CSでは修理業務や機器設置、顧客からの技術的な問合せ対応を行っておりますが、10年程前から製品の出荷台数が減少傾向であることから、有償で行っている修理や設置業務などの件数も減少しており、CS部門としての売上も減少しています。
機器の延命のために顧客にオーバーホールを持ちかけ、受注も獲得しているのですが、それでも売り上げは落ちています。
そこで、損益改善のために更に売上を伸ばすか、原価率を下げるかを検討しました。
しかし、修理業務については、交換部品代と修理作業で稼働した時間に、管理費を加算した分だけ親会社から支払われる仕組みになっているため、業務改善により原価率が下がると売上が落ちてしまいます。
そのため、外部からの受注が良いと考え、同類の企業に同類の機器を納入している海外メーカの修理を代行する方法を検討したのですが、他社も修理工場が国内にあったり、海外にある場合でも、交換品を国内にストックしているなどして参入できそうにありません。
自社も親会社もプラスになるような打開策アイデアはないものでしょうか。
ご質問ありがとうございます。カスタマサービス部門に所属しておられるとのこと。これからの時代は、生の顧客データを豊富に持っているカスタマサービス部門の重要性が増々高まります。ビッグデータを活かした新しい事業(サービス)の担い手として、たぁさんのご活躍の場がこれまで以上に広がってくることと思います。
さて「打開策アイデア」ですが、結論から申し上げれば、御社を取り巻く状況と、御社が持つ顕在/潜在能力次第だと思います。
一般的な話になりますが、売上は市場規模と御社(親会社)の市場シェア、販売単価で決まります。売上が減少している理由のうち出荷台数の減少は市場規模が縮小しているからなのでしょうか、それとも御社(親会社)の市場シェアが縮小しているためなのでしょうか。また売上のうち販売単価の減少は有償で行えるサービスが減り、無料のサービスが増えているためなのでしょうか。
もし市場規模が縮小しているのであれば、現在のサービス技術を活かした新しい市場を開拓してそこに進出するか、親会社とともに新しい市場に投入する新製品を開発する必要があるでしょう。
もし御社(親会社)の市場シェアが縮小しているのであれば、御社の市場でのポジション(リーダー企業、チャレンジャー企業、ニッチャー企業、フォロワー企業)に従って、市場シャアを増やす方法が違ってきます。
有償ではなく無償のサービスが増えているのであれば、これも新製品開発と同様に新しいサービスを開発する必要があります。
いずれにせよ、市場の状況、市場でのポジション、競争環境など、さまざまな要因をまず最初に分析して、何か良いアイデアが浮かんだら、「とりあえずやってみる」という実行力とスピードが何よりも重要です。
「外部からの受注が良いと考え・・・・・・参入できそうにありません」競合他社はカスタマサービス部門を戦略部門として運営しているのでしょうか、それとも単に必要だから運営しているのに過ぎないのでしょうか。もし後者なら、修理代行業務は良いアイデアだと思います。
メーカーを問わず修理代行を行って成功している業者を私も知っています。保証期間内なら顧客はメーカーに修理を依頼しますが、保証期間を過ぎると顧客は安くて速い業者に修理を依頼します。そこを狙ってその業者は顧客から直接(メーカーを介さず)修理を受け入れることで成功しています。メーカーにとっても手間のかかる修理はあまりやりたくないので、その業者に助けられているようです。顧客の立場からこのサービスを再検討してみては如何でしょうか。御社の場合は親会社が特定のメーカーのようですから、それを全面に出さないように何か工夫する必要があるかもしれませんが。
最後にカスタマサービス部門とビッグデータについて簡単に触れたいと思います。これまでのサービス履歴情報を活かすことで、さまざまな業務改善や「有償の」新しいサービスが開発できると思います。
不具合の状況から故障内容を自動診断するサービスはAI機能(機械学習)を使えば簡単にシステムを構築できます。そのシステムを使って発注部品を特定するようなシステムを構築しても良いと思います。これまでのカスタマサービスの経験を活かして、新しい製品に自動診断機能を搭載することもできるでしょう。新しい製品に稼働時間や稼働負荷などをモニターする機能(IoT)を付ければ耐用期間の測定や遠隔故障診断なども可能です。クラウドベースのMicrosoft Azureなどを使って、少ない投資で出来るところから一つずつ実現していくことも可能です。
「打開策アイデア」はデータとコンピュータとインターネットの組み合わせから生まれてくると思います。カスタマサービス部門の強みはデータを持っていることです。親会社に対して新しい製品やサービスを提案してみては如何でしょうか。
繰り返しになりますが、競合他社もそのくらいのことは考えているでしょう。ですからスピードが何よりも重要になってきます。
P.S. 「業務改善により原価率が下がると売上が落ちてしまいます」
アイデアを実現するために、業務改善によってできた余剰時間と余剰人員を新しいサービスの開発に当てられるよう、親会社と相談することをお勧めします。
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