「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきこと

投稿日

1. セミナーでの回答

 2年前から、製造業の技術者などの方を対象にしたセミナーで講師を務めています。セミナーのテーマは、「わかりやすい文書の書き方」です。
 
 セミナーに出席された方に、「セミナーに出席した理由は何ですか?」とお聞きすることがあります。その回答の中で多いのが、「上司から、『君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい。わかりやすい文書の書き方に関するセミナーがあるので文書の書き方を学んでこい』と言われました」のような内容です。
 
 設計部門で働く技術者の方、製造の現場で働く技術者の方あるいは研究部門で働く技術者の方など、回答された方の部署は様々でした。
 

2. 「読み手に報告書の内容が明確に伝わっている」と思い込んでいる

 上司から、「君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい」と言われた方は、このように言われた理由がわからないと思います。「アッそうか・・・、『6章の実験結果のまとめ』がわかりにくかったのだろう。やはり、『わかりにくい』と指摘されたか」とは思いません。「エッ・・・どこがわかりにくかったのだろう?」と思います。
 
 なぜならば、「読み手に報告書の内容が明確に伝わっている」と思い込んでいるからです。書き手が「内容が明確に伝わっている」と思っていても、読み手は「内容が明確に伝わらない」と思うことがあります。
 
 「書き手が文書を書くこと・読み手が文書を読むこと」について、このような“ずれ”があることを認識してください。
 
 文書を書く人と文書を読む人は違います。「文書を書く人は“知っている人”、文書を読む人は“知らない人”注1)」ということを認識してください。
 
*注1:書き手と読み手の違いについては、前回の記事:「わかりやすい文書を書くうえで最も重要なこと(2017年12月27日に掲載)」を参照してください。
  
 人的資源マネジメント
   

3. 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきこと

 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことをまとめます。「君の書いた文書はわかりにくい」と言われたことのある方は、これらのことを実践してください。そして、「君の書いた文書はわかりやすい」と言われる技術者にステップアップしてください。
 

(1)“文書を書くことに対する意識改革”をすること

 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことの中で最も重要なことは、“文書をわかりやすく書こう”という意識を持つことです。これは、“文書を書くことに対する意識改革”です。意識を変えることで、「文書をわかりやすく書こう」という気持ちになります。このような気持ちを持つことが、文書をわかりやすく書くためのスタートに立つことです。
 

(2)「この書き方(この内容)で読み手に内容が明確に伝わるか?」と考えること

 読み手(知らない人)に何かを伝えるために文書を書きます。
 
 「仕事の成果を報告書としてまとめた。これを読めば、仕事の成果がわかるはずだ」のように考えないでください。「読む人(知らない人)に内容が明確に伝わるように報告書を書いてあげよう」のような、読み手(知らない人)への配慮を忘れないでください。
 
 文書を書き終えたら、「この書き方(この内容)で読み手に内容が明確に伝わるか?」と考え、読み手の立場に立って、文書の書き方(文書の内容)をチェックしてください。
 
 チェックと修正を繰り返すことで、文書を...

1. セミナーでの回答

 2年前から、製造業の技術者などの方を対象にしたセミナーで講師を務めています。セミナーのテーマは、「わかりやすい文書の書き方」です。
 
 セミナーに出席された方に、「セミナーに出席した理由は何ですか?」とお聞きすることがあります。その回答の中で多いのが、「上司から、『君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい。わかりやすい文書の書き方に関するセミナーがあるので文書の書き方を学んでこい』と言われました」のような内容です。
 
 設計部門で働く技術者の方、製造の現場で働く技術者の方あるいは研究部門で働く技術者の方など、回答された方の部署は様々でした。
 

2. 「読み手に報告書の内容が明確に伝わっている」と思い込んでいる

 上司から、「君の書いた報告書(レポート)はわかりにくい」と言われた方は、このように言われた理由がわからないと思います。「アッそうか・・・、『6章の実験結果のまとめ』がわかりにくかったのだろう。やはり、『わかりにくい』と指摘されたか」とは思いません。「エッ・・・どこがわかりにくかったのだろう?」と思います。
 
 なぜならば、「読み手に報告書の内容が明確に伝わっている」と思い込んでいるからです。書き手が「内容が明確に伝わっている」と思っていても、読み手は「内容が明確に伝わらない」と思うことがあります。
 
 「書き手が文書を書くこと・読み手が文書を読むこと」について、このような“ずれ”があることを認識してください。
 
 文書を書く人と文書を読む人は違います。「文書を書く人は“知っている人”、文書を読む人は“知らない人”注1)」ということを認識してください。
 
*注1:書き手と読み手の違いについては、前回の記事:「わかりやすい文書を書くうえで最も重要なこと(2017年12月27日に掲載)」を参照してください。
  
 人的資源マネジメント
   

3. 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきこと

 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことをまとめます。「君の書いた文書はわかりにくい」と言われたことのある方は、これらのことを実践してください。そして、「君の書いた文書はわかりやすい」と言われる技術者にステップアップしてください。
 

(1)“文書を書くことに対する意識改革”をすること

 「君の書いた文書はわかりにくい」と言われないためにやるべきことの中で最も重要なことは、“文書をわかりやすく書こう”という意識を持つことです。これは、“文書を書くことに対する意識改革”です。意識を変えることで、「文書をわかりやすく書こう」という気持ちになります。このような気持ちを持つことが、文書をわかりやすく書くためのスタートに立つことです。
 

(2)「この書き方(この内容)で読み手に内容が明確に伝わるか?」と考えること

 読み手(知らない人)に何かを伝えるために文書を書きます。
 
 「仕事の成果を報告書としてまとめた。これを読めば、仕事の成果がわかるはずだ」のように考えないでください。「読む人(知らない人)に内容が明確に伝わるように報告書を書いてあげよう」のような、読み手(知らない人)への配慮を忘れないでください。
 
 文書を書き終えたら、「この書き方(この内容)で読み手に内容が明確に伝わるか?」と考え、読み手の立場に立って、文書の書き方(文書の内容)をチェックしてください。
 
 チェックと修正を繰り返すことで、文書をわかりやすく書くための書き方がわかってきます。
 

(3)「文書をわかりやすく書くための書き方」について勉強すること

 「読み手の立場に立って、文書の書き方(文書の内容)をチェックすること」と言われても、「何をポイントにして文書の書き方(文書の内容)をチェックしたらよいのかわからない」という方もいらっしゃると思います。
 
 このような方には、「文書をわかりやすく書くための書き方」について勉強することをお薦めします。
 
 人的資源マネジメント
 
 文書の書き方を解説した書籍が数多く出版されています。文書の書き方を解説するセミナーもあります。書籍を読んだりセミナーに出席したりすることで、文書をわかりやすく書くための書き方を勉強してください。また、「文書の書き方」をテーマにした社員研修を実施し、文書の書き方をそこで勉強するのもよいと思います。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

森谷 仁

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!


「人財教育・育成」の他のキーワード解説記事

もっと見る
活発な会議を実現する方法とは、チームワークを高める5つの要素を解説

今回は、すごくはないけど活発な会議を実現するPOESS(ポエス)についてのおはなしです。リーダーが育てるべき人財像の一端が見えます。 【目次】 ...

今回は、すごくはないけど活発な会議を実現するPOESS(ポエス)についてのおはなしです。リーダーが育てるべき人財像の一端が見えます。 【目次】 ...


相手の理解度を下げないやさしい伝え方とは

  【この連載の前回:あなたの「 やる気スイッチ 」はソコにある!へのリンク】   ある方から、「WEB研修に参加する機会が...

  【この連載の前回:あなたの「 やる気スイッチ 」はソコにある!へのリンク】   ある方から、「WEB研修に参加する機会が...


人材育成・組織・マネジメントの考察 【連載記事紹介】 

    ◆人材育成・組織・マネジメントの考察 物事はシンプルに考えることで、問題解決の道が一気に開けてきます。情報を素早く流...

    ◆人材育成・組織・マネジメントの考察 物事はシンプルに考えることで、問題解決の道が一気に開けてきます。情報を素早く流...


「人財教育・育成」の活用事例

もっと見る
結果につなげる言葉と行動、自身の行動目標を決めること

【目次】 国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナーを常時2,00...

【目次】 国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナーを常時2,00...


人財教育・人材育成、謙虚と卑屈、「そもそも無理だった」という理由

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「行動科学」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に関するオ...

【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「行動科学」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に関するオ...


技術系リーダーとして身に付けておくべきスキルとは

        企業の成長のためには、従来の事業の延長線上に留まることなく、積極的に新製品や新規事業の創出、...

        企業の成長のためには、従来の事業の延長線上に留まることなく、積極的に新製品や新規事業の創出、...