【第2章 中国工場の実状を知る】
【日本工場と中国工場の違い】
前回のその29に続いて解説します。
(5)お礼の言葉は一回のみ
中国人の同僚を食事に誘って騎っであげれば、「ご馳走様でした」とお礼を言ってくれます。しかし、その食事に対するお礼は、その一回だけと思ってください。これが日本であれば、次の日に会った際にも「昨日はご馳走様でした」と再度お礼を言いますが、中国人は次の日に会っでも、そのことに関しては何も言いません。これは、ご馳走してもらったことに感謝していないということではないのです。
中国で再度お礼を言うのは、またご馳走してくださいという意味であり、催促していることになります。ですから、次の日に再度お礼を言うことはしないのです。
(6)宴席でのマナー
中国人は知らない人に対しては、とても冷たく、相手にしませんが、少しでも面識を持つと急に親しくなるところがあります。ビジネスでも初めての相手の場合、一緒に食事をしてお酒を飲むことで打ち解けて、その後のビジネスをスムーズに進めようとします。中国では、ビジネスの相手との食事やお酒の席がとても大事な役割を果たしています。日本では取引先とのそうした席は禁止されている会社も多いと思いますが、郷に入れば郷に従えで、中国ではビジネスの一端として活用してもらいたいと思います。
宴席でのマナーを知っておけば、相手に失礼なことをしなくて済みますので、基本的なマナーについて紹介します。
①お酒の飲み方
全員が揃ったら乾杯をして飲み始めます。最近の日本の飲み会では、みんなが揃う前に予行演習と称して飲み始めたりすることも多いですが、中国の宴席では全員が揃うまで、特に相手方の一番偉い天が来るまでは飲むのは止めた方がよいでしょう。乾杯をした後は自由に飲んで構わないのですが、自分だけで飲むのは止めましょう。飲むときは、相手方の天を誘って一緒に飲むようにしてください。名前を言ってグラスを持てば、一緒に飲もうと誘っているとすぐにわかってくれます。順番に決まりはありませんが、相手方の職位の高い人から順番に声を掛けることで問題ありません。
中国で乾杯と言ったらグラスを空にする、つまり飲み干すことです。最初の内は問題なくても杯を重ねてくるときつくなってきますので、そうなったときは、乾杯ではなく一半(イーパン)と言って、指でグラスの真ん中を指しましょう。これは、半分だけ飲みますという意味です。
お酒が好きで強ければ宴席も楽しいものになるでしょうが、お酒を飲めない人はどうしたらよいでしょうか。お酒を飲めなくても心配いりません。飲めない人は、最初から最後までお茶で通してください。それで問題ありません。
②食事のマナー
乾杯した後は、円卓の回転テーブルに食事が次々と出てきます。新しく出された...
次回は、第3章 中国工場の品質管理の進め方、から続けます。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載