今回は、自社の海外進出の足掛かりを兼ねて貢献活動をするには、どこから手を付けて何に注意すべきなのか、解説します。例として、主に生産設備の設計、組立を行う中小企業が海外進出の足掛かりを兼ねて貢献活動をするという想定です。どこから手を付けて何に注意すべきなのかを考えます。
途上国でのビジネスには様々なリスクが考えられます。治安、為替、政情不安といった一般的なリスクの他に、賄賂の要求、公的手続に時間を要する、悪徳ブローカー、ストライキ、代金回収、模倣など、挙げればキリがありません。
これらのリスクを低減する提案として、まず公的制度の活用が挙げられます。海外展示会出展費用の補助、FS調査費用の補助、海外企業を日本に招いての無料マッチングなどです。また、途上国の貢献(医療、平和構築、教育、農業等)に資する製品・サービスであれば、国際協力機構の海外展開支援制度の活用も一考の価値があります。こういった諸制度の活用で、コストやリスクを抑えつつ途上国へ進出することが可能です。制度の詳細については別途お問い合わせください。
一方で、これらの制度は魔法の杖ではないことを意識しておく必要もあります。私のこれまでの企業支援の経験から、留意点を3つ挙げます。
(1) 補助金は目的達成のためのツール
会社の事業目標を補助金を活用して実現するのが主筋であって、補助金があるから海外展開を検討するようではうまくいきません。貴社の「画像処理を使った高精度位置合わせ機構」でアフリカのどのようなニーズに応えていくのかを調査し、明確にしましょう。
(2) 会社が主体的に関与する
支援者や支援機関に依存する他人任せの海外展開はうまくいきません。トップの下にプロジェクトチームを作って、制度を理解し、会社自身が現地に足を運び、必要な書類を作成する、などそれなりの工数が必要です。
(3) 途上国とのWin-Winの...