直交表選定の考え方

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1.2水準系と3水準系どちらの直交表を使うか?

 主な直交表には因子の水準数により2水準系と3水準系があり、それ以外はあまり一般的ではありません。

 一般論で言えばすでに基準条件が定まっており、改善、性能向上を狙って別水準を試す場合に2水準系を使用し、開発初期で新たな技術を試すために適正と思われる水準を中心として前後、上下に振りたい場合に3水準系が適します。

 一旦3水準系直交表を選んだら、2水準で充分であっても多少無理して3水準を設定したほうが、解析は簡単です。 一方2水準系直交表に4水準を割り付けることは比較的簡単ですが、2水準の3列を使ってしまいます。元来直交表は無限の水準からピンポイントで最適点を見つけるというより、多数の因子の中から有効なもの、効果的な組合せを見つける時に便利なツールであり、むやみに4水準以上を多用するのは効率的といえません。

 別項で説明するように、2水準系のL4、L8、L16、L32でも3水準、4水準が扱え、3水準系のL9、L27でも2水準が扱えますが、やや煩雑になりますので、2水準の多い実験では2水準系、3水準の要因が多い実験では3水準系の直交表を使うのが基本です。 

 

2.どのサイズの直交表を使うか?

 水準系の次にはサイズを決める必要があります。実際には実験で評価したい要因数が先に決まっている事が多いものです。2水準系で1~3因子ならL4、7因子までならL8、11因子までならL12、8~15因子ならL16といった具合です。3水準系では1~4要因でL9、5~13要因でL27を使うことになり、混合系のL18は、2水準を1因子、3水準を7因子評価でき、比較的使いやすいサイズです。

 また時間や材料、費用の関係から、実験サイズを決めた後で直交表を選ぶ場合も多いものです。その場合は田口博士の検討(「第3版実験計画法下」33章「実験回数の決め方」)が参考になりますので、紹介します。

 前提は 、
(1)実験が大きくなるほど、実験に要する直接費用が増えるだけでなく、(というよりもむしろ)最適条件を出すまでの時間が長くなることによって不良品を出し続けたり、発売が遅れて売り上げが減るなどの損失が増える。
(2)実験が大きくなるほど、得られた結果は性能が高い、コストが低い、歩留が良いなどの効果が増大する。
ということでこれら(1)と(2)を比較すると、あるところまでは(2)項の増加が多く、それを超えると(1)項の増加が勝ってくることとなり、つまり最適な実験サイズが存在すると考えます。

  問題は(2)の実験の結果どれだけ性能、コスト、歩留が良くなるかが、当然ながら実験前にわからないことです。 詳細について関心のある方は前記書籍のP.892~902を読んでもらうとして、結論のみを簡単にまとめて下に引用しておきます。

  反復難易度           望ましい反復数       適応する直交表の例

非常に困難(λ>0.03)       0~1            実験しないか1反復

困難 (0.03>λ>0.003)      2~数反復          L4、L9、L8

普通 (0.003>λ>0.0003)    数反復~十数反復       L16、L18、L27、L32

容易 (0.0003>λ>0.00003)   十数反復~30反復      L32、L64、L54、L81

 ここで「λ=実験1反復あたりのコスト/悪いほうの水準を採用した時の損失」であり、例えば1回の実験にかかるコスト(サンプル...

1.2水準系と3水準系どちらの直交表を使うか?

 主な直交表には因子の水準数により2水準系と3水準系があり、それ以外はあまり一般的ではありません。

 一般論で言えばすでに基準条件が定まっており、改善、性能向上を狙って別水準を試す場合に2水準系を使用し、開発初期で新たな技術を試すために適正と思われる水準を中心として前後、上下に振りたい場合に3水準系が適します。

 一旦3水準系直交表を選んだら、2水準で充分であっても多少無理して3水準を設定したほうが、解析は簡単です。 一方2水準系直交表に4水準を割り付けることは比較的簡単ですが、2水準の3列を使ってしまいます。元来直交表は無限の水準からピンポイントで最適点を見つけるというより、多数の因子の中から有効なもの、効果的な組合せを見つける時に便利なツールであり、むやみに4水準以上を多用するのは効率的といえません。

 別項で説明するように、2水準系のL4、L8、L16、L32でも3水準、4水準が扱え、3水準系のL9、L27でも2水準が扱えますが、やや煩雑になりますので、2水準の多い実験では2水準系、3水準の要因が多い実験では3水準系の直交表を使うのが基本です。 

 

2.どのサイズの直交表を使うか?

 水準系の次にはサイズを決める必要があります。実際には実験で評価したい要因数が先に決まっている事が多いものです。2水準系で1~3因子ならL4、7因子までならL8、11因子までならL12、8~15因子ならL16といった具合です。3水準系では1~4要因でL9、5~13要因でL27を使うことになり、混合系のL18は、2水準を1因子、3水準を7因子評価でき、比較的使いやすいサイズです。

 また時間や材料、費用の関係から、実験サイズを決めた後で直交表を選ぶ場合も多いものです。その場合は田口博士の検討(「第3版実験計画法下」33章「実験回数の決め方」)が参考になりますので、紹介します。

 前提は 、
(1)実験が大きくなるほど、実験に要する直接費用が増えるだけでなく、(というよりもむしろ)最適条件を出すまでの時間が長くなることによって不良品を出し続けたり、発売が遅れて売り上げが減るなどの損失が増える。
(2)実験が大きくなるほど、得られた結果は性能が高い、コストが低い、歩留が良いなどの効果が増大する。
ということでこれら(1)と(2)を比較すると、あるところまでは(2)項の増加が多く、それを超えると(1)項の増加が勝ってくることとなり、つまり最適な実験サイズが存在すると考えます。

  問題は(2)の実験の結果どれだけ性能、コスト、歩留が良くなるかが、当然ながら実験前にわからないことです。 詳細について関心のある方は前記書籍のP.892~902を読んでもらうとして、結論のみを簡単にまとめて下に引用しておきます。

  反復難易度           望ましい反復数       適応する直交表の例

非常に困難(λ>0.03)       0~1            実験しないか1反復

困難 (0.03>λ>0.003)      2~数反復          L4、L9、L8

普通 (0.003>λ>0.0003)    数反復~十数反復       L16、L18、L27、L32

容易 (0.0003>λ>0.00003)   十数反復~30反復      L32、L64、L54、L81

 ここで「λ=実験1反復あたりのコスト/悪いほうの水準を採用した時の損失」であり、例えば1回の実験にかかるコスト(サンプル製作費だけでなく、実験担当者の人件費、経費など一切を含む)が10万円、2水準間の歩留の差による1日の損失が20万円で、このモデルがあと200日生産することが決まっていたとすると4,000万円の損失になるので、λ=10/4000=0.0025であり、上表によれば数反復~十数反復の実験、直交表で言えばL16~L32を計画するのが適当と判断します。

 

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この記事の著者

熊坂 治

ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。

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