◆ 分析官必読の世界三大古典
今回は「分析官必読の世界三大古典」についてお話しします。2500年経っても本質は変わらないはずです。以前データ分析の定義をやや広げ情報分析とした場合、その歴史は古く紀元前からあるとお話しました。データ分析、情報分析する上で非常に重要な古典です。
もちろん、コンピューターなど無い時代ですから小難しい数学が登場することも具体的な分析手法の説明があるわけでもありません。しかし、いまだに読み継がれているには、情報分析の本質があるに違いありません。
1. 分析官必読の世界三大古典
情報分析の本質をとらえた分析官が読むべき古典は、次の3冊です。
- 孫武『孫子』
- クラウゼビッツ『戦争論』
- 宮本武蔵『五輪の書』
書籍ですので、人によって読み方や感じ方、実社会で生かす方法は異なりますが、データ分析・情報分析の世界では生かせる内容ばかりです。
2. 孫武『孫子』
孫武は、紀元前の古代中国(春秋時代)の武将で軍事思想家で孫子と呼ばれました。兵法書「孫子」の著者といわれています。
有名な言葉として、次のようなことなどがありますが、私なりの解釈でデータ分析・活用に当てはめるとデータを含めた情報を上手く活用することで「過去の振り返り」と「現状の把握」「未来を先読み」することで、過去の失敗を二度と繰り返さず、勝つためのベクトル(方向性とリソース投入量など)を決め、データ分析活用を実践することとなります。
- 彼を知り己らば、百戦殆うからず
- 天を知り地れば、勝は乃ち全うす
- 先に戦地に処りて敵を待つ者は佚し
- 後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す
3. クラウゼビッツ『戦争論』
データ分析をしていて、次のような体験をしたことはないでしょうか。
- 分析結果同士が矛盾している
- 分析結果が現実に起こっていることと整合しない
- 集めたデータに違和感がある
クラウゼヴィッツは『戦略論』の中で、情報の危うさを指摘しています。情報のほとんどは霧の中に包まれ分からず、またそのいくつかは間違っており、そして矛盾もある。したがって、人が正しい判断ができるように精神の均衡を保つ必要があるわけです。
つまり、データ分析・活用も結局は人なのです。コンピューターでもAI(人工知能)でもなく、キーになるのは人です。ちなみに、クラウゼヴィッツは、ナポレオン戦争時のプロイセンの軍人で、少将にまでなりました。単なる軍人ではなく、軍事学者(陸軍大学校校長も歴任)です。彼の死後1832年に『戦争論』が発表されました。
4. 宮本武蔵『五輪の書』
宮本武蔵は、戦国から江戸時代初期の剣術家で芸術家でもあります。二刀を用いる二天一流兵法の開祖とされ、13歳で初めて新当流の有馬喜兵衛と決闘した結果勝利し、以来29歳までに60余回の勝負を行い、すべてに勝利したといわれています。彼は次のようなこと...
を言っています。
- 物事の景気と云事は我が智力強ければ必ず見ゆる所なり
- 物毎につき拍子は有ものなれども取分け兵法の拍子鍛錬なくては及びがたき所なり
先ほど、データ分析・活用も結局は人だと言いました。では、特別な人が必要なのでしょうか。
宮本武蔵が「智力強ければ必ず見ゆる」と言っている通り、どうにかなるものだと思います。ですが「鍛錬なくては及びがたき」と言うように、常日頃からのトレーニングが必要でしょう。データ分析・活用は人がキーとなりますがその人は決して特別な人ではありません。それなりの人がトレーニングを積めば何とかなる、そういうことだと思います。いかがでしょうか。