実務家による海外子会社管理セミナー ~日本と海外の両面からの統制管理が重要~【オンライン】

セミナー趣旨

2020年代に入り、COVID-19による世界的なパンデミックや国際紛争等の未曾有の危機を体験し、国際社会は新たな局面を迎えました。また、近年の歴史的な円安により、その国際社会の中における日本の立ち位置にも大きな変化が起きています。

日本という国の国際的な価値が相対的に下がってきているようにみえる昨今において、グローバル企業においては、自分たちで、これまで以上に海外子会社のリスク管理、不正管理、ガバナンス等を強化する必要があり、国際マーケットでの自社の立ち位置を明確にしなければなりません。

グローバル企業の企業経営においては、株主や債権者、顧客等の直接的な利害関係者への対応のみならず、長期的な価値創造の観点から社会の持続可能性(サステナビリティ)への貢献という間接的な利害関係者への対応が求められるようになり、その両立を求める企業が多くなりました。

ただし、海外子会社管理という実務対応において、一度に網羅的にこれらをクリアすることは非常に難しく、まずは何を行うべきなのか、ボトルネックとなっている項目の切出しと優先順位付けが非常に重要となります。

本セミナーにおいては海外子会社経営の失敗を次の2つのパターンに分類し、実際の事例を踏まえて深堀します。



【海外子会社経営の失敗理由】

①コントロールしすぎによる失敗(日本人MD=新規設立に多い)
②任せすぎによる失敗(現地MD=M&Aに多い)

これらの失敗理由、要約すると大きくはコントロールバランスとコミュニケーションの問題と言ってもよいでしょう。つまり親会社主導で行う海外子会社管理において、何に対してアプローチをかける必要があるか。アプローチ対象となるボトルネック項目の切出しがとても重要なのです。

「(海外子会社に)任せるが検証する」ことが海外子会社管理の原則であるとした場合、どのように任せるか、検証するポイントをどこに置くか、問題が発覚した場合にどのように取り組むか、具体的な運用をどのように現地スタッフたちに根付かせていくか、などポイントとなる点はいくつもあります。

これらに対して網羅的にアプローチをかけるのではなく、ボトルネックとなる項目に絞ってアプローチするのです。このボトルネック項目の探求、これには現地MD、現地マネージャー、場合によっては現地スタッフとのコミュニケーションが必須です。

そして、このコミュニケーションは内部統制実務に類似したヒアリングにより行うことが多く、海外子会社管理を含む内部統制業務では、一般的に「3点セット」と呼ばれる成果物を作成します。
<3点セット>
①業務フロー
②業務記述書
③RCM(リスク・コントロール・マトリックス)
※この③のRCMを基に、不正管理、コンプライアンス、業務マネジメント、リスクマネジメント、モニタリングマネジメントなどの具体的なマネジメントを行っていくことが海外子会社管理の基本となります。

この「3点セット」は、J-SOXに基づく内部統制実務において、一般的に作成されるものですが、海外子会社管理の初期フェーズでは、リスク・コントロール項目の全てを網羅的に行う必要はありません。日本親会社が海外子会社に対してもつガバナンス目的を明確にし、その目的に照らして何がコントロールのボトルネックとなっているかの事実関係を明らかにするのです。
※この目的が潜在リスクに対するコントロール(潜在リスク項目の洗い出し)であれば網羅的にヒアリングをかけることになります。

それでも多くの日本企業は海外子会社管理が得意ではありません。多くの場合はコミュニケーションエラーが原因となっています。海外子会社に指示したからではなく、どのような合意形成を海外子会社としたかが重要です。そして、その合意形成の中にガバナンスの手法を取り入れることが必要なのです。
<ガバナンス手法(種類)>
①人の派遣によるガバナンス
②法・契約によるガバナンス
③仕組化によるガバナンス
※アセアン各国のガバナンスにおいて②はあまり機能しないため、仕組化と人の派遣を組み合わせることなど臨機応変に対応する。

日本企業は海外子会社管理のフレームワークを作ることから始めることが多い印象であり、現地子会社とのコミュニケーションを可能な限り取らないようにしている会社も見受けられます。フレームワークや仕組化だけではガバナンスは完結しません。現実の海外子会社ガバナンスには、現地との密なるコミュニケーションが必要となるのです。

本セミナーでは、弊社の海外拠点で実際に起こった具体事例をちりばめ、貴社海外子会社管理に資する情報を提供します。

受講対象・レベル

経営企画部門、海外事業部門、内部統制部門、リスクマネジメント部門、各種事業部門(海外事業担当者)、コーポレート部門、海外赴任者(予定者)、その他本テーマにご興味がある方

セミナープログラム

1.総論(海外子会社管理)
 (1)海外子会社管理方式の変遷
    ・海外事業部管理方式
    ・事業部門管理方式
 (2)海外子会社ガバナンス
    ・海外子会社経営の2つの失敗パターン
    ・海外子会社ガバナンスの目的
    ・目的による海外子会社ガバナンス
 (3)ガバナンス手法
    ・一般的なガバナンス手法
    ・実務上のガバナンス手法(対海外子会社)
    ・3点セットとは
    ・リスクマネジメントとは
    ・リスクマネジメントをCFOが行うための最適な組織図
    ・日系企業のリスクマネジメントの導入
    ・海外子会社ガバナンス手法
  
2.各論(実際の現地事例)
 (1)不正リスク
    ・不正リスクの概要 
    ・社内備品や資産転売の事例
    ・社内備品や資産転売の対応策
    ・現金横領の事例
    ・現金横領の対応策
    ・二重支払の返金による着服
    ・二重支払の返金による着服の対応策
 (2)ガバナンス不全
    ・ガバナンス不全概要
    ・会社の金銭を短期金融商品で私的に運用
    ・会社の資産を用いた私的運用の対応策
 (3)労務リスク
    ・労務リスク概要
    ・幽霊社員への支払い
    ・実態のない支払の対応策

3.パネルディスカッション
 (1)リスクマネジメント事例の検証
    ・ボトルネックの深堀
    ・ガバナンス体制の再構築
 (2)PMI事例の検証
    ・現場(ナショナルスタッフ)
    ・本社(コントロール)
    ・コンサル(コーディネーション)
    ※運用における各立場の不都合や問題点
 (3)実務上のリスク切離し方策の是非
    ・会計を適正に保つための簿外資産
    ・会社の清潔さを保つための別会社設立


※申込状況により、開催中止となる場合がございます。
※講師・主催者とご同業の方のご参加はお断りする場合がございます。
※録音、録画・撮影・お申込者以外のご視聴はご遠慮ください。

セミナー講師

JGA税理士法人 代表社員 税理士 片瀬陽平 氏

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる。

J Glocal Accounting Co., Ltd. Managing Director 坂田竜一 氏

「タイにおいて日本品質の専門家サービスを提供すること」を設立理念とし、2013年にJ Glocal Accounting Co., Ltd.を設立。タイで活躍するためには専門性の高さはもちろん、タイ語においてもネイティブレベルで扱えることが重要であり、クライアントの現地マネージャーとのMTGや当局との均衡、税務調査に至るまですべての業務につき自身のタイ語で対応する。2023年の「JGA税理士法人(日本法人)」の設立を機に、クライアントの日本親会社サポート業務にも注力している。専門領域は、タイ国会計・税務・労務、内部統制・海外子会社管理、各種DD、BOIコンサルティング、タイ語での各種対応など多岐にわたる。

セミナー受講料

受講料            1名につき
会員 38,500円(本体 35,000円)  一般 41,800円(本体 38,000円)

※会員価格適用については、企業研究会会員が対象となります。
(所属先の会員登録有無がわからない場合、お申込みの際に備考欄へ「会員登録確認希望」とご記入ください。)
※最少催行人数に満たない場合には、開催を中止させて頂く場合がございます。
※お申込後のキャンセルは原則としてお受けしかねます。お申込者がご出席いただけない際は、代理の方のご出席をお願い申し上げます。

受講について

視聴用アカウント・セミナー資料は、原則として開催1営業日前までにメールでお送りいたします。
※最新事例を用いて作成する等の理由により、資料送付が直前になる場合がございます。


※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


14:00

受講料

41,800円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込

開催場所

全国

主催者

キーワード

ガバナンス   コンプライアンス   海外事業進出

※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

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14:00

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41,800円(税込)/人

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キーワード

ガバナンス   コンプライアンス   海外事業進出

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