円高や新興国の成長、TPPのごたごた、震災など、さまざまな要因で国内製造業には逆風が吹いています。
一橋大学林文夫教授が編集した「経済停滞の原因と制度」(勁草書房、2007)の分析では、90年前後のバブル崩壊以降20年に渡る経済の停滞原因の一つは、全要素生産性(TFP)の成長率低下、金融政策の誤りによる投資の低迷、非効率な公共投資の3つだったとしています。
これは製造業だけに限定した話ではありませんが、ものづくり産業で言えば、当時新興国が急激に実力を向上し、簡単な工業製品であれば大きな問題なく生産できるようになってきた頃に当たります。従来のQC活動に代表される生産工程での改善で産出される競争力から、研究、開発、設計、さらに上流の製品企画、事業戦略に付加価値が遷移して行くべきところを変革できなかった点が問題です。
上流工程でも生...