今回はアンケート調査でよく見かけるNPSについて解説します。NPSはフレッド・ライクヘルド氏が提唱し、調査対象のロイヤルティを測定する指標です。
NPSは、次のようなアンケート設問です。
- 問:この新商品を利用して、親しい友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?
- 11段階評価で、10の非常に薦める。から 0の全く薦めないまでから選んでください。
- 10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0
◆関連解説記事:データ分析講座(その264)顧客満足度・探索意向率・NPSとは
◆NPS(Net Promoter Score)とは
NPSは、企業や組織が顧客の満足度やロイヤルティを測定するための指標の1つで、その企業や組織に対して、顧客がどの程度推奨(プロモート)できるかを評価することに焦点を当てています。
具体的には、NPSは、顧客に対して「あなたがこの企業(または製品やサービス)を友人や同僚にどの程度推奨できるか」という質問をし、その回答に基づいて、顧客の推奨度をその後、スコアを3つのグループに分け、スコアが高いグループ(9~10)を「推奨者」スコアが低いグループ(0~6)を「批判者」とし、スコアが中間のグループ(7~8)を「中立者」として、複数の顧客に対して調査を行い推奨者から批判者の割合を引いた値がNPSとなり、-100%~100%の間の数値で表されます。
推奨者はロイヤルティが高い熱心な顧客であり、自ら他者へ薦める役割を持っています。中立者は満足はしているが、それほど熱狂的ではなく、他者へ薦めることはなく競合他社があれば、他社へも流れやすい。批判者は否定的であり不満顧客であるので放置するとクレーマーになる可能性もあります。
例えば、10人中6人が9点以上ならば、推奨者は60%、6点以下が2人いれば、批判者は20%なのでNPSは+40%となります。正のは高いロイヤルティの値を示し、負の値は低いロイヤルティを示します。一般的に、NPSが+50以上であれば優れたロイヤルティをとされています。
NPSは、企業や組織が顧客の満足度やロイヤルティを定量的に測定するための簡便な手法であり、また、他の指標と比較して将来な評価が可能なため、多くの企業で広く利用されています。
(1)NPSの長所
- 単純な質問形式であり回答しやすい。
- 現時点での満足度ではなく推奨度を聞いているので将来の予想に役立ちます。
- 競合他社の製品を聞けば、比較しやすい。
(2)NPSの短所
- NPSだけでは単一な総合指標である。推奨度の理由まで聞くとさらによい。
- 日本人のように回答に中庸を好む場合はNPSがマイナスになることが多い。10点、9点の...
(3)アンケート調査設計の工夫
アンケート調査設計において次のような総合評価に推奨度を入れると、製品のロイヤルティと将来予想に役立ちます。
- 「使いたい」 :使用意向
- 「買いたい 」:購入意向
- 「総合満足度」:満足度
- 「薦めたい」 :推奨度