【目次】
1. 価値を生み出す新製品開発
1. 価値を生み出す新製品開発
新製品開発とは、どういったプロセスなのでしょうか?
「知識や情報をお客様の価値に変換するプロセス」、Ronald Mascitelli (ロナルド・マシテッリ・2011年) と定義することができるでしょう。新製品開発の活動とは「価値を付加すること」です。そして、新製品のデザインや成果物が、製品の利幅やマーケットシェアの向上に寄与するのです。開発者が、こうした「価値を付加すること」のために集中できるような環境を整えなくてはなりません。
2. 開発者の1日
そうはいっても、現実は異なります。
あるWebシステム開発者の典型的な1日です。10時間の作業時間のうち、価値のある時間はなんと、1.75時間だけです。あなたの1日と比べてみてください。
注)ノード (Node、節-ふし) とは、HTMLの中にあるものすべてを、ノードという単位で区切ったインターフェースのことをいいます。
3. 開発作業時間を3つのカテゴリーに分類
新製品開発の活動を、次の3つのカテゴリーに分けて考えることができます。
- 価 値 - 価値を付加する活動。新製品のデザインや成果物を生み出すためのもの
- イネーブラー - 直接には付加価値を生まない活動。しかし開発プロセスに必須となるサポートを提供し、それに費やした時間を回収できるもの
- ム ダ - 上記以外のもの
ロナルド・マシテッリが、複数業界の10社に在職する開発者の作業を3つのカテゴリーに分類して、その時間を調査しました。開発者の通常作業日(夜間や週末などを除く)では、価値創造に費やす時間は全体の約20%で、イネーブラーとムダが各々約40%であるということが分かりました。
リーンマニュファクチャリングでは、このイネーブラーを「タイプ1のムダ」といい、必要悪と考えます。そして最小化するか、できれば取り除こうと考えます。
しかし新製品開発では、状況は異なります。新製品のデザインや成果物を生み出すには、不確実性や、複雑性、そしてリスクを伴います。そのために、イネーブラーは、新製品開発の活動のなかで中心的な役割を果たすのです。
下図のようにリーンの手法を適用すると、イネーブラーを効果的に活用し、ムダな時間を削減し、価値ある時間に割り当てることができるようになります。
...たとえば開発キャパシティをうまく管理すれば、開発チームの生産性を劇的に改善することができます。またプロジェクトリスクを見つけ出し、問題となる前に軽減する活動は、素晴らしいイネーブラーの例です。こうした素晴らしいイネーブラーを活用することにより、ムダを削減するとともに、その他のイネーブラーの中に潜んでいるムダも減らすことができるのです。その一端を、この連載で解説していきます。
【出典】ピディアック株式会社 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載