今回も前回と同様「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて解説します。
◆前回の提示内容:「小イノベーションを起こすには前提を常に問い直せ」
前回は小イノベーションを起こすために、その前提を常に問い直す必要性を説明し、以下の4つの点を常に思考する重要性を提示しました。
- 今考えている前提は正しいか?(前回の「 正しい前提は何かを問う」から変更)
- その前提の変化の可能性を考える
- その他の前提を考える
- それら前提の軽重を評価する
●「1. 今考えている前提は正しいか?」
今考えている前提が間違っている場合として、以下の3つがあるように思えます。一つ一つ解説します。
〇1.今考えている前提は正しいかA:今考えている前提は特異点
〇1.今考えている前提は正しいかB:今考えている前提は誤り
-1.今考えている前提は正しいかB1:「自分」の誤った思考や経験に基づく
-1.今考えている前提は正しいかB2:「他人」の誤った思考や経験を墨守
〇1.今考えている前提は正しいかC:今考えている前提は余分な誤った前提を含んでいる
〇1A:今考えている前提は特異点
日々の活動の中、もしくは主体的な観察の中である興味深い発見をした場合、それは特異な例であるということ、もしくは全体の前提の一部のみが表出しているだけということは現実は起こります。しかし、次の点から実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。
- それが自身にとって興味深かったり関心があること
- 自分自身の過去の経験や思いと整合性があること
- 目の前に現実のものとして存在すること
- 全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること
- そう考えることに自分にとってのメリットがあること
実際以上に過度に強力な前提条件となるということがありえます。特にこれらの要素が複数組み合わさることで、その確信度は多いに高まります。
まさに今起こっているロシアのウクライナの侵攻に関して、ロシアの国民の間ではプーチンの指示が高まっているというのは、このような前提があるからと思います。当然ロシアの国民がウクライナというロシア系住民が一部居住する国で迫害された自国民を助けるということには多いに関心があります(「それが自身にとって興味深かったり関心があること」)。
また第二次世界大戦を初め、ロシアの他国に侵略された歴史からロシア系住民の迫害はロシア人の彼らの経験や思いとは強い整合性があります(「自分自身の過去の経験や思いと整合性があること」)。
また国営放送などでロシア系住民を助けている映像が放映されていること(「目の前に現実のものとして存在すること」)。
ロシア系住民の迫害は、その程度や範囲はどうあれ、現実に起こってきたこと(「全くの誤りではなく、一部の真実が含まれていること」)。
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同じ人種であるロシア系住民の迫害を止める活動が行われていること(「そう考えることに自分にとってのメリットがあること」)。
まさにこれら要素が組み合わさることで、ロシアの国民の間では、西側の人間には真っ赤な嘘で卑劣なこと思えるようなことに対しても、支持をするということが起こるのではないかと思います。プーチンはもとスパイとしてまさに、このような人間の心理のことを知り尽くして、巧妙なプロパガンダを繰り返していると言えます。
次回に続きます。