下の図を想像してください。このグラフでは縦軸が応力、横軸がひずみを示しています。弾性限界を理解することで、材料の特性や使用方法をより深く理解できるようになります。

       

      図. 応力ひずみ曲線

       

      2. 弾性限界を超えるまで・超えた後の引張について

      弾性限界に関する引張について解説します。

      (1)弾性限界を超えるまでの引張

      弾性限界までの引張において、応力に対する材料の応答はフックの法則に従います。この範囲では材料が受けた変形は完全に弾性であり、応力を除去すると元の形状に戻ります。引張強度が増すにつれて材料内部の結合が引き伸ばされ、微細な変形が蓄積されます。

       

      (2)弾性限界を超えた後の引張

      弾性限界を超えると材料は塑性変形を始めます。この段階では材料は永久的な変形を受け、応力を除去しても元の形状には戻りません。さらに引張を続けると、最終的には破断に至ることがあります。塑性変形は材料の強度や延性に影響を与えます。

       

      3. 弾性限界と似ている用語との違い

      (1)弾性限界と比例限界の違い

      弾性限界とは、材料が外力を受けた時にその力を取り除くと元の形に戻ることができる最大の応力のことです。つまり、弾性限界を超えると材料は永久変形を始めます。一方比例限界(比例限度)は、応力とひずみの関係が直線的である範囲の最大値を指します。比例限界を超えると応力とひずみの関係が非線形になり、材料の挙動が変わります。これらの概念を理解するために、応力ひずみ曲線を見てみましょう。横軸にひずみ、縦軸に応力を取ります。最初は直線的に上昇し、この最大値が比例限界です。その後、曲線が少しずつ曲がり始め、弾性限界に達すると材料は元の形に戻れなくなります。簡単に言うと、比例限界は「直線的な範囲の終わり」、弾性限界は「元に戻れる範囲の終わり」と考えると分かりやすいです。このように、弾性限界と比例限界は材料の力学的特性を理解する上で非常に重要なポイントです。

       

      (2)弾性限界と降伏点の違いとは・関係とは

      弾性限界と降伏点は、材料力学において非常に重要な概念です。まず弾性限界とは、材料が外部からの力を受けた時に、その力を取り除いた後に元の形状に戻ることができる最大の応力のことを指します。つまり弾性限界を超えない範囲では材料は弾性的に変形し、力を取り除くと元の状態に戻ります。一方降伏点は、材料が塑性変形を始める応力のことを指します。降伏点を超えると材料は永久的に変形し、元の形状には戻らなくなります。降伏点は材料の強度を示す重要な指標であり、特に金属材料においては、設計や安全性の評価において重要な役割を果たします。

       

      弾性限界と降伏点の関係ですが、一般的に弾性限界は降伏点よりも低い値になります。これは、材料が弾性的に変形できる範囲が、塑性変形を始める範囲よりも狭いからです。例えば、鋼のような材料では、弾性限界が約0.2%のひずみであるのに対し、降伏点はそれよりも高い応力で発生します。

       

      このように弾性限界と降伏点は、材料の変形挙動を理解する上で欠かせない概念であり、設計や材料選定において重要な指標となります。材料の特性を把握することで、より安全で効率的な構造物を設計することが可能になります。

       

      4. まとめ

      弾性限界は、材料が外力を受けた際に元の形状に戻ることができる最大の応力を示す重要な指標です。応力ひずみ曲線において、弾性限界は材料が弾性的に変形する応力の範囲を示しています。弾性限界を求めるには、応力ひずみ曲線から応力とひずみの関係を理解することが必要です。この限界を超えると材料は塑性変形を始め、元の形状に戻らなくなります。したがって弾性限界は、材料選定や構造設計において非常に重要な要素です。適切な材料を選ぶことで、構造物の安全性や耐久性を確保することができます。弾性限界を理解することは、エンジニアや設計者にとって不可欠な知識であり、実際の応用においても大いに役立つでしょう。

       

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      この記事の著者

      嶋村 良太

      商品企画・設計管理・デザインの業務経験をベースにした異種技術間のコーディネートが得意分野。自身の専門はバリアフリー・ユニバーサルデザイン、工業デザイン、輸送用機器。技術士(機械部門・総合技術監理部門)

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