面積原価(その1)
2016-10-20
SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。
日本の製造業のROE(自己資本純利益率=資本生産性)は、下記の通り近年5年の平均で6%未満と欧米や韓国にも劣っており、特に米・英と比較すると半分にも満たない現状です。この様な資本生産性の悪さが日本のデフレ脱却の大きな障害になっているとして、安倍政権の掲げるアベノミクスでも最大の政策課題として取り上げられています。おそらく、このHPをご覧頂いている貴社のROE、つまり資本生産性も同様であると推測されます。面積原価管理の狙いは、生産性を阻害している原因を明らかにし改革・改善の方向性を示す現場で使えるKPIを示すことにあります。
下記は、通常よく見られるSCMのプロジェクト目標です。通常、リードタイム、在庫、原価の組合せで目標が設定されることが一般的です。しかし、リードタイム、在庫、原価には一つの指標は良くなっても他方が悪くなるというトレードオフの関係があり、それぞれの指標個別では、SCMの改善の指標としては、使う事はできません。現在、SCMが進まない最大の原因の一つはこのような適切なSCM評価指標がないために、改善の進度が定量的に図る事ができないことです。
また、冒頭に示したROEは、企業全体のSCMの効率、資本生産性を評価するためには大変優れた指標ですが、ROE(ROAも含めて)は、前期の決算の結果を示す過去の指標であって現在の状況を表していないこと、さらにそれらが、全社の状況は示すが部門の状況は表していないため、日々現場で使うSCM評価指標としては、下図のように不十分です。
次回、面積原価(その2)では、SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か?もう一度振り返って考えてみることにしましょう。