生産管理パッケージの大半は、
MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)という生産管理手法をベースに作られています。ところが、日本の工場ではMRPがほとんど機能せずに生産管理システムは単なる伝票発行機としてしか使われていないことが多いようです。MRPが機能しないことで経営者に失敗といわれているプロジェクトもあります。
MRPでは、各部品が必要とする時期に丁度手に入るように計算手配することで、いわゆるジャストインタイム手配します。MRPでジャストインタイムの精度を高めるためには、部品を必要とする時期(納期)と部品の調達リードタイムのデータが整備されていなくてはなりません。ところが、日本の多くの製造現場では、これらの数字データを明確に設定することは困難です。
例えば、「納期」は取引先の要望や設計変更などの影響で、常に変化する可能性を持っています。また、「リードタイム」もロット数および部品会社や製造工程の負荷状況によって変化するのが普通ですので、MRPが求めるように一意に決めることはできません。
この状態でMRPを計算してもジャストインタイムを実現することは難しく、担当者による手作業調整が必要となります。そのため、全部品で同じリードタイムを設定したり、部品展開したらすぐに指示書を発行するといった形で、部品展開機能だけを利用する製造業者が多いようです。これでは 生産を管理しているとはいえません。
MRP生産管理システムにはもうひとつ大きな問題があります。それは、想定した作業がどのくらい遅れたのかを見極めることが苦手なことです。例えば、MRP生産管理システムでは10日に作業完了予定の作業が10日になっても完了していないということはつかめますが、なぜ遅れたのかまでははっきりつかめません。遅れの原因といっても、予定工数よりも作業工数が多かったために遅れたのと、作業が滞留して順番待ちになっているために遅れたのでは、今後の納期改善対策の方向性は大きく変わってきます。
また、MRPでは納期遅れが生じた時に、いつであればそれが出来上がるのかを示すことも容易ではありません。これは、MRPシステムはそもそも計画通りに運用するための仕...