1.CAEによる開発期間の短縮
CAEは開発期間短縮には欠かせないツールの一つとして位置づけられています。しかし、3D-CADの導入が進む一方で、CAEが普及しているようには見えません。そこで今回は、CAE導入により開発期間を短縮するための課題について解説します。
2.CAEとは
CAEとは、Computer Aided Engineering (コンピュータ支援による工学的検討)の略で、コンピュータの高い計算能力を利用し、製品設計や工程設計における工学的な事前検討を行う手法の総称です。具体的には以下の手法が有名です。
(1)FEM (Finite Element Method : 有限要素法)
強度・剛性、振動、周波数応答、衝突、熱伝導シミュレーションなど
(2)BEM (Boundary Element Method : 境界要素法)
電場、磁場、音響シミュレーションなど
(3)CFD (Computational Fluid Dynamics : 数値流体力学)
流体シミュレーション(航空機や高速鉄道車両等の空気流れなど)
(4)その他
機構シミュレーション、組立作業シミュレーション、景観シミュレーションなど
以上の手法のうち、FEMをCAEと認識されている方も多いので、FEMを例に導入の課題を説明します。
3.CAE導入の課題
多くの場合、CAE導入後、以下の課題に直面します。
(1)難解な専門用語
(2)分割する要素の大きさ
(3)シミュレーション結果の評価方法
これらの課題を解決する取り組み方を紹介しましょう。
3.1. 難解な専門用語
多くの専門用語は材料力学の教科書を参考にしながら社内で勉強会を開催し、関係者の皆さんで理解することをお勧めします。特に、担当者が専門用語を理解していても、業務を指示する側が理解できていないと、次第にどのようなことを説明されているのか分からなくなり、コミュニケーションが取れなくなってしまいます。
勉強会が困難な場合には、社内で通用するような技術用語集などを作成し、個々に学ぶ機会を作ることも有効です。
3.2.分割する要素サイズ
シミュレーション用のモデルを作成する場合、有限要素に分割します。分割される要素が粗ければシミュレーションの計算精度は低くなり、反対に細かくなれば計算精度も高くなります。計算精度と要素分割の関係を定量化するために、片持ち梁をモデル化し、設計式の結果と比較することをお勧めします。定量化する際、梁の断面を矩形だけでなく他の断面形状(パイプや板など)でも試してみてください。
3.3 シミュレーション結果の評価方法
シミュレーション結果のうち応力分布を表示させる時に、複数の応力項目があり、どれを評価に使ったらよいか迷うとい...