ドアの蝶番劣化については別稿で説明しましたが、ドアに限らず、クリーンルームやその他のものづくり現場でも、設備にカバーが付いているものがあると思います。そのカバーは蝶番で開閉するタイプも多いでしょう。この蝶番を観察すると、ドアについているものと同様の劣化をしていると思います。
開閉の頻度が多いものは、ドアと同じようにカバーの傾きが発生します。両側に開けるタイプ(観音開きと言います)では、右図1のように、相互の上部が接触し、削れて金属粉が発生している場合があると思います。
設備のカバーでは、特に製品加工部に近いところでは、相互に接触し、発生した金属粉が製品に付着し、製品の品質に影響する。あるいは加工部の可動部にグリスに混入するとか、歯車に入り込む等により、加工部や歯車に不具合が生じるなどの問題発生に繋がります。
また、開閉頻度が多い為に、徐々に変形して行くとすれば、カバーの開閉が頻繁、つまり設備の修理が頻繁なのかも知れません。カバーの劣化から、設備の稼働状況や、故障頻度(MTBF=平均故障間隔)も気になります。
蝶番一つをとっても、設備の生産性等色々な問題を推測する起点でもあります。不具合を発見したら故障の予兆と捉え、問題が起きる前に対策を講じておく、いわゆる予防保全と言う考え方に繋げたいものです。故障頻度が多いとすれば、修理担当メンバーの力量も見直す必要があるかも知れません。
とりあえず動けば、生産が再開出来れば、と言う暫定の修理の繰り返しが続いているのかも知れません。その結果、やがて設備の修理が出来ないような大きな故障に繋がり、寿命が短くなるかも知れません。
設備は長く使うほど減価償却が進むので安くものが作れます。つまり儲けが増えると言うことですが、日頃から見守りもせず故障が多いと、元も取らないうちに買い替えるようなことになってしまい、儲け損ねると言うことです。
設備は安くないので、買い替えるとなると、設備代に加え製品の単価に跳ね返るなど経営の問題に繋がってきます。単に、蝶番の劣化、扉の変形だけと捉えず、その先にどのように繋がる、発展するかを推測し、小さいうちに芽を摘み取るようにしましょう。
クリーン化では、“不具合を見つけたら、放置しておいて良いのか、直ぐに直さなければいけないのか、その一つ先、二つ先を考え対応しましょう”と言う指導をしてきました。もちろん、放置して良いのではなく、優先順位を考えると言うことです。
ところで、家庭には化粧台がある家も多いことでしょう。三面鏡になっているものは、正面の鏡を覆うように、左右に開くことが出来る鏡がついているものです。これも観音開きですが、上部を良く観察すると、図1と同様の傾向が出ていないでしょうか。左と右の鏡を閉じた時の隙間を見ると、上部の方が狭く、あるいは接...