クリーンルーム用の筆記具について

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1.清浄度の低いクリーンルームでの筆記具

クリーンルーム用ボールペン クリーンルーム用筆記具にも色々あり、清浄度レベルによっては、使用する筆記具にも厳しい管理が必要な場合、あるいはそれほどは必要のない場合もあるでしょう。

 清浄度の低いクリーンルームでは、防塵衣(クリーンスーツ)を着用していても、シャープペンシルやノック式ボールペン等を使い、紙が普通紙の場合もあります。さらに特別なルールが無く、個人持ちの筆記具を使っている場合すらあります。多面的に評価されていて、高い清浄度が必要無いと言う裏付けを取りながらこのようにしているならば良いでしょう。

 しかし、実際にはあまり評価されず、細かなところまで目が行き届いていない場合も多々あります。例えば、防塵衣を着て安心してしまい、それ以外には着目出来ていないなどの場合で、決して少なくありません。

 

2.清浄度の高いクリーンルームでは

 清浄度の高いクリーンルームでは、製品を加工や管理するために必要な物であっても、極力電子化し、ペン類や紙類の持ち込みは最小限にします。こういうクリーンルームにやむをえず持ち込む紙類は、防塵紙(無塵紙、クリーンペーパーとも言う)ですが、これも設備の点検表等ほんの僅かな物に限りましょう。

 どうしても必要として持ち込む場合の筆記具も、シャープペンシルなどは芯の粉が出るので使用禁止です。また、ボールペンであっても、ノック式の場合、発塵、飛散します。ノックするたびに23ミクロン、あるいはそれを超える大きさの金属粉が沢山出ます。

 半導体や表示体、水晶事業等では、配線(電気の流れる線)幅の数倍から数十倍のゴミになるので、断線やショートの原因となり、製品としては致命的です。使用されているインクも、製品品質への影響を考え含有成分を把握しておく必要があります。

 

3.クリーンルームペンの選定と購入

 クリーンルームペンは、クリーン資材メーカーで扱っています。カタログにも掲載されていますが、いきなり購入せず、サンプルを取り寄せインクの分析や使用評価し、納得してから購入したいものです。

 形状はキャップ式のものが良いのですが、個人持ちにする場合、防塵衣にペン差しがあるかどうかも選定理由になります。キャップ式ペンのキャップの部分、つまり防塵衣のペン差しに差す部分が弱く、変形して保持力が無くなったり、折れやすいものもあります。また、折れたものが薬液槽に落下して、液の中で溶けた等と言う話も聞きます。

 こうなると液が汚染しますので、液を交換することが必要になります。たかがペンと言わず、起きそうなことを予測し、また使用して不具合を把握、加えて価格など多面的に評価しましょう。

 ペンは、普通1ダース単位での購入になります。入荷してもこの1ダースが入った箱は紙製ですので、それを扱うのは事務担当までで、個人には1本ずつ配布されます。この箱は、そのまま廃棄されてしまいますが、箱に書かれた説明を良く読むと、“飛行機の中に持ち込むと液(インク)が漏れる場合があります”と書かれているものがあります。こういう情報は見落とされ、中々伝達されません。

 

4.液漏れの事例

 国内、海外出張等で、現場診断、指導が必要な時には、相手の企業にも迷惑をかけてはいけないと思い、クリーンルームペンを持参しています。航空機を利用しての移動の場合は、説明書にあるように液漏れする場合があります。私はこれを経験していますので、ペンを不織布などで包み、ビニール製のペンケースに入れて持ち歩くようにしています。 

 昔、私の同僚から、海外出張時クリーンルームに入るので、黒と赤のクリーンルームペンを調達して欲しいと依頼されたことがあります。その時...

1.清浄度の低いクリーンルームでの筆記具

クリーンルーム用ボールペン クリーンルーム用筆記具にも色々あり、清浄度レベルによっては、使用する筆記具にも厳しい管理が必要な場合、あるいはそれほどは必要のない場合もあるでしょう。

 清浄度の低いクリーンルームでは、防塵衣(クリーンスーツ)を着用していても、シャープペンシルやノック式ボールペン等を使い、紙が普通紙の場合もあります。さらに特別なルールが無く、個人持ちの筆記具を使っている場合すらあります。多面的に評価されていて、高い清浄度が必要無いと言う裏付けを取りながらこのようにしているならば良いでしょう。

 しかし、実際にはあまり評価されず、細かなところまで目が行き届いていない場合も多々あります。例えば、防塵衣を着て安心してしまい、それ以外には着目出来ていないなどの場合で、決して少なくありません。

 

2.清浄度の高いクリーンルームでは

 清浄度の高いクリーンルームでは、製品を加工や管理するために必要な物であっても、極力電子化し、ペン類や紙類の持ち込みは最小限にします。こういうクリーンルームにやむをえず持ち込む紙類は、防塵紙(無塵紙、クリーンペーパーとも言う)ですが、これも設備の点検表等ほんの僅かな物に限りましょう。

 どうしても必要として持ち込む場合の筆記具も、シャープペンシルなどは芯の粉が出るので使用禁止です。また、ボールペンであっても、ノック式の場合、発塵、飛散します。ノックするたびに23ミクロン、あるいはそれを超える大きさの金属粉が沢山出ます。

 半導体や表示体、水晶事業等では、配線(電気の流れる線)幅の数倍から数十倍のゴミになるので、断線やショートの原因となり、製品としては致命的です。使用されているインクも、製品品質への影響を考え含有成分を把握しておく必要があります。

 

3.クリーンルームペンの選定と購入

 クリーンルームペンは、クリーン資材メーカーで扱っています。カタログにも掲載されていますが、いきなり購入せず、サンプルを取り寄せインクの分析や使用評価し、納得してから購入したいものです。

 形状はキャップ式のものが良いのですが、個人持ちにする場合、防塵衣にペン差しがあるかどうかも選定理由になります。キャップ式ペンのキャップの部分、つまり防塵衣のペン差しに差す部分が弱く、変形して保持力が無くなったり、折れやすいものもあります。また、折れたものが薬液槽に落下して、液の中で溶けた等と言う話も聞きます。

 こうなると液が汚染しますので、液を交換することが必要になります。たかがペンと言わず、起きそうなことを予測し、また使用して不具合を把握、加えて価格など多面的に評価しましょう。

 ペンは、普通1ダース単位での購入になります。入荷してもこの1ダースが入った箱は紙製ですので、それを扱うのは事務担当までで、個人には1本ずつ配布されます。この箱は、そのまま廃棄されてしまいますが、箱に書かれた説明を良く読むと、“飛行機の中に持ち込むと液(インク)が漏れる場合があります”と書かれているものがあります。こういう情報は見落とされ、中々伝達されません。

 

4.液漏れの事例

 国内、海外出張等で、現場診断、指導が必要な時には、相手の企業にも迷惑をかけてはいけないと思い、クリーンルームペンを持参しています。航空機を利用しての移動の場合は、説明書にあるように液漏れする場合があります。私はこれを経験していますので、ペンを不織布などで包み、ビニール製のペンケースに入れて持ち歩くようにしています。 

 昔、私の同僚から、海外出張時クリーンルームに入るので、黒と赤のクリーンルームペンを調達して欲しいと依頼されたことがあります。その時インクが漏れるのでと、私の対応方法を説明しましたが、その同僚は私の話を良く聞かずに布製のペンケースに入れて出張し、現地の会議時にペンケースを開いたところ、黒も赤もインクが漏れていました。

 あの時説明したじゃないですか。背広のポケットやワイシャツのポケットでなくて良かったですね。こんな会話から会議が始まりました。栓を開けてないペットボトルでも、機内で漏れる場合がありますので、同様に要注意です。

 色々な体験や情報を持っている人がいますので、クリーンルーム内だけで情報をクローズせず、そう言う人達とネットワークを作って情報交換し、またそれらの情報を閲覧できるようにライブラリー化することもお薦めします。

 クリーン化技術とは、このように小さな技術、ノウハウの積み重ね、集積なのです。

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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