CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)とは

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CSV

 

マイケル・ポーターが2011年にCSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)という概念を提唱しました。CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)は多くの企業が取り入れていますが、今回は、CSVに着目して解説します。

 

1.CSVとは

企業のホームページでCSRという文字を目にしますが、CSRとCSVがどのような関係かも見ていきましょう。

 

CSVは、「共通価値の創造」と訳されており、企業活動により社会的課題を解決することで創出される社会価値と経済価値を両立させる経営戦略のフレームワークです。

 

前述のように、2011年の論文において、マイケル・ポーターはCSVのコンセプトを確立させました。CSRは、事業継続のための守りと社会貢献の意味合いが強かったのですが、CSVは、利益の出るビジネスモデルとして位置付けた点が最大の特徴です。

 

CSVの共通価値は、社会と企業が共に創り上げるべきものだと考えます。社会と企業の共通課題を見つけ出し、それを解決することで企業が社会に貢献し、かつ社会と企業に利益がもたらされる新しいシステムの概念がCSVです。このような考え方から、企業と社会の新しい関係作りが始まり、企業のみでは取り組みにくかった社会課題にも目が向けられるようになりました。

 

2.CSVのメリットとデメリット

(1)CSVのメリット

CSVで得られるメリットは、消費者に良い企業イメージを抱いてもらえる点です。社会課題の解決に取り組んでいる企業として認識され、マーケティング戦略上、コンペティターとの争いにおいて、優位性を持つことができます。また、社会課題を解決することが、そのまま利益につながることもメリットです。

 

CSRの場合は、価値ある活動を行っても、企業の直接的な利益にならないことが多いのですが、CSVは、社会課題解決と利益の創出も同時に実現できるのです。

 

(2)CSVのデメリット

CSVのデメリットとして、社会課題の解決に1社のみの力ではつながりにくいことが挙げられます。格差や貧困などの社会課題は、1社のみで解決することは困難です。株主や取引企業はもちろん他業種など、あらゆる連携を図ることがCSVで効果を出すために重要となり、長期のマーケティング戦略が必要となります。

 

3.CSVとSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の違い

CSVの概念から、SDGsと何が違うのかと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

 

その背景には、ESGがあります。

 

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字による言葉ですが、企業を分析する際、このESGの観点を重視するようになりました。投資家はESGに取り組んでいない企業を投資の対象としないことが多いため、資金調達が難しくなる側面もあります。つまり、これからの時代を生き抜くためにESGは重要な基準で、ESGの観点を取り込んだCSR・CSV・SDGsへの取り組みに力を入れることにより、信頼度が上がり、企業価値も上昇するのです。

 

SDGsは「世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」という計画・目標のことですが、国連が主導することにより、世界的な取り組みとなり、CSVも含みつつ、より長期的な取り組みと言えるでしょう。

 

4.CSVのケーススタディ

最後に、CSVの事例としてファーストフードを取り上げます。

 

ファーストフードは、高カロリーで肥満の原因になりやすく、消費者の健康を損ねるおそれがあり、医療費高騰等の損失も招きかねないという社会的課題があります。

 

ファーストフードを提供する企業と...

CSV

 

マイケル・ポーターが2011年にCSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)という概念を提唱しました。CSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)は多くの企業が取り入れていますが、今回は、CSVに着目して解説します。

 

1.CSVとは

企業のホームページでCSRという文字を目にしますが、CSRとCSVがどのような関係かも見ていきましょう。

 

CSVは、「共通価値の創造」と訳されており、企業活動により社会的課題を解決することで創出される社会価値と経済価値を両立させる経営戦略のフレームワークです。

 

前述のように、2011年の論文において、マイケル・ポーターはCSVのコンセプトを確立させました。CSRは、事業継続のための守りと社会貢献の意味合いが強かったのですが、CSVは、利益の出るビジネスモデルとして位置付けた点が最大の特徴です。

 

CSVの共通価値は、社会と企業が共に創り上げるべきものだと考えます。社会と企業の共通課題を見つけ出し、それを解決することで企業が社会に貢献し、かつ社会と企業に利益がもたらされる新しいシステムの概念がCSVです。このような考え方から、企業と社会の新しい関係作りが始まり、企業のみでは取り組みにくかった社会課題にも目が向けられるようになりました。

 

2.CSVのメリットとデメリット

(1)CSVのメリット

CSVで得られるメリットは、消費者に良い企業イメージを抱いてもらえる点です。社会課題の解決に取り組んでいる企業として認識され、マーケティング戦略上、コンペティターとの争いにおいて、優位性を持つことができます。また、社会課題を解決することが、そのまま利益につながることもメリットです。

 

CSRの場合は、価値ある活動を行っても、企業の直接的な利益にならないことが多いのですが、CSVは、社会課題解決と利益の創出も同時に実現できるのです。

 

(2)CSVのデメリット

CSVのデメリットとして、社会課題の解決に1社のみの力ではつながりにくいことが挙げられます。格差や貧困などの社会課題は、1社のみで解決することは困難です。株主や取引企業はもちろん他業種など、あらゆる連携を図ることがCSVで効果を出すために重要となり、長期のマーケティング戦略が必要となります。

 

3.CSVとSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の違い

CSVの概念から、SDGsと何が違うのかと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

 

その背景には、ESGがあります。

 

ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字による言葉ですが、企業を分析する際、このESGの観点を重視するようになりました。投資家はESGに取り組んでいない企業を投資の対象としないことが多いため、資金調達が難しくなる側面もあります。つまり、これからの時代を生き抜くためにESGは重要な基準で、ESGの観点を取り込んだCSR・CSV・SDGsへの取り組みに力を入れることにより、信頼度が上がり、企業価値も上昇するのです。

 

SDGsは「世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題を、世界のみんなで2030年までに解決していこう」という計画・目標のことですが、国連が主導することにより、世界的な取り組みとなり、CSVも含みつつ、より長期的な取り組みと言えるでしょう。

 

4.CSVのケーススタディ

最後に、CSVの事例としてファーストフードを取り上げます。

 

ファーストフードは、高カロリーで肥満の原因になりやすく、消費者の健康を損ねるおそれがあり、医療費高騰等の損失も招きかねないという社会的課題があります。

 

ファーストフードを提供する企業としては、カロリーを抑えつつ、味にも満足できる新たなファーストフードを開発する等の取り組みを進めることにより、上記の社会的課題を解決することが考えられます。

 

この際、ファーストフードの消費者やNPO法人に参加してもらい、原材料の選択、カロリーのコントロール、味付け等を一緒になって進めることにより、美味しくて健康に配慮し、かつ消費者が納得できる値段のファーストフードを開発することができれば、社会的課題を解決し、社会に新たな価値をもたらすことができます。

 

このように、CSVにおいては、企業が独りよがりにならず、他者の意見を聞いたり、他者と共に取り組んだりすることにより、社会的課題を解決し、新たな価値を創造することができるのです。

◆関連解説『SDGs』

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この記事の著者

原田 正純

【当事務所の経営理念】 ・顧客に新しい気づきを与え、成長に寄与する ・顧客の製品やサービスの提供先、産業の発展にまで思いをはせる ・常に最新の情報、知識、世の中の動向に注意し、自らをアップデートする

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