IIoT(Industrial Internet of Things)は、製造業をはじめとしてさまざまな産業分野におけるIoTの活用を指します。IIOTは、製造業におけるスマートファクトリーやファクトリーオートメーションが代表的な例で、設備機械にセンサーを設置し遠隔で稼働状況を確認するといった活用をしています。一方で、メリットのある利益確保のビジネスプランを描くことが難しい実情もあるようです。
確かにIIoTによって今後製造業は変わっていくでしょう。そこでの疑問、不安は、これまで現場を改善してきたリーンやシックスシグマといった手法、そしてそれを担当してきた我々エンジニアは、IIoTに今後いったいどのように対応すべきなのでしょうか。
IIoTの次の段階では、IIoT 機器と機械学習を使って機械の故障やプロセスの異常を検出するようになります。しかし機械やプロセスがどのような状態になれば故障や異常と言えるのか、その状態を検出するためにはどのようなデータが必要で、どのように分析をしなければならないのか、といった専門的な知識と経験が必要です。
このような背景を踏まえて、今回はIIoTの概要を解説します。
◆関連解説記事『スマートファクトリとリーンシックスシグマ (その1)導入の 4 段階』
1. IIoT(インダストリアルIoT)とは
モノ・コトをネットワークで監視して、データ収集・分析や自動操作によって新たな価値を創出するコンセプトがIoTです。製品、センサー、設備がネットワークでつながっていることが前提となりますが、産業分野向けのIoTであるIIoTは、物流、石油、ガス、製造業、輸送などの業界で活用されています。
IIoTでは、企業はサービスにビジネスモデルを転換して、付加価値のあるサービスを提供するようになります。IIoTにより産業用機械・製品を作る企業は、製品を売る企業からサービスベースの企業へとシフトします。
付加価値のあるサービスとは、単体製品に対して、それに遠隔サポートによる修理サービスを加え、監視するといった付加価値サービスを加えます。究極的には、自社製品と外部のスマートデバイスが連携することで、IoTプラットフォームとしてサービスを提供することが可能となるでしょう。
2. IIoTとIoTとの違い
製品単体でより消費者に近付くということがIoTの重要なポイントです。消費者からもフィードバックをもらうことで、企業は収益を上げることができるのです。顧客エンゲージメントの向上と収益拡大が、IoTで何かを行う際の基準になります。一方、産業分野向けのIoTであるIIoTは、物流、石油、ガス、製造業、輸送などの業界で活用されています。
IIoTの成功事例としては、大企業が IIoT と AI で自動制御を実現したというようなことがあります。しかしそれは技術力も資源も十分ではない大多数の一般的な企業はいったいどうすればよいのでしょうか。
IIoTは一足飛びにそれを最大限利用したIIoTのインダストリー4.0・スマートファクトリになるのではなく、現実的には時間をかけながら、セキュリテイ対策と並行して、次の段階を経て、順次IIoTを構築していくのではないでしょうか。それは、可視(現場を見える化する)、診断(故障・異常の検出や、センサーの診断などを行う)、予測(故障・異常を予測する)、対策(故障・異常を避けるための対策を示唆する)の各段階です。
3. IIoTとサプライチェーンマネジメントの関係とは
デジタルサプライチェーンでの物流連携が進むと見込まれます。サプライチェーンでは、電子メール・FAX・個別の電子作業指示書によって情報共有がなされていますが、これらをデジタル化、連携することでサプライチェーン変革をできれば、経営上の迅速な意思決定が可能です。
物流の主要システム(サプライチェーン監視システム、情報セキュリティ、車両・輸送追跡システム、通信システム)をデジタル化することで、サプライチェーンの自律的意思決定が実現されます。
4. IIoTの課題
現実世界とデジタル世界の両輪=デジタルツインは、IIoTによってビジネスモデル・製造プロセスの革新を進めます...
例えば、半自律型のロボットやエージェントによって支援された人間が、仮想世界で製品を作成した後、そのデータが従来の自動生産設備を備えた工場に転送されて、物理モデルが生成されます。そして実世界では生産工程が実行され、同じことが仮想世界でシミュレートされ、実世界と比較することにより、品質と予測的設備保全を継続的に向上させるのです。IIoTはそんな時代を牽引するでしょう。