QFDの作成手順 前半 QFD(品質機能展開)の勘どころ (その2)

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QFDの作成手順のフロー

 前回は、QFD(品質機能展開)の勘どころ (その1 QFDとは)を解説しました。今回は、その2です。教科書通りにQFDを作成しなければいけないかといえば、そうではないはずです。現場で使えるようにするには、作成手順を簡潔に視覚的に整理することが重要だと考えます。ここでは、これだけは押さえて欲しい内容にポイントを絞って流れを説明していきます。

 QFDの作成手順を大きく括ると、図1のように8つのステップに整理できます。では、順を追って説明しますので、現場の課題に当てはめて実行してみてください。


 QFDの作成手順フロー

図1 QFDの作成手順フロー

  

【ステップ1】 お客様ニーズの把握

 お客様の声を収集する基本的方法は、図2のように、マーケティングリサーチのプロセスと方法のようになります。具体的にお客様ニーズを探る方法は、お客様が使用している現場での面接調査、アンケート調査、顧客行動調査、 意見カードの活用、社内情報の活用、業界ニュースなどさまざまです。そこで収集されたデータが、原始データなります。

 お客様の声を要求項目へ変換しやすくするためには、アンケートの質問にも工夫が必要です。アンケートの作成ポイントを列記しておきます。

 

<アンケートの作成ポイント>

① お客様の活用シーンを抽出しやすい表現とする

Who(誰が)、Where(どの場所で)、When(どんな時に)、How(どのように)を盛り込み連想しやすい表現にします。

② お客様の不満(クレーム)をできるだけ抽出する

現在困っていること、不満なこと(クレーム)をできるだけ抽出します。

③ お客様が考えやすいように拡大質問を使う

質問の段階で、発想を止める限定的な質問はできるだけ避けます。お客様が自由な発想で、「こんなものが欲しい」「こうしたい」ということを導く質問のことを拡大質問といいます。その拡大質問うまく活用してお客様の潜在ニーズを誘引します。

 マーケティングリサーチのプロセスと方法

図2 マーケティングリサーチのプロセスと方法

 

【ステップ2】 原始データの要求項目への言い換え

 原始データを要求項目に変換する場合、お客様のデータから抽出された実際のシーンだけでなく、技術開発担当者しか思いつかないような、痒いところにも手が届くようなシーンも要求項目として抽出します。要求項目のレベルでは、あまり表現にはこだわらず、抽象的でも、否定的な表現でもかまいません。慣れてくると、このステップは、頭の中で作業するケースも多く、原始データからいきなり要求品質の表現でまとめられることになると思います。

 

 

【ステップ3】 要求項目から要求品質への言い換え

 要求項目から要求品質へ言い換える場合は、図3のように一旦、要求項目の機能(~を~する)を考えてみることが有効です。

 要求項目から要求品質へ言い換える場合に、注意しなければいけない項目を次に列挙しておきます。

 

<要求品質に言い換える場合の留意事項>

① 品質を意識して表現する

 「~を~する」の機能表現に修飾語を加えた品質表現の方が工学的尺度に変換しやすくなります。

② なるべく具体的表現を使う

 「画面がけばけばしい」ではなく、「画面情報を簡単に理解できる」...

QFDの作成手順のフロー

 前回は、QFD(品質機能展開)の勘どころ (その1 QFDとは)を解説しました。今回は、その2です。教科書通りにQFDを作成しなければいけないかといえば、そうではないはずです。現場で使えるようにするには、作成手順を簡潔に視覚的に整理することが重要だと考えます。ここでは、これだけは押さえて欲しい内容にポイントを絞って流れを説明していきます。

 QFDの作成手順を大きく括ると、図1のように8つのステップに整理できます。では、順を追って説明しますので、現場の課題に当てはめて実行してみてください。


 QFDの作成手順フロー

図1 QFDの作成手順フロー

  

【ステップ1】 お客様ニーズの把握

 お客様の声を収集する基本的方法は、図2のように、マーケティングリサーチのプロセスと方法のようになります。具体的にお客様ニーズを探る方法は、お客様が使用している現場での面接調査、アンケート調査、顧客行動調査、 意見カードの活用、社内情報の活用、業界ニュースなどさまざまです。そこで収集されたデータが、原始データなります。

 お客様の声を要求項目へ変換しやすくするためには、アンケートの質問にも工夫が必要です。アンケートの作成ポイントを列記しておきます。

 

<アンケートの作成ポイント>

① お客様の活用シーンを抽出しやすい表現とする

Who(誰が)、Where(どの場所で)、When(どんな時に)、How(どのように)を盛り込み連想しやすい表現にします。

② お客様の不満(クレーム)をできるだけ抽出する

現在困っていること、不満なこと(クレーム)をできるだけ抽出します。

③ お客様が考えやすいように拡大質問を使う

質問の段階で、発想を止める限定的な質問はできるだけ避けます。お客様が自由な発想で、「こんなものが欲しい」「こうしたい」ということを導く質問のことを拡大質問といいます。その拡大質問うまく活用してお客様の潜在ニーズを誘引します。

 マーケティングリサーチのプロセスと方法

図2 マーケティングリサーチのプロセスと方法

 

【ステップ2】 原始データの要求項目への言い換え

 原始データを要求項目に変換する場合、お客様のデータから抽出された実際のシーンだけでなく、技術開発担当者しか思いつかないような、痒いところにも手が届くようなシーンも要求項目として抽出します。要求項目のレベルでは、あまり表現にはこだわらず、抽象的でも、否定的な表現でもかまいません。慣れてくると、このステップは、頭の中で作業するケースも多く、原始データからいきなり要求品質の表現でまとめられることになると思います。

 

 

【ステップ3】 要求項目から要求品質への言い換え

 要求項目から要求品質へ言い換える場合は、図3のように一旦、要求項目の機能(~を~する)を考えてみることが有効です。

 要求項目から要求品質へ言い換える場合に、注意しなければいけない項目を次に列挙しておきます。

 

<要求品質に言い換える場合の留意事項>

① 品質を意識して表現する

 「~を~する」の機能表現に修飾語を加えた品質表現の方が工学的尺度に変換しやすくなります。

② なるべく具体的表現を使う

 「画面がけばけばしい」ではなく、「画面情報を簡単に理解できる」のように記述します。

③ 要素が2つあるものは分ける

 「長時間使用でき、充電時間も長い」ではなく、「長時間動作する」「短時間に充電する」のように記述します。

④「・・・性」などの品質特性は避ける

 「耐水性がある」ではなく、「水にぬれても使える」のように記述します。

⑤ 対象を明確化するために体言止としない

 要求品質から要求機能(~を~する)を抽出しやすくします。

 要求品質への転換

図3 要求品質への変換(ロボットの例)

 

参考文献

[1] 大藤正/小野道照/永井一志: QFDガイドブック、日本規格協会

[2] 粕谷茂:SEのスピード発想術、技術評論社

【関連解説:商品企画七つ道具】

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この記事の著者

粕谷 茂

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