「マテリアルズインフォマティクス/ケモインフォマティクス 」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1.  「マテリアルズインフォマティクス/ケモインフォマティクス 」とは

マテリアルズインフォマティクス/ケモインフォマティクスは、材料・医薬品をより効率的に開発するための計算科学シミュレーションのことで、機械学習等を利用して、徹底的なデータ分析を行います。 マテリアルズインフォマティクスの発展は目覚しく、各企業で、マテリアルズインフォマティクスを十分に活用できるかどうかが、将来の材料開発の成否を分ける重要な鍵となります。 マテリアルズインフォマティクスにおいては、計算科学シミュレーションが重要な役割を担っており、マテリアルズインフォマティクスと計算科学シミュレーションの連携が不可欠です。

 

そもそもマテリアルズ・インフォマティクスの始まりは、2011年に米国で開始されたMaterials Genome Initiative(MGI)と言われています。それ以降は、世界中で同様のプロジェクトが立ち上がり始め、多くのオープンな材料データベースが整備されてきました。それらは発表された論文から地道にデータを取得している場合もあれば、第一原理計算によって片っ端からデータを揃えている場合もあります。日本では国立研究開発法人_物質・材料研究機構(NIMS)のMatNaviがあります。

 

2. マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を用いた材料開発

AIなどの技術発展により材料研究において注目が集まっているのがマテリアルズ・インフォマティクス(MI)という分野です。MIとは、材料に関する大量の情報を基にコンピュータとAIを活用することで、新素材や代替素材を効率的に探索する手法です。従来の実験科学を中心とする手法と異なりMIは、AIを用いて効率化を目指す開発手法で計算科学・データ駆動型の手法であり、素材開発を向上する事例も報告されています。MIの発展により、元素組成や原子間距離などの基礎パラメータと保磁力や伝熱特性等のマクロな物性データを集め、ある物性に関係するパラメータを見出し、新しい材料設計手法を生み出すことも期待されています。

 

従来、暗黙知とされていた部分が多い製造プロセスも温度や応力といったパラメータと製造物の物性データを蓄積して関係性を見いだすことで、効率的な製造プロセスなどを生み出すことができるかもしれません。

 

 


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