「因子分析」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「因子分析」とは

因子分析とは、多変数からなるデータの観測変数(因子)とは独立した潜在的な因子があると仮定し、それらの因子の影響度を定量的に計算する事で、仮説の採否を判断しようとする統計的分析法です。 これによって、仮定した各因子(潜在変数)に対する観測変数の影響度(因子負荷量)や、各個体の特徴を判断することが可能です。 主成分分析と同様に、アンケート調査の結果分析などに使われますが、あらかじめ仮説を立ててアンケートを設計しないと分析結果に意味が見出せないので、注意が必要です。

 

2. 「因子分析」の考え方

因子分析の考え方、例えば、小学校での生徒の能力を測るためにいくつかの科目テストを行うことを考えます。各生徒の試験成績について、各教科の成績を並べてみるだけでは、なぜその成績になるのか、科目により点数差があるのはなぜなのか、などの要因は分かりません。そこで、生徒の各教科の成績を総合的に分析し、成績の背後に隠れた成績を左右する個人の能力、読解力、表現力、計算力などにより少数の「共通因子」を見出すことを考えます。各生徒の成績は、それぞれが持つ共通因子の能力の大小やその組み合わせ及び、各教科固有の要因である「独自因子(特殊因子)」によって説明できると考えられます。

 

因子分析の最大の目的は、共通因子の特定と因子負荷量の決定です。それ以外に「因子寄与」と「共通性」を求めます。因子寄与とは、観測変数)がある因子で説明できる大きさを表す指標で、因子が観測変数に対してどの程度寄与しているかという指標です。因子寄与率すなわち、因子寄与を%表示したもので表現します。共通性とは、観測変数のうち共通因子によって説明される割合のことです。基本的に共通性の最大値は1であり、(1-共通性=独自性)の関係が成り立ちます。

 

3. 因子分析の手順

  1. 因子数の決定・・・分析したいデータから「固有値」を計算し、これに基づいて共通因子の数を決定します。固有値とは各因子の全項目に対する支配度に相当します。従って固有値が大きいほど、影響の大きい因子ということになります。
  2. 因子負荷量の算出・・・次に共通因子の影響の強さを示す「因子負荷量」を計算します。計算方法は多くの種類があります。最も一般的なのは「最尤(さいゆう)法」です。また「因子寄与」、「寄与率」、「共通性」などが得られます。
  3. 因子軸の回転・・・各観測変数の因子負荷の散布図グラフは、そのままでは共通因子が何を指しているのか分かりにくい場合が多いため、解釈しやすいようにグラフの軸を、各因子の数値が軸に沿って位置するように回転させます。回転の計算方法は多くの種類があり、バリマックス法やプロマックス法という方法がよく使われます。

 


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