この解説は電子回路・電子部品を扱う新人技術者向けの入門講座です。理論・製造工程の説明は最小限にとどめ、半導体を理解するために必要な知識紹介して解説します。
日本の半導体は大きくシェアを落としたと言われていますが、これは半導体集積回路のことです。半導体材料(シリコンウエハー等)では日本のシェアをまだまだ高いものもあります。半導体と言った場合、物質としての半導体、半導体の性質を利用した電子デバイス、半導体集積回路(IC)の意味で用いられます。
先端技術を用いる多くの領域で、半導体が競争力を生み出し価値を創出するので半導体がグローバル企業の命運を懸ける対象となるのです。半導体・マイクロプロセッサを満足に活用できなければ、企業の生き残りにも関わります。その本質は、規模を問わず少量生産の組込機器に向けて開発される製品においても変わりはありません。
1.半導体とは
半導体デバイスはシリコンウエハ上に数百工程からなる「前工程=ウェーハ工程」によりデバイス構造を作りこみ、その後チップに切り分けてパッケージに組み立てる「後工程=組み立て工程」により製品となります。
半導体とは、外形が小型で体積・面積あたりの実装効率がよく、多くの回路・機能を内蔵して、大量のデータを短時間で高精度に処理できます。これらを満たしながら相対的に消費電力と発熱が小さく、独自の処理方式を実現できる仕組みが内蔵されています。
これらの全てを満すのは困難です。しかしこのいくつかを満足するものが半導体です。半導体を活用することでライバルに先駆けて新機能や性能改善で製品価値を増すことも、部品コスト削減や小型化により製品コストを抑えることも可能となります。
2.半導体開発の歴史
・トランジスターの誕生と開発(~1950年代)
1947年に米国ベル研究所で点接触型トランジスター、1948年には接合型トランジスターが発明されたことで、トランジスター時代が到来しました。これにより画期的なトランジスター式計算機の登場で、トランジスター式計算機は成長を遂げていきます。
・IC時代の幕開け(~1970年代)
1959年、米国テキサス・インスツルメンツ社はトランジスターやコンデンサなどをひとつにまとめたバイポーラ集積回路の発明にしました。軽量化・小型でき各種の電気製品で使われIC時代が始まりました。
・集積回路の規模拡大と多機能化(1980年代~)
集積度は進み、大規模集積回路へ飛躍を遂げ、さらにVLSI、ULSIへと技術革新が進みました。2000年代に入ると、システムLSIの生産が本格化していきました。
3.半導体デバイスの種類
【構成元素による区別】
構成される元素によって半導体は元素半導体・化合物半導体・混晶半導体の3種類に分けることができます。元素半導体は、シリコン、ゲルマニウム、炭素などのⅣ族である一つの元素だけで構成された半導体のことです.化合物半導体は2種類の元素から構成される半導体です.よく使われる化合物半導体にGaAs や、InP などがあり、シリコンではできない発光ダイオードや移動度の高いトランジスターなどに利用されます.混晶半導体は化合物半導体を組み合わせることで3種類以上の元素から構成される半導体です.
【結晶の種類・結晶構造による区別】
半導体は単結晶・多結晶・アモルファスの3種類に分類できます。また単結晶や多結晶は構成される結晶構造も様々あります。
4.半導体活用の課題
半導体活用の課題です。カスタム半導体を開発することで自分専用半導体として活用します。オーダメイドです。レディメイドの汎用半導体に比べ、費用がかかりますが、専用の強...