1. 内容が頭の中に浮かんでくる文を書く
拙著:「技術者のためのわかりやすい文書の書き方」の中に「6つのルールと17の書き方」があります(以下参照)。
表. 6つのルールと17の書き方
「6つのルールと17の書き方」において“ルール6:内容が明確に伝わる文を書く”の中の“書き方13”は“具体的な内容の文を書く”です。この書き方は、“内容が頭の中に浮かんでくる文を書くこと”です。
この記事の中で、「必要に応じて・・・」、「状況に応じて・・・」という語句を例にして、このような語句を入れて文を書くことの問題点を指摘しました。
例えば、「必要に応じて住民への説明会を開催する」という文はこの“書き方13”に抵触しています。言い換えると、この文は具体的な内容で書かれていません。
「必要に応じて」という語句の具体的な意味(「必要に応じて」が何を意味するのか、「必要」とはどのような状態なのか)が不明確です。
この文を以下のように書くことで、この文は具体的な内容の文になります。
津波発生時の避難計画が決まった段階で、その避難計画を説明するための住民への説明会を開催する。
このように、具体的な内容の文を書けば読み手に文の内容が明確に伝わります。すなわち、具体的な内容の文を書けば、この文の内容が読み手の頭の中に浮かんできます。
2.「~性」という単語の使い方に注意する
「~性」という単語があります。例えば、「経済性」、「生産性」、「利便性」、「必要性」、「施工性」などです。これらの単語の中にもその使い方によっては“書き方13”に抵触する文になるものがあります。
例えば、「施工性」という単語に着目してみます。
「当該現場での施工性を考えたうえで当該地での施工法を選定する」という文が業務報告書の中に書かれていたとします。
もし、この文の前後に、“当該現場での施工性”に関する具体的な説明がなかったらどうでしょうか?
この文を読んだ人は、「“当該現場での施工性”って何のことだ?」と思うでしょう。読み手の頭の中に、“当該現場での施工性”という語句の内容が浮かんでこないからです。すなわち、この文は具体的な内容の文で書かれていません。
このような“書き方13”に抵触した文を書く原因の1つは、書くべきことが自分の頭の中ではっきりしていないことがあります。「当該現場での施工性=◯◯」というように、書き手の頭の中で“当該現場での施工性”の内容(意味)がはっきりしていれば(明確になっていれば)、「当該現場での◯◯を考え・・・」のような文を書くと思います。
「施工性」という単語の他にも、例えば、「利便性」という単語もその使...