情報分析官必読の三大古典とは データ分析講座(その98)

更新日

投稿日

情報分析

◆ 分析官必読の世界三大古典

 今回は「分析官必読の世界三大古典」についてお話しします。2500年経っても本質は変わらないはずです。以前データ分析の定義をやや広げ情報分析とした場合、その歴史は古く紀元前からあるとお話しました。データ分析、情報分析する上で非常に重要な古典です。

 もちろん、コンピューターなど無い時代ですから小難しい数学が登場することも具体的な分析手法の説明があるわけでもありません。しかし、いまだに読み継がれているには、情報分析の本質があるに違いありません。

1. 分析官必読の世界三大古典 

 情報分析の本質をとらえた分析官が読むべき古典は、次の3冊です。

  • 孫武『孫子』
  • クラウゼビッツ『戦争論』
  • 宮本武蔵『五輪の書』

 書籍ですので、人によって読み方や感じ方、実社会で生かす方法は異なりますが、データ分析・情報分析の世界では生かせる内容ばかりです。

2. 孫武『孫子』

 孫武は、紀元前の古代中国(春秋時代)の武将で軍事思想家で孫子と呼ばれました。兵法書「孫子」の著者といわれています。

 有名な言葉として、次のようなことなどがありますが、私なりの解釈でデータ分析・活用に当てはめるとデータを含めた情報を上手く活用することで「過去の振り返り」と「現状の把握」「未来を先読み」することで、過去の失敗を二度と繰り返さず、勝つためのベクトル(方向性とリソース投入量など)を決め、データ分析活用を実践することとなります。

  • 彼を知り己らば、百戦殆うからず
  • 天を知り地れば、勝は乃ち全うす
  • 先に戦地に処りて敵を待つ者は佚し
  • 後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す 

3. クラウゼビッツ『戦争論』

 データ分析をしていて、次のような体験をしたことはないでしょうか。

  • 分析結果同士が矛盾している
  • 分析結果が現実に起こっていることと整合しない
  • 集めたデータに違和感がある

 クラウゼヴィッツは『戦略論』の中で、情報の危うさを指摘しています。情報のほとんどは霧の中に包まれ分からず、またそのいくつかは間違っており、そして矛盾もある。したがって、人が正しい判断ができるように精神の均衡を保つ必要があるわけです。

 つまり、データ分析・活用も結局は人なのです。コンピューターでもAI(人工知能)でもなく、キーになるのは人です。ちなみに、クラウゼヴィッツは、ナポレオン戦争時のプロイセンの軍人で、少将にまでなりました。単なる軍人ではなく、軍事学者(陸軍大学校校長も歴任)です。彼の死後1832年に『戦争論』が発表されました。

4. 宮本武蔵『五輪の書』

 宮本武蔵は、戦国から江戸時代初期の剣術家で芸術家でもあります。二刀を用いる二天一流兵法の開祖とされ、13歳で初めて新当流の有馬喜兵衛と決闘した結果勝利し、以来29歳までに60余回の勝負を行い、すべてに勝利したといわれています。彼は次のようなこと...

情報分析

◆ 分析官必読の世界三大古典

 今回は「分析官必読の世界三大古典」についてお話しします。2500年経っても本質は変わらないはずです。以前データ分析の定義をやや広げ情報分析とした場合、その歴史は古く紀元前からあるとお話しました。データ分析、情報分析する上で非常に重要な古典です。

 もちろん、コンピューターなど無い時代ですから小難しい数学が登場することも具体的な分析手法の説明があるわけでもありません。しかし、いまだに読み継がれているには、情報分析の本質があるに違いありません。

1. 分析官必読の世界三大古典 

 情報分析の本質をとらえた分析官が読むべき古典は、次の3冊です。

  • 孫武『孫子』
  • クラウゼビッツ『戦争論』
  • 宮本武蔵『五輪の書』

 書籍ですので、人によって読み方や感じ方、実社会で生かす方法は異なりますが、データ分析・情報分析の世界では生かせる内容ばかりです。

2. 孫武『孫子』

 孫武は、紀元前の古代中国(春秋時代)の武将で軍事思想家で孫子と呼ばれました。兵法書「孫子」の著者といわれています。

 有名な言葉として、次のようなことなどがありますが、私なりの解釈でデータ分析・活用に当てはめるとデータを含めた情報を上手く活用することで「過去の振り返り」と「現状の把握」「未来を先読み」することで、過去の失敗を二度と繰り返さず、勝つためのベクトル(方向性とリソース投入量など)を決め、データ分析活用を実践することとなります。

  • 彼を知り己らば、百戦殆うからず
  • 天を知り地れば、勝は乃ち全うす
  • 先に戦地に処りて敵を待つ者は佚し
  • 後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す 

3. クラウゼビッツ『戦争論』

 データ分析をしていて、次のような体験をしたことはないでしょうか。

  • 分析結果同士が矛盾している
  • 分析結果が現実に起こっていることと整合しない
  • 集めたデータに違和感がある

 クラウゼヴィッツは『戦略論』の中で、情報の危うさを指摘しています。情報のほとんどは霧の中に包まれ分からず、またそのいくつかは間違っており、そして矛盾もある。したがって、人が正しい判断ができるように精神の均衡を保つ必要があるわけです。

 つまり、データ分析・活用も結局は人なのです。コンピューターでもAI(人工知能)でもなく、キーになるのは人です。ちなみに、クラウゼヴィッツは、ナポレオン戦争時のプロイセンの軍人で、少将にまでなりました。単なる軍人ではなく、軍事学者(陸軍大学校校長も歴任)です。彼の死後1832年に『戦争論』が発表されました。

4. 宮本武蔵『五輪の書』

 宮本武蔵は、戦国から江戸時代初期の剣術家で芸術家でもあります。二刀を用いる二天一流兵法の開祖とされ、13歳で初めて新当流の有馬喜兵衛と決闘した結果勝利し、以来29歳までに60余回の勝負を行い、すべてに勝利したといわれています。彼は次のようなことを言っています。

  • 物事の景気と云事は我が智力強ければ必ず見ゆる所なり
  • 物毎につき拍子は有ものなれども取分け兵法の拍子鍛錬なくては及びがたき所なり

 先ほど、データ分析・活用も結局は人だと言いました。では、特別な人が必要なのでしょうか。

 宮本武蔵が「智力強ければ必ず見ゆる」と言っている通り、どうにかなるものだと思います。ですが「鍛錬なくては及びがたき」と言うように、常日頃からのトレーニングが必要でしょう。データ分析・活用は人がキーとなりますがその人は決して特別な人ではありません。それなりの人がトレーニングを積めば何とかなる、そういうことだと思います。いかがでしょうか。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
企業間取引のデジタル化:中小企業共通EDIとは

 働き方改革・生産性向上が叫ばれながら、一向にその打開策は見出されず中小企業の管理職からは「結局、俺たちがさらなる疲弊した日常を強いられる」とのボヤキ...

 働き方改革・生産性向上が叫ばれながら、一向にその打開策は見出されず中小企業の管理職からは「結局、俺たちがさらなる疲弊した日常を強いられる」とのボヤキ...


中小製造業向けの現場作業DX化戦略、IoT、RPAの導入

  【目次】 1. IoT(InternetofThings)の活用 1.1 スマートセンサーの導入 スマートセンサ...

  【目次】 1. IoT(InternetofThings)の活用 1.1 スマートセンサーの導入 スマートセンサ...


データで表層課題を見える化する:データ分析講座(その338)

【目次】 仕事で難題に直面したとき、何かしら課題解決フレームワークを知っていると便利です。何をすべきか分からない状態から、少し解放さ...

【目次】 仕事で難題に直面したとき、何かしら課題解決フレームワークを知っていると便利です。何をすべきか分からない状態から、少し解放さ...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
ソーシャルメディアデータの解析事例:異分野研究から得られる共通した目的とは

 2020年、コロナウィルス感染の問題が大きくなり始めた頃、少人数の開催ということで、ソーシャルメディアデータ解析を専門にされている先生の講演会を聞く...

 2020年、コロナウィルス感染の問題が大きくなり始めた頃、少人数の開催ということで、ソーシャルメディアデータ解析を専門にされている先生の講演会を聞く...


中小製造業とIoTの波

 「IoT(アイオーティー)」の波が、中小製造業にどのような影響をおよぼすのか、具体的にどのような変化がこの業界に訪れるのかについて、解説します。   ...

 「IoT(アイオーティー)」の波が、中小製造業にどのような影響をおよぼすのか、具体的にどのような変化がこの業界に訪れるのかについて、解説します。   ...


‐販路開拓に関する問題事例‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その19)

 前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...

 前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...