「マインドマップ」とは、キーワードからわかりやすく解説
1. マインドマップとは
マインドマップとは、トニー・ブザンというイギリスの著述家が提唱した手法です。自分の発想・思考の内容を視覚的に捉えていき、脳内で考えている情報を整理して、新たな発想を得るために使用される方法です。普段から、考えがまとまりにくいことがあったり、言葉で表現しにくいことがあったり、アイデアとして成り立たなくて、発想が広がらないといった時に効果的です。これらは、脳の仕組みである放射思考がもとになっており、一つの情報がもう一つの別の情報に関連付けられていき、そこからさまざまな情報へと広がっていくという流れのことを指しており、中心の情報から放射状に思考が広がっていきます。
2. マインドマップ ~「連想」した事を“見える化”するノート術
マインドマップは「脳の思考プロセスである放射思考を反映したノート法」です。日本には2006年、同氏によって紹介されたのち、書籍も出版された事で一躍知られる様になりました。また本格的に「マインドマップ」を学ぶために同氏公認の講習会も開催されており、インストラクター資格制度も全世界的に運用されています。その特徴は人間の脳の思考プロセスを邪魔する事なく「連想」した事を「見える化」する事で、効率的に脳を動かし考え続ける事ができるツールです。
3. 事例「物事の整理」
新しいプロジェクトを開始する際、何も考えずに手を付ける人はいないと思います。最初に「どの様な事から始めるか?」「どの順番で作業するか?」などの事を考え、メモに残していく方が多いでしょう。ところで、未経験のプロジェクトを開始する時はどの様に始めますか?ネットで調べたり、知人に聞いたりしてもピンとこない場合、マインドマップの出番です。
調べたり、聞いたりした事が頭の中で整理できない場合、色々な事が頭の中に散らばっている状態でしょう。その様な場合には白い紙の前で、中央にテーマを記載し、思いついた事を次々と記入していきます。
この際、書き出すこと自体に制約を設けず、質や順序を気にせず「連想ゲーム」のように思考を広げることが重要です。マインドマップの書き方の基本は、「セントラル・イメージ」(中央のテーマ)から太い「メインブランチ」(主要な枝)を伸ばし、そこからさらに「サブブランチ」(小枝)を細かく放射状に広げていくという形式です。脳が自然に行っている放射思考を、そのまま紙の上に再現するイメージです。
例えば、「新しいプロジェクト」というセントラル・イメージから、メインブランチとして「目的」「対象」「タスク」「リソース」などを伸ばします。次に、「目的」のブランチからは「達成したいゴール」「プロジェクトの意義」「期待される効果」などをサブブランチとして追加していきます。このとき、ブランチ上にはキーワードとイメージを使うことが推奨されています。長い文章ではなく、単語や短いフレーズ、そして色やイラストを用いることで、脳が情報をより素早く、かつ長期的に記憶しやすくなるためです。色分けは、それぞれのメインブランチや関連性の高い情報を識別するのに役立ち、視覚的な整理を強力にサポートします。
重要なのは、一度ブランチを書き始めたら、思考が途切れない限り、書き続けることです。もし一つのブランチでの連想が止まっても、すぐに別のブランチに移り、思考を中断させずに常に何かを書き続けることを意識します。これは、脳の思考の流れを止めないための工夫であり、行き詰まりを感じた時に「ブレイクスルー」を生み出すきっかけとなります。後から見直した際、一見無関係に思えたブランチとブランチが、実は関連し合っていることに気づき、新たな統合的なアイデアが生まれることも少なくありません。これが、マインドマップが単なるメモ術を超えた「思考ツール」と呼ばれる所以です。
4. マインドマップの応用と活用領域
マインドマップの活用領域は非常に広く、個人の思考整理からビジネス、教育現場まで多岐にわたります。
【ビジネスでの活用】 企画立案、問題解決、会議の議事録作成、プレゼンテーションの骨子作成などに有効です。特にブレインストーミングの際に参加者全員で一つのマインドマップを作成することで、各自のアイデアが視覚的に共有され、関連付けられ、短時間で多角的な議論を展開できます。複雑な問題を扱う際、原因と結果、関連要因などをツリー構造で明確化できるため、根本原因の特定(ロジックツリー的な応用)や解決策の検討が効率的に行えます。また、プロジェクトの全体像を一目で把握できるため、進捗管理やメンバー間の情報共有のツールとしても非常に優れています。
【学習・教育での活用】 学習においては、教科書の要点整理、読書のまとめ、暗記、レポートや論文の構成案作成に役立ちます。例えば、歴史の学習であれば、中央に「時代名」を置き、メインブランチに「政治」「経済」「文化」「人物」などを配置することで、情報を構造的に整理できます。このように、関連する情報を結びつけて覚えることで、単なる丸暗記ではなく、知識同士の関連性(文脈)を含めて理解することが可能となり、記憶の定着率が大幅に向上します。試験前の知識の総復習や、新しい概念を学ぶ際の予備知識の整理にも有効です。
【個人的な活用】 目標設定、日々のタスク管理、日記、旅行の計画、自己分析(内省)にも使えます。例えば「今年の目標」をセントラル・イメージとし、「仕事」「健康」「趣味」「家族」といったメインブランチから具体的な行動計画をサブブランチとして展開することで、漠然とした目標が具体的な行動リストへと変わります。特に「自己分析」では、自分の強み、弱み、興味、価値観などを多角的に洗い出し、自分自身を深く理解するためのツールとして非常に有効です。
マインドマップは、紙とペンさえあれば始められる手軽さがありながら、私たちの「発想力」と「論理的思考力」を同時に引き出す強力なツールです。継続的に活用することで、思考の癖やパターンが明確になり、より創造的で効率的な思考が可能となるでしょう。デジタルツールも存在しますが、最初は手書きで色彩やイラストを自由に使い、脳の持つ力を最大限に引き出すことが推奨されています。
 
                     
                 
                 
                 
                 
                




 
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
                     
                     
                     
                     
                     
                     
             
            