直交配列表による分割実験
2019-01-31
今回は、直交配列表による分割実験について、直交表の内部だけで分割する場合の解説です。
直交表の大きさと分割実験の成否との関係は、(a)誤差列に交互作用が交絡していないかどうか、(b)誤差の自由度が確保できるかどうか、によります。
分割実験の場合、1次要因は1次誤差で、2次要因や1次×2次の交互作用は2次誤差で検定しますので、1次誤差や2次誤差に対応する直交表の特定の列に、他列間の交互作用が交絡していると推定がうまくいきません。これは上記の(a)の問題です。したがって、事前に交互作用の存在が分かるのであればその要因は直交表の列に割り付けておき、偶然誤差の変動と分離しておく必要があるわけです(もちろん、交互作用が有意でなければ、あとでプールすればよい)。
L4やL9直交表の場合、1次誤差、2次誤差に対応する自由度が無いため分割実験になりません。これは上記の(b)の問題です。
検定用の誤差を確保するために、ある程度の大きさの直交表が必要になるわけです。2水準系ではL8直交表、3水準ではL27直交表のような3群以上ある直交表だと誤差の自由度が確保できます。混合系では自由度が大きいものが多い(L12、L18など)ですが、交互作用の交絡の仕方が複雑で、特定の列に現れませんので、上記(a)の問題に引っかかることが多いと考えます。
もっとも、直交表実験に繰り返しを入れたり、外側の配置がある場合は、それだけ自由度が増えますので、分割実験が可能となる配置もあります。
多元配置および直交表配置での分割実験の例や計算については、下記の参考書[1]が分かりやすいと思います。
さいごに...
、技術データの取得、解析などのデータエンジニアリングは、目的を明確化してから行うことが最も重要です。
【参考文献】[1]谷津進:「すぐに役立つ実験の計画と解析-応用編」, 日本規格協会, pp.77-120, (1991).