ソーシャルメディアデータの解析事例:異分野研究から得られる共通した目的とは

更新日

投稿日


 2020年、コロナウィルス感染の問題が大きくなり始めた頃、少人数の開催ということで、ソーシャルメディアデータ解析を専門にされている先生の講演会を聞く機会がありました。学会ウェブサイトのアクセスログ分析やTwitterにおけるバーストの実態調査、さらには科研費取得者とその研究業績調査など様々な分野の解析をされている方で、分かりやすい講演をしていただきました。

 大地震などの震災によるバースト(Twitter数が爆発的に増える)の生起には「都心からの距離」と「震度」が影響しているそうです。

 また、内外の大都市や行楽施設内において、ネガティブな感情によるバーストがポジティブな感情からのバーストよりも回数は多いが、バーストした際にツイート数が大きくなるのはポジティブな感情によるバーストだった、などのような事例も披露いただきました。

 特に東京ディズニーランド内ではポジティブなTweetが多く、ニューヨークなどではネガティブなTweetが多いらしく、その結果に納得しつつも、実際のデータに基づく説得力のある結果と感銘しました。

 さて、社会の実態を明らかにしたい研究者にとって、ソーシャルメディアは宝の山だそうです。なかでもTwitterは公開されているデータが多く、データを集めやすいといいます。

 データ収集には手で集める方法、機械的に集める方法そして金を払って買う方法があります。願わくは金を払わずデータを集められれば良いのですが、より質の高い情報を得るためには多少の出費は致し方ないようです。

 また、解析ソフトの紹介では、無料のテキストマイニングソフト(KH Coder)を紹介いただきました。特に、KH Coderでは共起ネットワークの図を書く機能も持っているため、使用するデータや目的に応じて結果を見える化できそうです。

 こうした研究をされている先生のもう一つの目的は「未来の予測」ということでした。社会の声や動きから未来を読むことは、社会の方向性を読む重要な手掛かりになるわけですが、特許情報を使って「未来を読もう」としている私にとって共通の目的であり、大きな刺激となっています。

 講演会の最後に「ソーシャルメディアデータの解析の限界は何か」と質問をさせていただきました。「データは大局的なものでしか...


 2020年、コロナウィルス感染の問題が大きくなり始めた頃、少人数の開催ということで、ソーシャルメディアデータ解析を専門にされている先生の講演会を聞く機会がありました。学会ウェブサイトのアクセスログ分析やTwitterにおけるバーストの実態調査、さらには科研費取得者とその研究業績調査など様々な分野の解析をされている方で、分かりやすい講演をしていただきました。

 大地震などの震災によるバースト(Twitter数が爆発的に増える)の生起には「都心からの距離」と「震度」が影響しているそうです。

 また、内外の大都市や行楽施設内において、ネガティブな感情によるバーストがポジティブな感情からのバーストよりも回数は多いが、バーストした際にツイート数が大きくなるのはポジティブな感情によるバーストだった、などのような事例も披露いただきました。

 特に東京ディズニーランド内ではポジティブなTweetが多く、ニューヨークなどではネガティブなTweetが多いらしく、その結果に納得しつつも、実際のデータに基づく説得力のある結果と感銘しました。

 さて、社会の実態を明らかにしたい研究者にとって、ソーシャルメディアは宝の山だそうです。なかでもTwitterは公開されているデータが多く、データを集めやすいといいます。

 データ収集には手で集める方法、機械的に集める方法そして金を払って買う方法があります。願わくは金を払わずデータを集められれば良いのですが、より質の高い情報を得るためには多少の出費は致し方ないようです。

 また、解析ソフトの紹介では、無料のテキストマイニングソフト(KH Coder)を紹介いただきました。特に、KH Coderでは共起ネットワークの図を書く機能も持っているため、使用するデータや目的に応じて結果を見える化できそうです。

 こうした研究をされている先生のもう一つの目的は「未来の予測」ということでした。社会の声や動きから未来を読むことは、社会の方向性を読む重要な手掛かりになるわけですが、特許情報を使って「未来を読もう」としている私にとって共通の目的であり、大きな刺激となっています。

 講演会の最後に「ソーシャルメディアデータの解析の限界は何か」と質問をさせていただきました。「データは大局的なものでしかなく、詳細は個人のアンケートを取らないと分からない」という回答でした。

 今回は異分野で活躍されている先生のお話でしたが、応用できそうな考え方が多く、講演後に頭がかなりリフレッシュされました。「社会科学ではとにかく比較しましょう」という言葉も印象に残っています。

 折角ご教示いただいた研究内容を参考にさせていただき、新規で有用な解析手法に結び付けられればと考えております。

 

 【出典】八角様 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

   続きを読むには・・・


この記事の著者

八角 克夫

化学技術・知的財産・情報の3つの柱のプロとして、お客様の課題解決や将来へ向けての提案をしていきたいと考えております。

化学技術・知的財産・情報の3つの柱のプロとして、お客様の課題解決や将来へ向けての提案をしていきたいと考えております。


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
評価指標の異常判断とは データ分析講座(その245)

  ビジネス活動をしていると、何かしらの指標を眺めることが多々あります。例えば、売上や受注件数、問い合せ件数、サイトのPV(ページビュー)...

  ビジネス活動をしていると、何かしらの指標を眺めることが多々あります。例えば、売上や受注件数、問い合せ件数、サイトのPV(ページビュー)...


データの活かしどころを具体化することの重要性 データ分析講座(その49)

  ◆ データ活用の成否に企業規模は関係ないが、成功確率に差がある理由  数年前に統計学やビッグデータというキーワードが注目され、今では機械...

  ◆ データ活用の成否に企業規模は関係ないが、成功確率に差がある理由  数年前に統計学やビッグデータというキーワードが注目され、今では機械...


データ分析・活用で成果を出すには知識のじならしが重要そうだ データ分析講座(その188)

  企業内にデータ分析の専門部署を作ったとき、上手く前進するケースとそうでないケースで、何が異なるのだろうかと考えてみました。要は、私の知...

  企業内にデータ分析の専門部署を作ったとき、上手く前進するケースとそうでないケースで、何が異なるのだろうかと考えてみました。要は、私の知...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
電子メール、簡潔過ぎると逆効果

◆電子メール:多忙な人に確実な返信をもらうテクニック  皆様は仕事で電子メールを一日に何通受信しますか、企業の従業員数、所属部署、職務、職位などでも...

◆電子メール:多忙な人に確実な返信をもらうテクニック  皆様は仕事で電子メールを一日に何通受信しますか、企業の従業員数、所属部署、職務、職位などでも...


現場情報の自動収集に道具だてを

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...


情報、常識の検証を考える

1、勝ち組と負け組を支配する情報  皆さんがご存じの大手予備校有名講師である林先生が、かつてテレビで「情報」に関して興味深いことをおっしゃっており、...

1、勝ち組と負け組を支配する情報  皆さんがご存じの大手予備校有名講師である林先生が、かつてテレビで「情報」に関して興味深いことをおっしゃっており、...