調査結果の分析 業務改革を実現する問題解決技法 (その7)

更新日

投稿日

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】

1.実態調査結果の吟味

 前回のその6に続いて、解説します。「業務フロー」「業務に要している時間(長さ・量)」「情報の活用度合い」「物や情報の重要度合い」などの様々な実態調査のデータ収集ができても、すぐそのまま問題分析に使うことはできません。有効な調査結果であるか否かを、図1のように吟味していく必要があります。
 実態調査結果の評価                        図1.調査結果の評価項目

 これを繰り返しながら、有効な調査結果を揃えていきます。例えば『拠点倉庫への配送納期遅延が多発している』というような問題も、最初は「どこから手を付ければよいのかわからない」状態だったのが、仮説設定に基づいた計画による実態調査を行い、その結果を吟味して有効な調査結果を揃え、それらを材料に問題分析を行っていけば、問題の根本真因を明確にすることができます。その際に有効となるのが『問題構造図』です。
   

2.問題構造図による根本原因追究

 問題解決のためには、問題を引き起している根本原因を突き止める必要があります。実態調査で判明したことだけ並べても、問題の根本原因特定にはまだまだ不十分です。実態調査で判明したことは、問題を引き起こしている個々の要素に過ぎません。それら相互に因果関係がありますから、これを「構造図」にまとめていきます。構造図とは、いわゆる「なぜなぜ分析」によって原因をモレなくダブリなく深掘りし、ツリー状に論理的に整理したものです。

 構造図で原因を深掘りしていく場合、実態調査結果を参考に原因を一つひとつ挙げていくことになりますが、その表現には具体性が必要です。例えば「梱包用資材不足」という表現ではどの程度の悪さ加減なのかがわかりません。「梱包段階になって初め...

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】

1.実態調査結果の吟味

 前回のその6に続いて、解説します。「業務フロー」「業務に要している時間(長さ・量)」「情報の活用度合い」「物や情報の重要度合い」などの様々な実態調査のデータ収集ができても、すぐそのまま問題分析に使うことはできません。有効な調査結果であるか否かを、図1のように吟味していく必要があります。
 実態調査結果の評価                        図1.調査結果の評価項目

 これを繰り返しながら、有効な調査結果を揃えていきます。例えば『拠点倉庫への配送納期遅延が多発している』というような問題も、最初は「どこから手を付ければよいのかわからない」状態だったのが、仮説設定に基づいた計画による実態調査を行い、その結果を吟味して有効な調査結果を揃え、それらを材料に問題分析を行っていけば、問題の根本真因を明確にすることができます。その際に有効となるのが『問題構造図』です。
   

2.問題構造図による根本原因追究

 問題解決のためには、問題を引き起している根本原因を突き止める必要があります。実態調査で判明したことだけ並べても、問題の根本原因特定にはまだまだ不十分です。実態調査で判明したことは、問題を引き起こしている個々の要素に過ぎません。それら相互に因果関係がありますから、これを「構造図」にまとめていきます。構造図とは、いわゆる「なぜなぜ分析」によって原因をモレなくダブリなく深掘りし、ツリー状に論理的に整理したものです。

 構造図で原因を深掘りしていく場合、実態調査結果を参考に原因を一つひとつ挙げていくことになりますが、その表現には具体性が必要です。例えば「梱包用資材不足」という表現ではどの程度の悪さ加減なのかがわかりません。「梱包段階になって初めて梱包用資材不足が発覚することが多い」と表現すれば、その事象の重大さが浮き彫りになってきます。さらに「どのくらいの頻度で発生しているか」を表す定量的データがあれば、重大さはよりはっきりしてきます。 

 問題構造図を使い、業務改革の検討チームで問題の根本原因を絞っていきます。解決策はこれらの根本原因に対して打つことにより効果が出てきます。問題解決のために着手すべきポイントはここに存在し、次の解決策検討段階へと進むことになります。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

森 史明

「会社力向上」「組織一丸で取組む業務改革」をナビゲートします!

「会社力向上」「組織一丸で取組む業務改革」をナビゲートします!


「全般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
実態調査 業務改革を実現する問題解決技法 (その6)

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】 1. 全体像 2. 事業の概観把握 3. 事業責任者の問題認識 4. 全体業務フロー 5....

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】 1. 全体像 2. 事業の概観把握 3. 事業責任者の問題認識 4. 全体業務フロー 5....


課題から解決法を探索する「ものづくり工学マトリクス」

 市場、顧客要求の多様化、IT技術の進展、アジア諸国の技術力向上などの社会情勢変化により、日本の製造業は以前にも増して高度な製品を短期間に開発、生産する必...

 市場、顧客要求の多様化、IT技術の進展、アジア諸国の技術力向上などの社会情勢変化により、日本の製造業は以前にも増して高度な製品を短期間に開発、生産する必...


事業責任者の問題認識 業務改革を実現する問題解決技法 (その3)

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】 1. 全体像 2. 事業の概観把握 3. 事業責任者の問題認識 4. 全体業務フロー 5....

【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】 1. 全体像 2. 事業の概観把握 3. 事業責任者の問題認識 4. 全体業務フロー 5....


「全般」の活用事例

もっと見る
【ものづくりの現場から】地方小規模音響機器メーカーの挑戦(ミューシグナル)

【特集】ものづくりの現場から一覧へ戻る ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向けた現場の取...

【特集】ものづくりの現場から一覧へ戻る ものづくりを現場視点で理解する「シリーズ『ものづくりの現場から』」では、現場の課題や課題解消に向けた現場の取...


[エキスパート会員インタビュー記事]現実的な改善を通じたものづくり支援の実践(福富 昇 氏)

    ●はじめに● 日本の産業界は、多様な課題を抱える中小企業の存在によって支えられています。これらの企業が直面する様々な...

    ●はじめに● 日本の産業界は、多様な課題を抱える中小企業の存在によって支えられています。これらの企業が直面する様々な...


【エキスパート会員インタビュー記事】長寿企業を育てることが使命(野中 帝二氏)

  日本の経済を支える中堅中小企業には、数多くの長寿企業が存在します。これらの企業がなぜ長く存続できるのか、その秘訣を探り、さらに長寿企業...

  日本の経済を支える中堅中小企業には、数多くの長寿企業が存在します。これらの企業がなぜ長く存続できるのか、その秘訣を探り、さらに長寿企業...