「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきこと
2018-01-16
2年前から、製造業の技術者などの方を対象にしたセミナーで講師を務めています。セミナーのテーマは、「わかりやすい文書の書き方」です。
セミナーに出席された方に、「セミナーに出席した理由は何ですか?」とお聞きすることがあります。その回答の中で多いのが、「上司から、『君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい。わかりやすい文書の書き方に関するセミナーがあるので文書の書き方を学んでこい』と言われました」のような内容です。
設計部門で働く技術者の方、製造の現場で働く技術者の方あるいは研究部門で働く技術者の方など、回答された方の部署は様々でした。
上司から、「君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい」と言われた方は、このように言われた理由がわからないと思います。「アッそうか・・・、『6章の実験結果のまとめ』がわかりにくかったのだろう。やはり、『わかりにくい』と指摘されたか」とは思いません。「エッ・・・どこがわかりにくかったのだろう?」と思います。
なぜならば、「読み手に報告書の内容が明確に伝わっている」と思い込んでいるからです。書き手が「内容が明確に伝わっている」と思っていても、読み手は「内容が明確に伝わらない」と思うことがあります。
「書き手が文書を書くこと・読み手が文書を読むこと」について、このような“ずれ”があることを認識してください。
文書を書く人と文書を読む人は違います。「文書を書く人は“知っている人”、文書を読む人は“知らない人”注1)」ということを認識してください。
*注1:書き手と読み手の違いについては、前回の記事:「わかりやすい文書を書くうえで最も重要なこと(2017年12月27日に掲載)」を参照してください。
「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことをまとめます。「君の書いた文書はわかりにくい」と言われたことのある方は、これらのことを実践してください。そして、「君の書いた文書はわかりやすい」と言われる技術者にステップアップしてください。
「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことの中で最も重要なことは、“文書をわかりやすく書こう”という意識を持つことです。これは、“文書を書くことに対する意識改革”です。意識を変えることで、「文書をわかりやすく書こう」という気持ちになります。このような気持ちを持つことが、文書をわかりやすく書くためのスタートに立つことです。
読み手(知らない人)に何かを伝えるために文書を書きます。
「仕事の成果を報告書としてまとめた。これを読めば、仕事の成果がわかるはずだ」のように考えないでください。「読む人(知らない人)に内容が明確に伝わるように報告書を書いてあげよう」のような、読み手(知らない人)への配慮を忘れないでください。
文書を書き終えたら、「この書き方(この内容)で読み手に内容が明確に伝わるか?」と考え、読み手の立場に立って、文書の書き方(文書の内容)をチェックしてください。
チェックと修正を繰り返すことで、文書を...
わかりやすく書くための書き方がわかってきます。
「読み手の立場に立って、文書の書き方(文書の内容)をチェックすること」と言われても、「何をポイントにして文書の書き方(文書の内容)をチェックしたらよいのかわからない」という方もいらっしゃると思います。
このような方には、「文書をわかりやすく書くための書き方」について勉強することをお薦めします。
文書の書き方を解説した書籍が数多く出版されています。文書の書き方を解説するセミナーもあります。書籍を読んだりセミナーに出席したりすることで、文書をわかりやすく書くための書き方を勉強してください。また、「文書の書き方」をテーマにした社員研修を実施し、文書の書き方をそこで勉強するのもよいと思います。