リーン製品開発の基本原則(その2)

投稿日

技術マネジメント

 

 前回の「リーン製品開発の基本原則(その1)」に続けて解説します。

3. リーン製品開発の基本原則3

【コミュニケーションの見える化】

 リーン製品開発では「見える化」の手法としてビジュアルボードを用いますが、次のようなメリットがあります。

  • パッと見て分かる
  • あいまいさを取り除くことができる
  • 例外にフォーカスできる
  • 責任感が出てくる
  • 共通の言葉を使えるようになる

 

 口頭でのコミュニケーションは、感情を伝える上では有効なのですが、どうしてもあいまいさが残ります。マネージャーのあなたは「この仕事、君に任せた」と、指示していませんか? 翌日になると「できた?」とフォローしていませんか?

 担当者は「今日まででしたっけ?」という言葉を飲み込んで「がんばっています」と答えることでしょう。

 付箋(ふせん)に「誰が、いつまでに、何をするのか」ということを「書く」ことで、あいまいさを取り除くことができるのです。それでは「ところで・どうして」コミュニケーションが必要なのでしょうか?

 それは、理解するためでなく「誤解をしない」ようにするためなのです。

 

4. リーン製品開発の基本原則4

【ナレッジベースの開発】

 基本原則その4は「ナレッジベースの開発」です。ナレッジ(Knowledge)とは知識のことです。

 リーン製品開発のツールやイベントには、次のようなものがあります。

  • パフォーマンスのトレードオフ
  • コスト低減
  • リスク低減戦略
  • マーケットニーズ
  • 品質改善
  • 技術的な問題の解
  • プロセス改善

 

 その特徴の一つは、自ずと文書化されるようになっていることです。ミーティングでは、決定事項を記録するための書記も必要ありません。主催者がそうした記録を、ミーティング終了後に審査・承認する時間も必要ありません。ミーティングの参加者が、自分のコミットを書いて、それをチームで確認するのです。ミーティングが終われば、すぐさま記録として残すことができるので、ムダもありません。

 もう一つの特徴は「組織として」学習するようにデザインされていることです。例えばリスクを特定すること、その軽減策を検討し、実行することは組織という集団としての責任です。リスクを特定した...

技術マネジメント

 

 前回の「リーン製品開発の基本原則(その1)」に続けて解説します。

3. リーン製品開発の基本原則3

【コミュニケーションの見える化】

 リーン製品開発では「見える化」の手法としてビジュアルボードを用いますが、次のようなメリットがあります。

  • パッと見て分かる
  • あいまいさを取り除くことができる
  • 例外にフォーカスできる
  • 責任感が出てくる
  • 共通の言葉を使えるようになる

 

 口頭でのコミュニケーションは、感情を伝える上では有効なのですが、どうしてもあいまいさが残ります。マネージャーのあなたは「この仕事、君に任せた」と、指示していませんか? 翌日になると「できた?」とフォローしていませんか?

 担当者は「今日まででしたっけ?」という言葉を飲み込んで「がんばっています」と答えることでしょう。

 付箋(ふせん)に「誰が、いつまでに、何をするのか」ということを「書く」ことで、あいまいさを取り除くことができるのです。それでは「ところで・どうして」コミュニケーションが必要なのでしょうか?

 それは、理解するためでなく「誤解をしない」ようにするためなのです。

 

4. リーン製品開発の基本原則4

【ナレッジベースの開発】

 基本原則その4は「ナレッジベースの開発」です。ナレッジ(Knowledge)とは知識のことです。

 リーン製品開発のツールやイベントには、次のようなものがあります。

  • パフォーマンスのトレードオフ
  • コスト低減
  • リスク低減戦略
  • マーケットニーズ
  • 品質改善
  • 技術的な問題の解
  • プロセス改善

 

 その特徴の一つは、自ずと文書化されるようになっていることです。ミーティングでは、決定事項を記録するための書記も必要ありません。主催者がそうした記録を、ミーティング終了後に審査・承認する時間も必要ありません。ミーティングの参加者が、自分のコミットを書いて、それをチームで確認するのです。ミーティングが終われば、すぐさま記録として残すことができるので、ムダもありません。

 もう一つの特徴は「組織として」学習するようにデザインされていることです。例えばリスクを特定すること、その軽減策を検討し、実行することは組織という集団としての責任です。リスクを特定した人と、その軽減策を検討する人、実行する人はそれぞれ異なることもあります。専門的な知識を持った人が集まって個々の責任を果たし、組織として成果を上げるのです。そのようなコラボレーションができる「場」を、リーン製品開発は提供します。

 次回に続きます。

 

 【出典】ピディアック株式会社 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
 【用語解説】リーン開発:製造業を中心に行われているリーン生産方式の考え方(リーン思考)を、ソフトウェア開発に応用した手法。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

西村 裕司

開発チームトレーナー。リーン製品開発、アジャイル・スクラムの手法をトレーニングすると、新製品開発の納期を守ることができるようになる。20人の開発プロジェクトで、年間1億円の利益創出の機会を提供する。

開発チームトレーナー。リーン製品開発、アジャイル・スクラムの手法をトレーニングすると、新製品開発の納期を守ることができるようになる。20人の開発プロジェク...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
関係性の種類、協調とは 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その98)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回は「対立」について考えました。「対立」があればその...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。前回は「対立」について考えました。「対立」があればその...


製品設計における納入仕様書の役割(その1)

1.製品の納入側から受入側へ提出する「文書」とは  製品設計では、顧客や協力会社、自社内の部署間において、様々な「文書」を取り交わす必要があります。...

1.製品の納入側から受入側へ提出する「文書」とは  製品設計では、顧客や協力会社、自社内の部署間において、様々な「文書」を取り交わす必要があります。...


知識は経験から生み出される 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その51)

        今回からイノベーションに必要な要素を表したKETICモデルの2つ目、Experience(経...

        今回からイノベーションに必要な要素を表したKETICモデルの2つ目、Experience(経...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
生産を見越した試作の方法とは

        今回は、次のような事例により、生産を見越した試作の方法を解説します。   1. 事例: 試作のタイミングで、注意をすべきこと ...

        今回は、次のような事例により、生産を見越した試作の方法を解説します。   1. 事例: 試作のタイミングで、注意をすべきこと ...


テンプレート方式・データベース方式の図面管理とは

     今回は、金型メーカー・機械装置製造メーカーなど、社内で継続的に図面を更新していく場合の管理方法について解説します...

     今回は、金型メーカー・機械装置製造メーカーなど、社内で継続的に図面を更新していく場合の管理方法について解説します...


富士フィルムにおけるコア技術の活用戦略

 本業であるフィルム事業がなくなることを経験した、富士フィルムの技術の棚卸活動は注目に値します。アスタリフトや液晶用フィルムは、フィルム事業で培ったコア技...

 本業であるフィルム事業がなくなることを経験した、富士フィルムの技術の棚卸活動は注目に値します。アスタリフトや液晶用フィルムは、フィルム事業で培ったコア技...