「ニゲ」を設けずしてトラブルは減らず メカトロ設計(その4)

更新日

投稿日

生産工学

【連載目次】

 『逃げる』…決していい言葉ではありません。しかし、産業機械の組立や加工には「ニゲ」という設計手法があります。

 機械は、凸凹を使って部品と部品を締結し、組み立てるのが基本です。そこで、設計初心者がハっとさせられるのは「嵌合(かんごう)による干渉」すなわち、同じ凹の穴に同じ凸の軸を挿入できないことです。これは、工作精度によるもので、小さすぎるとうまく入らずに部品を傷つけてしまい、大きすぎると締結したときにガタついて、凸凹が機能しなくなります。しかも、部品の寸法には必ず製作誤差、バラツキがあります。

 部品点数が多くなればなるほど、図面通りに組み立たてができず大騒ぎとなるわけです。これらを解決する手段の一つに「ニゲ」があります。ロボットに搭載される軸受は「ニゲ」を設けないと高精度に仕上げられません。また切削加工では、内角部の「ピン角」という不可能な形状加工があります。勘合部品で、隅アールが許容できない場合はニガシ形状を検討し、設計変更します。

 このように「ニゲ」を利用してトラブルを回避し、すぐれた機能とコストダウンを図るのがプロの設計者です。

 話は変わって「突然、社員が北海道へ逃げた」という相談をきっかけに「プロジェクトリーダーThe虎の巻」という異色本を出版した経緯があります。実際の現場では、逃げたくなるほど辛いことがあっても、うまく逃げられない技術者が実に多いのです。一方で、プロの設計者は必ず何らかの「逃げ方」を知っていて、あちこちで実践しているようです。逃げながら継続的に仕事ができるからプロなのでしょう。技術もしかり、仕事にも逃げ方のスキルは必須です。

 
 
 

【付録】メカトロ設計のなにそれ用語:二次電池

 電池は、使い切りタイプの一次電池と充電して繰り返し使える二次電池(バッテリ)に区分されます。

 バッテリの選定では、電圧(&tim...

生産工学

【連載目次】

 『逃げる』…決していい言葉ではありません。しかし、産業機械の組立や加工には「ニゲ」という設計手法があります。

 機械は、凸凹を使って部品と部品を締結し、組み立てるのが基本です。そこで、設計初心者がハっとさせられるのは「嵌合(かんごう)による干渉」すなわち、同じ凹の穴に同じ凸の軸を挿入できないことです。これは、工作精度によるもので、小さすぎるとうまく入らずに部品を傷つけてしまい、大きすぎると締結したときにガタついて、凸凹が機能しなくなります。しかも、部品の寸法には必ず製作誤差、バラツキがあります。

 部品点数が多くなればなるほど、図面通りに組み立たてができず大騒ぎとなるわけです。これらを解決する手段の一つに「ニゲ」があります。ロボットに搭載される軸受は「ニゲ」を設けないと高精度に仕上げられません。また切削加工では、内角部の「ピン角」という不可能な形状加工があります。勘合部品で、隅アールが許容できない場合はニガシ形状を検討し、設計変更します。

 このように「ニゲ」を利用してトラブルを回避し、すぐれた機能とコストダウンを図るのがプロの設計者です。

 話は変わって「突然、社員が北海道へ逃げた」という相談をきっかけに「プロジェクトリーダーThe虎の巻」という異色本を出版した経緯があります。実際の現場では、逃げたくなるほど辛いことがあっても、うまく逃げられない技術者が実に多いのです。一方で、プロの設計者は必ず何らかの「逃げ方」を知っていて、あちこちで実践しているようです。逃げながら継続的に仕事ができるからプロなのでしょう。技術もしかり、仕事にも逃げ方のスキルは必須です。

 
 
 

【付録】メカトロ設計のなにそれ用語:二次電池

 電池は、使い切りタイプの一次電池と充電して繰り返し使える二次電池(バッテリ)に区分されます。

 バッテリの選定では、電圧(×セル数)、容量、放電能力の3つの特性に注目します。電圧は、駆動源に見合うものを選定します。セルは電池でいう1本(最小単位)を表し、セル数の数で電圧が変わるので注意が必要です。

 容量は、動作のために流す電流と使用時間が決まるので計算が必要です。放電能力は、数値が大きいほど多くの電力を蓄えられ、大きな電流を出力できるので重要です。これを適当にすると、サイズ、重量、コストなどに反映されて損します。目的に合ったものを選定しましょう。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

西田 麻実

ロボット、AI(人工知能)、自動化システムを支えるメカトロニクス (機械+電気+情報)技術の向上とものづくりへの興味関心を育む人財育成をサポートいたします。

ロボット、AI(人工知能)、自動化システムを支えるメカトロニクス (機械+電気+情報)技術の向上とものづくりへの興味関心を育む人財育成をサポートいたします。


「生産工学」の他のキーワード解説記事

もっと見る
剥離革命とは?電気、光、音、熱、見えない力で解き放つ剥離の世界を徹底解説

【目次】 【この記事で分かること】 剥離技術の重要性 剥離の科学、剥離の原理 電解剥離、UV(紫外線)剥離、超音波剥離、熱...

【目次】 【この記事で分かること】 剥離技術の重要性 剥離の科学、剥離の原理 電解剥離、UV(紫外線)剥離、超音波剥離、熱...


不確かさの定義 計測の精度と不確かさとは(その4)

     【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 ...

     【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 ...


計測の精度と不確かさとは(その1)

       設計や生産の現場では、製品の性能試験や計量の目的でさまざまな物理量が計測され、そこで用いられる...

       設計や生産の現場では、製品の性能試験や計量の目的でさまざまな物理量が計測され、そこで用いられる...


「生産工学」の活用事例

もっと見る
金型加工用NCデータ作成における省力化のポイントと実例(その2)

        前回のその1に続いて解説します。   3. 取り組み指針に沿ったCAM機能の選...

        前回のその1に続いて解説します。   3. 取り組み指針に沿ったCAM機能の選...


IEとOTRS

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...


ドリルの適正な加工条件とは

        たいへん便利なCAD/CAMですが、その反面、罠に陥りやすい面もあります。今回は、CAD/C...

        たいへん便利なCAD/CAMですが、その反面、罠に陥りやすい面もあります。今回は、CAD/C...