今回は製品化案を具体的にする際の検証方法を解説します。
1. 製品案の仕様を組み合わせて最適仕様を検証
(1) 技術的に製品化が可能な案の機能や仕様を決めてその組み合わせを作る
前回の生産財の製品企画における顧客要望の検証で、製品案の使用意向が高い事が明確になりました。ここでは、オフィスチェアの事例を考えましょう。
前回の検証では、健康維持の工夫、清潔さ、外観デザイン、省スペース、強度、座面の快適性などの要求品質が重要と検証できたので、具体的なオフィスチェアの仕様を決めるために、次のような仕様を検討しました。
- 経済性 :価格:3万円、3.5万円、4万円
- 信頼性1:脚の強度:4本、5本
- 信頼性2:省スペース:A案、B案、C案
- 快適性1:健康:ふくらはぎサポート、骨盤起こし、背ストレッチ
- 快適性2:座面:左右傾斜、深座り、前座り
- 快適性3:清潔さ:防汚、抗菌、蒸れにくい
- 意匠性 :外観:角形、丸型
- 対応性 :保証期間:1年、3年、5年
(2) 製品案を顧客評価
製品仕様の属性、仕様の具体例を水準といいます。これらを実験計画にのっとって直交表に当てはめ、組み合わせ案を作成します。(1)の例ですとL18直交表に当てはめると適合します。
(3) 仕様に対する効用値を算出、顧客要求仕様を決定
最適水準は、各水準においてプラスの効用を採用すると、全平均から効用値分の効果を上げます。
事例の場合、脚の強度:5本、価格:3万円、省スペース:B案、健康:背ストレッチ、座面:左右傾斜、清潔さ:蒸れにくい、外観:丸型、保証期間:3年です。
この仕様の使用意向は、最適水準効用値:4.1点になります。※表では最適水準効用値4.05とありますが四捨五入表記です。
このため各水準の効用値が高い程、使用意向に影響します。それは、座面:左右傾斜、清潔さ:蒸れにくい、脚の強度:5本などです。
2. 事例の要求品質の検証
これまで事務椅子を考え...