― ポリ乳酸繊維・不織布の台頭とグリーン・イノベーション ―

繊維・不織布関連のイノベーションに値する素材・技術の系譜をたどりながら、
最後には今や次世代合成繊維として世界的に注目されているポリ乳酸繊維・不織布に
焦点を当てていきます。
繊維業界で世界的にも成功しているユニクロなどにも目を向けながら、
イノベーターに求められる資質と能力などについても言及、
ポリ乳酸の基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆けて成し遂げた
講師による皆様による真の破壊的イノベーション創出へ向けた激励の1講です!

 

日時

【Live配信】2024年10月11日(金)  10:30~16:30
【アーカイブ(見逃し)配信】視聴期間:10/15PM~10/21の5日間
  受講可能な形式:【Live配信(アーカイブ配信付)】のみ

セミナー趣旨

今日の多くの日本人はイノベーションなる概念を単なる技術革新と誤解し、
その本質を正しく理解していないように思われる。
20世紀前半に初めての合成繊維が発明されて以降、
今日まで数多くの繊維・不織布が研究開発されてきたが、
本セミナーでは真の破壊的イノベーションに値する素材・技術の系譜を辿ることにより
イノベーションの核心に迫り、21世紀における新たなイノベーションを創発するために、
今や次世代合成繊維として世界的に注目されているポリ乳酸繊維・不織布に焦点を当てる。
旧来の既成概念や価値観を根底から覆す真の破壊的イノベーションは
顧客の目先のニーズから生まれるのではなく、
供給者自らがイニシアティブを握り顧客にはないニーズを創発することである。
これまで産学両分野で約38年間、ポリ乳酸の繊維・不織布をはじめとする全ての成形加工分野で、
ポリ乳酸の基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆けて成し遂げた講師による覚醒のセミナーである。

セミナープログラム

1.新たなイノベーションの創発のために
 1.1 J.A.シュンペーターによるイノベーションの概念提唱…「経済発展の理論」(1912)

・イノベーションとは、需要家側のニーズから生まれてくるのではなく、
 あくまでも供給者である企業家側がイニシアティブを握って創り出すものである!
・スティーブ・ジョブス(アップル)…目に見えるニーズは見なくてよい、目に見えない潜在需要を信じる!

 1.2 破壊的イノベーションと持続的イノベーション

・シュンペーターが意図した真のイノベーション「破壊的イノベーション」とは?
・新市場創出型破壊的イノベーション(アップル)とローエンド型破壊的イノベーション(ユニクロ)

 1.3 経営の神様P.F.ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」とは?

・企業の目的は創造的破壊と顧客の創造である!
・柳井 正(ユニクロ)語録…「一勝九敗」、「成功は一日で捨て去れ」)
 (挑戦と試行錯誤の連続、失敗から育てる次の芽、安定志向という病)

 1.4 C.M.クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」 とは?

・技術革新が巨大企業を滅ぼす時…なぜ優良企業が、優れた経営が失敗するのか?

 1.5 イノベーションを阻む見えないガラスの壁とは?

・リスクを避ける保守・保身の壁…個人
・常識や既成概念・価値観の壁…社会
・組織や企業体質・文化の壁…組織

 1.6 ガラスの壁を突破するためにイノベーターに求められる資質と能力

・チャレンジング・スピリット…挑戦者魂、鈍感力、挫折力
・フロンティア・スピリット…好奇心、開拓者魂
・リーダーシップ…統率力、人間的魅力

 1.7 企業組織と体質の問題…メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用

・敷かれたレールの上を脱線しないように走るゼネラリストから構成される、
 スペシャリストの生まれ難い日本固有のメンバーシップ型雇用における問題点とは?

 1.8 イノベーション・プロセスと技術経営

・科学と技術の狭間で…線形科学から非線形科学へ
・個々の技術力に勝る日本企業が、何故事業で敗れるのか?…WhyやWhatを語らないHow to病の日本!
・「PDCAサイクル」の進化形、機動戦を勝ち抜くための{OODAループ}とは?

 1.9 ケース・スタディ…生分解性プラの理想像を求めて、1986年以降今日まで38年間
 
2.繊維・不織布における破壊的イノベーションの歴史

 2.1 初めての人造繊維…ニトロセルロース繊維(H. de Shardonnet, 1878)
 2.2 初めての合成繊維*…ナイロン66(W. H. Carothers, 1932)
 2.3 紡糸直結型極細繊維不織布(1)メルトブローン(Van A. Wente, 1951)
 2.4 紡糸直結型極細繊維不織布(2)フラッシュ紡糸(Herbert Blaze, 1957)          
 2.5 紡糸直結型スパンボンド不織布(DuPont, 1958 ; Freudenberg, 1962)
 2.6 ナノファイバー…非ノズル式エレクトロスピニング(Elmarco,2005)
 2.7 剛直性高分子の液晶紡糸(S. L. Kwolek, 1965)
 2.8 屈曲性高分子のゲル紡糸(A. J. Pennings, P. Smith and P. J. Lemstra, 1980)
 2.9 溶融紡糸型極細繊維―海島型複合紡糸(Alvin Leonard Boleyne, 1964)
 2.10 溶融紡糸型極細繊維―分割・分離型複合紡糸(David Tanner, 1964)
 2.11 炭素繊維(UCC, 1954 ; 大工試, 1959)
 2.12 植物由来生分解性合成繊維…ポリ乳酸繊維・不織布(ユニチカ, 1998)
 
3.繊維・不織布素材におけるグリーン・イノベーション

 3.1 地球環境・資源・廃棄物問題の抜本的解決のために
   ・海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と生分解性プラスチックの役割
   ・地球上に生命が誕生して38億年、地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
   ・自然界が有する真のリサイクルシステムである炭素循環へのリンク
 3.2 バイオプラスチックの識別表示と環境負荷低減効果
   ・日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示制度
    ①生分解性プラ ②生分解性バイオマスプラ ③バイオマスプラ
   ・世界の法規制と業界動向
 3.3 ポリ乳酸(PLA)の基本特性
   ・生分解性バイオマスプラ…熱可塑性脂肪族ポリエステル(Tm:170±5℃, Tg:58℃)
   ・高L組成ポリ乳酸(High %L PLA, %D<0.5)…高結晶化速度、耐熱性、寸法安定性
   ・食品衛生性…食品衛生法厚生省告示第370号認証(一般規格、個別規格)
   ・生分解機構…2段階2様式の特異的な生分解機構/非酵素分解(加水分解)型
    →長期使用耐久性構造材料と短期使用バイオリサイクル材の両面展開が可能
    →使用後のバイオリサイクル過程での分解開始の自動スイッチオン機構内蔵
 3.4 ポリ乳酸のリサイクル/再資源化…真に持続可能な資源循環型社会の確立へ
   ・グローバルには…自然界の真のリサイクルシステムである炭素循環にリンク
   ・ローカルには
    ①ケミカルリサイクル…熱分解によるラクチド(ポリ乳酸原料)の回収
    ②バイオリサイクル…堆肥化(好気性下)又は生ごみ発電(嫌気性下)
 
4.ポリ乳酸繊維・不織布の高機能性と応用展開

 4.1 ポリ乳酸繊維・不織布…テラマック(TERRAMAC)®(ユニチカ)ほか
   ・繊維…モノフィラメント、長繊維、短繊維、ショートカット、芯鞘複合繊維、サイド・バイ・サイド複合繊維
   ・不織布…スパンボンド、メルトブローン、サーマルボンド、湿式、スパンレース、ニーパン
 4.2 ポリ乳酸繊維固有の5つの高機能性

    ①生分解性 ②吸・放湿性 ③防炎性 ④抗菌・防カビ性 ⑤耐光・耐侯性
 
高機能性 評価試験法 指標 結果
生分解性 ISO 14855(JIS K6935)準拠
ISO 14985(JIS K6398)準拠
分解率
分解率
合格
合格
吸・放湿性 水滴落下法 乾燥時間
濡れ性COSθ
平衡吸水分率
15分以内
0.254
0.5wt%
防炎性 JIS K7201 準拠
(財)日本防炎協会
限界酸素指数LOI
防炎製品
24-29
合格認定
静菌・防黴性 繊維製品新機能性評価協議会 抗菌防臭加工新基準
静菌活性値>2.2
 
>5.9(合格)
耐光・耐侯性 Fade-Ometer(100hrs)
Sunshine Weather Meter(500hrs)
強度保持率(%)
強度保持率(%)
90%<
90%<

 4.3 ポリ乳酸繊維・不織布固有の高機能性を生かした用途/市場開発動向
   ・生分解性…農林・園芸・土木・水産資材、飲用フィルター(緑茶、紅茶、コーヒー)、
    生活・衛生資材、シェールガス採掘用目止材
   ・抗菌・防カビ性…エアフィルター、ワイパー、ナプキン、ヘッドレストカバー、
    浴用タオル、生ごみ水切りネット、風呂敷、かばん
   ・防炎性…インテリア、壁紙・天井材、寝具・椅子の詰め綿やクッション
   ・耐候性…屋外資材、カーテン、工事用シート・カバー、広告・宣伝媒体
   ・吸・放湿性…カジュアル・制服・作業着、壁紙・天井材
   ・エコ・ファッション性:エコバッグ、ウェディングドレス、リボン
   ・成形加工性:ジッパー、ファスナー、3Dプリンター用モノフィラメント
 
  □質疑応答□

セミナー講師

望月 政嗣 氏 (元京都工芸繊維大学特任教授、工学博士、高分子学会フェロー)
【専門】
高分子材料科学、特にバイオプラスチックや生分解性高分子、
高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性

 [紹介]
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。繊維学会功績賞、日経BP技術賞、その他を受賞。

[著書]
「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」(CMCリサーチ)「生分解性プラスチックの素材・技術開発―海洋プラスチック汚染問題を見据えて―」(NTS)、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」(シーエムシー出版)、「生分解性ポリマーのはなし」(日刊工業新聞社)、その他多数

セミナー受講料

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9月1日からの1名申込み: 受講料 41,800円(E-Mail案内登録価格 39,820円 )
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配布資料

  • 製本テキスト(開催日の4、5日前に発送予定)
    ※開催まで4営業日~前日にお申込みの場合、セミナー資料の到着が、
    開講日に間に合わない可能性がありますこと、ご了承下さい。
    Zoom上ではスライド資料は表示されますので、セミナー視聴には差し支えございません。

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開催日時


10:30

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55,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

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全国

主催者

キーワード

繊維技術   高分子・樹脂材料   環境負荷抑制技術

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キーワード

繊維技術   高分子・樹脂材料   環境負荷抑制技術

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