品質問題の未然防止の考え方と実務対応策 ~ものづくりにおける品質トラブル・事故ゼロの実現に向けて~
開催日 |
10:00 ~ 17:00 締めきりました |
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主催者 | 株式会社 情報機構 |
キーワード | ヒューマンエラー リスクマネジメント 品質マネジメント総合 |
開催エリア | 東京都 |
開催場所 | 【大田区】大田区産業プラザ(PiO) |
交通 | 【京急】京急蒲田駅 |
★トラブル発生時の緊急対応、再発防止に向けた原因究明、
未然防止におけるリスクの気付きの未然防止3ステップ対策を、
事例演習を通じて習得!
★製造業における設計・調達・製造等、各段階ごとの
未然防止対策を詳述!
講師
未然防止研究所 代表 林原 昭 先生
【講師紹介】
トラブル・事故ゼロ社会の実現を目指す未然防止コンサルタント。
1973年慶應義塾大学工学部計測工学科卒業後、日産自動車入社。IE(Industrial Engineering)を
習得し、製造現場の生産性向上および生産管理の実務を通して、業務改革・改善に取組み、
現場の大切さを知る。
1990年千代田化工建設に移り、プロジェクトマネジメント手法を駆使して、
自動車工場建設プロジェクトを遂行。2000年以降、自動車業界中心に、品質保証業務を通して、
「未然防止」活動を実践。 直近、三菱重工の関連会社で、品質保証を担当し、
プロジェクトの未然防止に取り組み、損失コスト削減で成果を上げる。
これまでの製造ビジネスを通して、日本・世界30か国以上で改善業務を実践し、コスト削減や
品質改善で多くの実績を残す。
2017年には、書籍出版をきっかけに、「未然防止」の普及活動に取り組み、
企業研修・講演・セミナーおよびコンサルを実践。現在、企業不祥事をテーマにした2冊目の出版に
取り組んでいる。
受講料
1名48,600円(税込(消費税8%)、資料・昼食付)
*1社2名以上同時申込の場合 、1名につき37,800円
*学校法人割引 ;学生、教員のご参加は受講料50%割引。
セミナーポイント
*本セミナーでは、PPT資料の配布はございません。
(別途、要点を記載したレジメを配布します)。
セミナー内容
1.業務上のトラブル・事故の現状
(1) 業務上のトラブル
・書類の間違い、納期遅れ、製品の品質不具合→顧客クレーム
・手戻り、トラブル処理の多発→長時間労働の可能性、仕事の生産性低下
・不祥事(書類の偽造、データ改ざん、法令違反)→社会問題、事業の破たん
(2) 不慮の事故死が過去20年以上毎年約4万人
2.なぜトラブル・事故が起こるか―原因は人間のミス(ヒューマンエラー)―
(1) ミスを誘発する人間の習性と脳のクセ
・習性1:過去を振り返りたくない 習性2:考えたくないことは考えない、
見たくないものは見ない
・脳のクセ:?部分だけを取り出す ?過去の記憶とつなげる ?想定内だけで考える
(2) ミス(ヒューマンエラー)
・ルールを知らなかった、知っていたができなかった、
納得していない(知識・スキル・理解不足)
・ルールを知っていたが、わざとやらなかった(違反、大丈夫感覚)→不祥事の温床
・失念、錯覚、勘違い、思い込み
・利益とリスクの間違った比較(リスクを取りに行って、トラブルを起こす)
(3) ミスはなくせるか
・人間はミスをする動物。ミスをゼロにはできない。
・「未然防止」の導入で、ミスしても実害のあるトラブルをゼロにすることが可能。
3.未然防止とは
・未然防止はコストではなく、マネジメントそのもの
・未然防止は先行投資。事が起こってからでは遅い
→ここに「未然防止」の価値がある。
4.未然防止3ステップ対策
(1) 第1ステップ:緊急対応 (火を消す、延焼を止める)
・ トラブルを隠さない、即報告・共有
・ トラブルの隠ぺいを生むトラブルの当事者への叱責
・ トラブルの事実を正しく知る(トラブルの定義の明確化)
・ トラブル発生後の初動が大切
・ トラブルに対する早期対応でコスト最小化
(2) 第2ステップ:再発防止(同じ場所・同じ原因の火事を防ぐ)
・ 犯人捜しではなく、原因探し
・対策は、直接原因ではなく根本原因(真の原因)から→なぜなぜ分析で根本原因追究
・ マニュアルに必要な “Know Why”と“5S”
・トラブルを起こした当事者を正当化せよ(当事者の本音・言い訳に根本原因のヒントあり)
・ 対策は行動レベルまで落とし込む(WBS = Work Breakdown Structure の考え方に準拠)
(WBSは、プロジェクトマネジメント手法の1つ)
(3) 第3ステップ:未然防止(異なる場所・異なる原因の火事を防ぐ)
・再発防止と未然防止の違いとは
・ なぜ未然防止が進まないか
(業務の優先順位の間違い)
・コミュニケーションミスによるトラブル防止策
(話し手の省略、聞き手の誤解予測)
・ 失敗学による将来リスクに気付くワザ
・「結果良ければすべてよし」の間違い
(結果は手段を正当化しない)
・ 鳥の目、蟻の目、第3者の目
(業務の執行と監督の分離)
5.未然防止で不祥事撲滅
(1) なぜ不祥事が起こるか
・ ルールが守られない
・ 再発防止の間違い
・ 将来リスクに気付かない
・ 現場の疲弊
・ 権力に忖度
(2) 如何にして不祥事を撲滅するか
・ 未然防止3ステップで企業の体質強化
・ 他社の不祥事を「対岸の火事」とせず→他社のふり見て、自社のふり直せ
・ 顧客、自社の製品・サービスに対して、正直であれ(ウソの上塗りは泥沼化を招く)
・ 異常に対する感性を磨く(組織横断的なチームワーク、外部からの視点、
安全・品質優先が基本)
・ 中間管理職、リーダーの役割が大切(現場とトップマネジメントとの橋渡し、
安易な解決策に走らない)
6.ものづくりの未然防止
6-1 ものづくりの形態
(1) 量産(同じ製品の繰り返し生産。繰り返し性と再現性が重要)
(2) 一品物生産=プロジェクト系
(原則、一度限りの生産。新規図面を作成 or 過去の図面を流用。
業務の流れ:設計→製造(調達)→据え付け→引き渡し)
6-2 量産における未然防止
(1) 設計開発段階での品質玉成
・ APQP(新製品品質計画) 実施とその進捗管理
・ コントロールプラン(QC工程表、検査基準と検査方法)作成
→過去トラの分析、FMEAの実施(製品設計と生産プロセスの改善)
・ PPAP(量産開始前の生産部品承認プロセス)の完全実施
(2) 量産段階での品質改善
・ 初期流動管理
・ 品質ヒヤリハット対策
・ 8Dによる品質問題の解決手順
・ QRQC = Quick Response Quality Control
・ 4M変更管理
・ 異物混入防止活動
・ 品質改善活動を通して、現場意識の高揚を図る
6-3 一品物生産における未然防止
(1) 契約段階での留意点
・ 契約範囲を明確にする(契約範囲内 / 契約範囲外)
・ 契約形態(ランプサム契約 / コストプラスフィー契約)
・ 営業だけで判断しない(プロジェクト・設計部門との連携)
・ 契約締結前に社内で議論(プロジェクトのリスク抽出と評価、撤退も選択肢)
(2) 設計段階での未然防止
・ 変更管理(類似プロジェクトとの共通点と変更点)
・ デザインレビュー(プロジェクトマネジャーが主催する、リスクの抽出・評価と未然防止)
・ 顧客との議論(契約内容の確認、契約履行困難の場合は代替案提示)
・ 設計図面のチェック(誰がチェックするか、外注の場合は要注意)
(3) 製造・調達での対応
・ 不具合情報を設計と共有する(小さい不具合も見逃さず、設計と連携をとる)
・ コントロールプランの見直し(過去のプロジェクトでの検査漏れリスクに注力)
・ サプライヤーへの対応(PIM = Pre-Inspection Meetingの実施、検査分担の確認)
(4) プロジェクトの損失コスト(仕損費)
≪損失コストの主な発生原因・流出原因≫
・契約段階
―見積り(積算)間違い
―契約内容の理解不足、契約範囲の誤解
・設計段階
―過去の類似プロジェクトの影響により、リスクに気付かず
―外注図面のチェック漏れ
―流用図面の間違い
・製造・調達段階
―サプライヤーの図面に対する理解不足
―製造不具合
―検査関連(検査項目欠落、検査手順の間違い等)
6-4 未然防止におけるPDCAサイクルの回し方
6-5 目標設定(KGIからKPIを誘導する):結果評価よりプロセス評価が大切
・KGI(Key Goal Indicator)
:ビジネスの最終目標を定量的に評価する指標→結果評価
・KPI(Key Performance Indicator)
:KGIを達成するため、各ビジネスプロセスが適切に実施されているかを定量的に評価するための指標
―定量化できる指標にする
―KGIと結びついた指標にする
―具体的な施策に繋がるKPIであるとこと
7.未然防止で働き方改革の実現
・業務上のトラブルの未然防止でトラブル処理から解放され、本来業務時間の確保
→本来業務の効率アップ
→仕事の生産性向上
8.失敗事例と成功事例からの学び方
(1) 失敗事例からの学び方
・他社、他事業部門の失敗事例を他人事とは思わないこと(他社のふり見て、自社のふり直せ)
・失敗事例の一般化→将来リスクの気づきを得る(一般化を習得するには訓練が必要)
(2) 成功事例からの学び方
・成功に至った手段・プロセスを振り返る
・偶然の成功は再現性が低い(成功して良かったで終わらない)
9.全体のまとめ
10.事例演習(グループ討議の手順)
・ステップ1:緊急対応
―営業担当の初動(事実)は何か。本来はどうすべきだったか(正しい初動とは)
・ステップ2:再発防止
―クレームの定義(あるべき姿と現状の姿)。クレームの根本原因推定と再発防止対策誘導
・ステップ3:未然防止(再発防止の結果を参考にして)
―将来リスク抽出とその未然防止策立案
<質疑応答>
なお、当日の講演内容が、上記と一部異なる場合があります。あらかじめご了承ください。