コンビナトリアル手法は、ある用途に対して最適なものを作る方法です。例えば新規の材料を作るとき、元素比率、分子構造を変化させて一つ一つ合成して、性質を調べるという手間のかかる方法でアプローチしていました。ところがコンビナトリアル手法で、原料をあらゆる組成で混合して評価した後で、その効果特性の優れたものの組成を同定するのです。これを物理実験に応用して、例えば合金のスパッタリング成膜で短時間に最適な配合を判定することが可能となります。今回は、このような背景を踏まえて、コンビナトリアルの概要を解説します。
1.コンビナトリアル技術の概要
コンビナトリアルライブラリーは、コンビナトリアル化学によって合成された化学化合物、またはタンパク質などの高分子のコレクションで、関連する化学種の異なる組み合わせが同様の化学反応で一緒に反応します。
(1)コンビナトリアル合成の利点
今までの方法では合成できない医薬品化学化合物を、コンビナトリアル技術で合成でき、短時間でライブラリを作成することは、従来のコンビナトリアル化学に対するコンビナトリアル合成の利点です。
(2)コンビナトリアル化学の価値
コンビナトリアル化学は、単一のプロセスで多数の化合物を調製することを可能にする化学合成法で、このライブラリは化学構造として作成できます。
2. 金属ガラスの例でコンビナトリアルを知る
ガラスは、結晶とは異なり原子や分子が規則正しく並んでいません。液体のまま動きを止めた様に、原子や分子が無秩序に固まった状態です。この様な原子・分子が無秩序の固体の事を、アモルファス:非晶質と言います。
この例として金属ガラスというものがあります。これは、アモルファス金属の事で、金属は、高温から冷えて固体化する際には、多結晶となりますが、超急速冷却すると、結晶化する時間が無くなり原子が無秩序な状態のままで、固体にする事が出来ます。これが、金属ガラスです。
この金属ガラス材料は耐食性もあり、プラスチックのように成型しやすいという素晴らしい材料です。金属ガラスの元素の組み合わせ比率を見つけるためには膨大な量の組み合わせを試してみなければなりませんが、このときに用いる手法がコンビナトリアルです。
数種の材料の比率を変えながら試作するには膨大な実験が必要となるのですが、コンビナトリアルの手法は、様々な条件の組み合わせの材料を一回の実験で作ってしまい、実験結果から条件に合うものを探すというやり方です。
3. コンビナトリアル合成
コンビナトリアル化学は、多数の化合物群を効率的に合成し、それらを様々な目的に応じて活用していく組み合わせ論に基づいた技術です。多数の化合物の合成手法をコンビナトリアル合成といいます。これはスプリットとパラレルの合成二法に大別され多数の化合物の合成手法の中心に位置付けられます。
ハイスループットスクリーニング(合成できた化合物群をスクリーニング)は、効率的な機能性分子探索を行えます。この技術は医薬品探索に大きな影響を与えました。
それでも反応条件の最適化は人手に頼るので、総合的に見た時間効率がそれほどは向上しません。天然からの単離新規構...