「多元配置実験」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「多元配置実験」とは

一つの変数だけを変化させ、他のすべてを固定して実験、解析することを一元配置実験と呼ぶのに対して、二つ以上の因子を組み合わせて同時に変化させて実験する事を多元配置実験と呼び、一般的にはすべての因子の水準を組み合わせ、分散分析で主効果と交互作用効果を評価します。すなわち、実験計画の、1因子の水準の変化と影響を把握するための一元配置実験、2因子の水準の変化と影響を把握する二元配置実験、因子が3つ以上の場合が「多元配置実験」です。

 

2. 「多元配置実験」で実験数が掛け算で増える理由

多元配置実験で実験数が掛け算で増える理由は、3つの要因を評価する3元配置なら3次、5元配置なら5次までの交互作用をすべてを評価するからです。例えば、A、B、C、D、E、Fという5つの要因を2水準で評価するに当たり、A1、B1、C1、D1の時とA1、B2、C1、D2の時の因子Eの効果の違いまで考えるということなのです。

 

これら高次交互作用が大きい可能性はあるものの、E因子の主効果に比べれば小さいのが一般的で、その意味を解釈することは極めて難しいことが想定されます。また一般的に言って、複雑な交互作用の上に成り立つ条件は、環境など他の因子に対しても非常に不安定です。重要性の低い交互作用の評価を外すことで、多因子実験の組み合わせ数を大幅に減らす超効果的なツールが直交表です。

 

3. 「多元配置実験」と実験計画法

要因単体の効果や要因間の交互作用を解析する統計手法に実験計画法があります。 開発対象によりますが、実験計画法を知らなければトライアンドエラー方式から抜けだせず、時間とコストを湯水のように使うことになります。

 

実験計画法は、効率の良い実験方法を設計(デザイン)して、結果を適切に分析する統計学の応用分野の学問のことを言い、実験に際しては、勘、経験だけに頼らず、統計手法を使いながら、より少ない費用と時間で有効な結果が得られるように、計画、実行することが肝要です。実験計画法は、医学・工学・心理学・農業からマーケティングに至るまで、幅広い業界で利用されています。

 

実験計画には、1因子の水準の変化と影響を把握するための一元配置実験、2因子の水準の変化と影響を把握する二元配置実験、因子が3つ以上の場合の多元配置実験があります。

 


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