1. 職場でどういうことが実際に起こっているのか
職場アンケートで、若手社員から上司の「ハラスメント」に対する声が上がっているそうで、会社としては「ハラスメント撲滅」に向けて、しっかり教育をしたいというところでしょうか。では、職場でどういうことが実際に起こっているのか? 例えば次のようなことです。
- 上司が気に入らないことがあると、声を荒げる
- 上司に業務改善の提案をすると、余分なことをしたと目をつけられる
- ある要望を上司に出したが、それに対する回答をもらえず、うやむやにされる
- メールでの追及、叱責を他の社員にCCまたはBCCで送付された
こちらは、実際に現場でお聞きした事実です。一般的に「ハラスメント」が職場で起きている、という場合の対処方法として「ハラスメント研修」の受講があります。
【ハラスメント研修の内容】
- 「ハラスメント」の定義
- 「6つの行為類型」の理解
- 「ハラスメント」となるステップの理解
- 「ハラスメント」傾向、ハラスメントになりやすいタイプ
- 法律やリスク
- 実際の裁判事例
- ハラスメントへの対応方法
この様な内容が一般的です。「ハラスメント研修」の依頼目的として挙げられるのが「ハラスメントかどうかの境界線を教えて欲しい。どこまでがセーフで、どこからアウトか」以前は、事前打ち合わせでこの様な要望を聞いたものです。しかし、昨今は違ってきました。
2. ハラスメントをなくしたい理由、目的
「ハラスメント」があると、せっかく採用した若手社員が辞めてしまう。若手がリーダーになりたがらない。なんとか、ハラスメント系社員を改心させたい・・・」この様な要望に変わりました。
「会社はハラスメントを許さない」といったトップメッセージを、いくら掲げても、本当に撲滅したいのか、それは何のためにそうしたいのか、世間体のためか、先に書いた理由の様に若手社員の離職を減らしたいためなのかが、伝わりません。
わたくしは、そもそも、ということでは、ハラスメントをなくしたい理由、目的が重要と考えます。好ましいのは、多様性の時代に、年令の高い方も、若手も、役職者も、一般社員も、会社で働いているすべてのひとびとが「快適な職場」になるためには「ハラスメント」は論外です。
職場が「快適」で...