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【実践編 第3章目次】
第3章 平準化で生産の波を小さくする
1. 生産を平準化する
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ←今回の記事
第3章 平準化で生産の波を小さくする
「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ
品質を保証する品質管理の技術。不良を出さない.出せないしくみをつくる。
【不良ゼロを実現する実行手順】
(1)不良を出さない5つの方法
品質管理の最大の目標は、不良ゼロです。1件でも不良が発生したら、「なぜ、発生したのか?」と原因を究明し、二度と発生させないための原点的対処が重要です。何件に抑えようとか、不良率を何パーセントに下げよう、というような目標ではダメなのです。そのためには、以下が大切になります。
- ①「標準作業」に従って
- ②最短時間で、丁寧に「1個ずつモノをつくり」
- ③万が一、不良が出たら、断固として「ラインを止め」
- ④その場で即、「原点的改革・改善」を実行
- ⑤「工程で品質をつくり込む」
(2)不良対策の鍵は「人」にあり
付いているはずの部品が付いていない、穴の位置が違っている、キズがついている等々……、工場ではさまざまな不良が出るものです。どんなに「不良を出すな!」と注意をしても、不良は出ます「どうして不良が出るのか?」という素朴な疑問がわいてきます。生産に関わるいくつかの要素に分けて、その要因を探ってみましょう。
製造現場でモノづくりに重要とされる要素は、人・モノ・機械設備・方法 ・ 情報です。つまり、作業指示(情報)を受けて、部品や材料(モノ)を払い出し、ある機械(投術)を用いて、作業者(人)が、標準作業(方法)に従ってモノをつくっているのです。どうやら、このどこかに原因が潜んでいそうです。
この5つの要素を分析していくと、不良を発生させる原因となる2つのキーワードが浮かび上がってきます。
(キーワード①)しょうがない
不良が出たり、 ミスをしたりしても、つい、「しょうがない」と思ってしまう。それは、あきらめの気持ちです。
「作業者のミスはしょうがない」「機械のクセだからしょうがない」。そんなあきらめは絶対に禁物です。あきらめの気持ちからは、なんの進歩も生まれません。「しょうがない」とは、「勝が無い」ともいえます。つまり、勝ち目がないことだからです。
(キーワード②) 人
「悪いモノが入ってきた」「機械が故障した」などというと、不良の原因はモノや設備...
次回に続きます。
【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)