クリーンルーム4原則の中から、今回は“持ち込まない”について説明します。
1.入室ルールがあり、守られている
クリーンルームには、入室ルールがあるのが一般的です。ルール、標準などを整え、決めたことを守らせ、統一する、足並みを揃えると言うことです。高いクリーン度(清浄度)が要求されるところでは、持ち込み品目や持ち込みエリアが決められているところもあります。
例えば、クリーンルーム内に、パンチ(穴あけ)やハサミ、ホッチキス、カッター等の事務用品の持ち込みを禁止、制限しているところもあります。例え防塵紙であっても、穴をあけたり切ることで、繊維が露出、脱落しゴミになるからです。
2.防塵衣を正しく着用する
防塵衣の着用方法が悪いとゴミ、埃を発生させたり、付着させて持ち込んでしまいます。エアシャワーを浴びても、完全には除去されないため、クリーンルームへ持ち込むことになります。
また、なぜ防塵衣を着用するのかが理解されないと、着用方法は無視され、防塵衣と言う白い服を着るだけで安心してしまい、本来の目的、機能を発揮できません。
3.防塵衣に着替え、エアシャワーを浴びる
クリーンルームに入るには、防塵衣に着替えてから、防塵衣に付着したゴミ、埃を除去するためにエアシャワーを浴びます。先にも記しましたが、エアシャワーを浴びても、ゴミ、汚れが全て除去できるわけではありません。そこで、エアシャワーの浴び方を工夫し、出来るだけ多く除去し、持ち込みを減らすことが大切です。
例えば、エアシャワー壁面には寄りかからない。寄りかかることで、壁面に付着しているゴミが防塵衣に転写し、それを持ち込むことになります。また、寄りかかることでジェットの吹き出しノズルを塞いでしまうと、気流が乱れ防塵衣に付着したゴミの除去率も低下します。
またエアシャワーのジェットが停止した直後は、エアシャワー内のパーティクル浮遊量は非常に多いです。従ってジェット停止後直ぐにドアをあけ入室すると、浮遊パーティクルが、人が移動する後の気流に乗り、クリーンルーム内に入ってしまいます。普段あまり気がつかないことですが、見えない持ち込みです。
これを避けるためジェット停止後約5秒間、エアシャワー内の天井から微弱な風を吹き出し浮遊しているパーティクルを沈降させています。この間エアシャワー内で待機するのが一般的です。この5秒間でかなりの浮遊パーティクルが沈降します。その間にドアを開けないよう、メロディーで知らせるとか、ドアがロックされる等の工夫がされています。
エアシャワーを浴びている時には、その風で防塵衣が擦られ、静電気が発生、防塵衣が帯電します。これを摩擦帯電と言います。正常な防塵衣では、その静電気がジェット停止直後瞬時に消えますが、クリーニング等で劣化した防塵衣、特に静電気を逃がす黒い線(導電糸)が擦り切れているようなものを着用すると、静電気が中々減衰しません。その帯電した防塵衣にパーティクルが付着し、クリーンルーム内へ持ち込む。これも見えない持ち込みです。
その他にも、除去率を高めるため、回転しながらエアシャワーを浴びるとか、両手を上げて回転するなど細かくルールを決めているところが多いです。
4.機械・材料はクリーニングして持ち込む
機械や設備、工具なども色々な汚れが付着していますので、持ち込む時にクリーニングします。稀に、梱包したまま持ち込み、クリーンルーム内で開梱するという場面を見ます。これではゴミ、汚れを持ち込むだけでなく、大量に発生させていることになります。クリーンルームを持たないところでも、これだけは避けたいものです。
クリーンルームにゴミを持ち込まない為に、クリーンルーム設計時、前室が設けられている場合があります。設備などを持ち込む場合、ここで梱包を解き、クリーニングしてからクリーンルームに持ち込むと言う考え方です。
5.私物は持ち込まない
クリーン度の低いクリーン...